常に“人に聴かせる”ということを意識する ~次の本番に向けて考えたいこと~

今日のブログは、コンクールが終わって1週間がたち、次の本番に向けて始動しはじめたところで、もう一度大切なことを共に考えたいという思いから配布した部内通信からの抜粋です。書いているうちにタイトルとだんだんかけ離れていってしまったような気もするのですが、そのあたりはご了承ください。
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吹奏楽コンクールが終わって1週間が過ぎようとしています。
コンクールで達成できたことを活かして、また反省したことを活かして活動することができているでしょうか。
みなさんがコンクールの反省用紙に書いてもらったものを改めて読んでみると、みなさんが吹奏楽部の活動を通して何を大切にしたいと考えているのかが少しばかりですが分かるような気がします。
大まかにあげてみると、次のようなところでしょうか。
・みんなでアンサンブルを楽しみたい!
・もっと楽器が上手くなりたい!
・お客様の心に響く演奏を届けたい!
きっと少なからず誰もがそう感じているのではないでしょうか。
では、そのために具体的に何をすればよいのでしょうか。
①みんなでアンサンブルを楽しみたい!
つぶやき恒例になってきましたが、辞書で「アンサンブル」の意味を調べてみました。
アンサンブル 【(フランス)ensemble】
《共に、の意》
 ア)小人数の合奏・合唱。また、合奏団・合唱団。
 イ)演奏の調和のぐあい。  (デジタル大辞泉より)
 
ここで注目して欲しいのは、語源が「共に」という意味だというところです。
みなさん自身もよく分かっているかと思いますが、吹奏楽は一人ではできません。「共に」奏でる仲間がいてこその音楽です。
では、今みなさんはその「共に」演奏する仲間の存在を大切にすることができているでしょうか。
例えば、セッティングで人手が足りなさそうな時、人に言われなくとも自分から気づいて動くことができているでしょうか。後輩がどうすればよいか分からなさそうな時、自分から声をかけてあげられているでしょうか。悩んでいたり困っていたりする同級生の声に耳を傾けられているでしょうか。
もちろん、演奏技術としてアンサンブル力を高めていくことはとても大切なことです。でも、それ以上に「共に」音楽を奏でる仲間のことをどれだけ大事に考えることは大切なことだと私は思います。
「他者を理解するためには、まず自分を理解することだ」という言葉を聞いたことがあります。
この言葉が意味するところはいくつかあると思いますが、自分は今のところ次のような解釈をしています。
それは「自分が他者(相手)に対してどのようなことをしてほしいと思っているのが分かれば、自分が相手にすべきことが分かる」ということです。
自分がしてもらって嬉しいと思うことは、相手もして欲しいと思っていることが多いように思います。だからこそ、まず自分が何をしたいか、何をして欲しいのかを理解することが求められるような気がします。
ここを明確にすることができたら、きっと「共に」奏でる仲間と互いに信頼関係を築くことができるのではないでしょうか。
互いに信頼関係のある仲間と奏でる音楽はとても楽しいものです。
演奏しているときにふと目が合ったり、決めどころでハーモニーがばっちり合ったりしたときは、すごく気持ちが良いし、幸せを感じる瞬間でもあります。
私自身、今でも大学時代の仲間とオーケストラで演奏していますが、学生時代から気心の知れた仲間同士、お互い「ここは絶対に決めてくれる」「この人はこういう癖があるからこう合わせよう」「ここはあの人がリードしてくれるはず」といった暗黙の信頼関係があるからこそ、演奏していてとても楽しいし、伸び伸びと自由に奏でることができます。
だからこそというのもあるかもしれないけれど、こうした音楽の楽しさをみなさんにもいっぱい味わって欲しいと思うし、そういうかけがえのない仲間をこの吹奏楽部でたくさんつくって欲しいと思うのです。そして、みんなでアンサンブルを楽しんで、かけがえのない時間を過ごして欲しいと思うのです。
[Check Point]
□自分が相手にしてもらって嬉しいことを、相手にも積極的にしていこう。
□信頼される自分でいるために、普段からの行動を見直してみよう。
□間違えてもいいからしっかり音を鳴らすところからはじめてみよう。
②もっと楽器が上手くなりたい!
吹奏楽部に入ったからには、上手にカッコ良く自分の楽器を演奏できるようになりたいと思うのは当然のことです。恐らく「下手になりたい」と思って練習している人は誰もいないですよね。
では、どうすれば楽器は上手くなるのでしょうか。
答えは、「練習」です。
と言ったら怒られるかもしれませんが、やはり上手くなるためには練習する以外ないのだと思います。
でも、ここで一つ気をつけなければいけないことがあります。
それは「意味を分かって練習をする」ということです。
意味もわからずに繰り返し練習しても、効率が悪いばかりか、再現性がない練習になりかねません。
例えば、英語の勉強をする時に「辞書なしで長文を読めるようになるために、単語や熟語を覚える」と思って勉強するのと、ただやみくもに単語を眺めて頭にたたき込もうとするのでは、前者の方が目的意識が明確な分、気持ちも前向きに取り組むことができるはずです。
楽器の練習も同じです。同じロングトーンの練習でも、「音色の確認をするため」「音程がぶれないようにするため」「息のコントロールをできるようにするため」というようにいろいろな意味があります。それをただ「音を伸ばすだけの忍耐練習」だと思ってやったら、全然効果はありません。
また、自分ができないことばかりに目を向けてしまうと辛いものがあります。
楽しかったはずの練習も苦痛なものに変わってしまいます。
でも、できるようになったことに目を向け、きちんと自分のことを褒めてあげることができれば自信もつくし、さらに練習したいという能動的な気持ちを自ら引き出すことができると思うのです。
だからこそ、「意味を考えて練習する」「目的を持って練習をする」ということはとても大切なことです。
それも一回一回、きちんと考えてから音を出すという地道な繰り返しが非常に重要だと思います。
実際に楽器を使って練習ができる時間は限られています。その限られた時間を有効的に使うためにも、一人ひとりが目的意識をもって音楽と向き合えるといいなと思います。
[Check Point]
□自分が「こう奏でたい」と思う演奏をイメージできていますか?
□毎回の練習に目的意識を持って臨んでいますか?
□自分ができるようになったことを評価していますか?
□自分の課題を分かって練習していますか?
③お客様の心に響く演奏を届けたい!
先日バジル先生のブログを読んでいたら、コンクールを目前とした高校生のレッスン中、『この曲の世界に、聴いている人をお誘いする』という目標を立てた生徒さんがいたということが書かれていました。とても素敵な目標だなと思いました。
私たちはアマチュアではありますが、音楽を奏でるパフォーマー(performer)の一人です。
ここであえてプレイヤー(Player)という言葉を使わずにパフォーマーという言葉を選んだのには訳があります。それは、ただ「楽器を演奏する人」で終わらずに「人を魅了させる音楽を奏でる人」をみんなで目指していきたいと思うからです。
せっかく音楽をやっているのであれば、自分で演奏することだけで満足するのではなく、人に“聴かせる”ことでその感動を分かち合えたらとても素敵なことだと思います。
みなさんも今まで何回も舞台を踏んできて、お客様に割れんばかりの拍手を頂いた時、とても感激しませんでしたか?
自分が一生懸命練習してきたものを全力で表現して、それを共に喜んでくださるお客様がいる。それってとても素晴らしいことだし、音楽をやっているからこそ味わえる醍醐味とも言えるような気がします。
演奏者が真剣に自分たちがつくり出したいと思う音楽に向き合い、心の底から楽しむことができれば、その瞬間にしか味わうことのできない世界を生み出すことができます。その世界にお客様を音楽の力でお誘いすることができたら、そんなに素敵なことはないと思うのです。
私は、みなさんとそういう音楽を奏でられるようになりたいと思っています。
これから文化祭、アンサンブルコンテスト、吹奏楽祭…と本番が続いていきます。その中で少しでもたくさんのお客様の心に響く演奏をするためにも、自分たちができることを信じ、自分たちが奏でている音楽を心から楽しんでいきたいものです。一緒に楽しい音楽の時間をつくりあげていきましょう!
[Check Point]
□自分の楽器が好きですか? 演奏していて楽しいですか?
□練習している曲のことをよく知っていますか?
□『音楽』が『音が苦』になっていませんか?
□自分(たち)ができることに限界をつくって諦めていませんか?
□人に“聴いて頂く”ということを意識して練習していますか?
(部内通信より)
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コンクールであっても演奏会であっても「聴かせる」ということには変わりありません。
だからこそ普段から「聴かせる」ということを意識して練習できるかが問われる気がします。
その場で取り繕うとしても、基礎の積み上げがなければ、音楽を心から楽しもうという気持ちがなければ、結果には結び付かないし、音楽の本来の目的からは外れていってしまう気がします。
普段の活動がどうか、一人ひとりの意識がどうかが、本番では問われてきます。
それだけに具体的な目標を立てて、本番前になって焦るのではなくて、日頃から練習を積み重ねていきたいと思います。
そして、何より本当の楽しさをお客様と共有できるようにしたいものです。

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