吹奏楽指導者のあるべき姿とは④ ~感情にまかせて怒っても子どもは育たない~

先日同僚と話していて腑に落ちたことがあります。
「叱るときには、その後子どもがどうなるかまで見通した上で叱ることが大切。感情にまかせて怒っても怖がらせるだけ。冷静さは失ってはいけない」
確かに怒鳴りつける指導は、その場では効果があるかもしれません。
でも、子どもたちの中には「怖いからやる」「怒られないようにやる」という思考しか残らず、本当にそのことをできるようにするためにはどうすればよいか、というところまで考えられないまま練習を繰り返すことにもなりかねません。
教科指導で生徒が分かりづらかったり、なかなかできなかったりしたときには、答えにたどり着くまでの方法を発見できるようにヒントを出したり、時には教えたりするのが当然のことなのに、それが部活になったとたんにダメ出しの怒号になってしまうのはなぜでしょうか。
その原因はいろいろあるかと思いますが、ここでは2つ触れておきたいと思います。
一つは、指導者の思い入れが強すぎて、思い通りにならないがために怒鳴り散らしてしまうパターンです。
これは指導者がその部活を経験している場合に多く見られることです。「自分もそうやって育ってきたから」ということもあるかもしれませんが、自分の思う理想像があるからこそ、その方向に物事が進んでいないとイライラして、結果として感情が抑えきれずに怒ってしまうような気がします。
二つ目は、指導者もどうしてよいかわからずに、怒ることでしかできないというパターンです。
これは指導者がその部活を熟知していない場合に多く見られることです。どのようにすればできるようになるか、指導者が分かっておらず、とにかく怒ることで子どもたちを動かそうとするのです。
いずれの場合も、指導者の思い込みだったり、不勉強が引き起こす現象です。
でも、これを逆手にとれば、まだまだ指導者自身も部活としても成長する土台があるとも考えられます。
なぜなら、指導者の思い込みが強いということは、指導者がその部活を心から好きだと思っているということだからです。
なぜなら、不勉強な指導者というのは、これからの学び次第でいかにようにも化けることができるということだからです。
心から部活が好きなのであれば、その部活がどうすればもっとよくなるのかを考えることができるはずです。そのためにどうすべきか、目の前の生徒とじっくり向き合うことで、的確なアドバイスができるようにもなるはずなのです。
不勉強だというのであれば、勉強すればいいだけの話です。教科指導でも授業準備にかなりの時間をかけるものです。もちろん、最近の教員の多忙化により、そこまで時間をとるのは難しいことかもしれません。でも少しでも現状を良くしようと思うのであれば、その忙しさの合間を縫って本を読んでみたり、どんなつてでも使って学びに行ったりすることができるはずです。
大切なのは、指導者自身が「感情にまかせて怒っても、子どもは育たない」ということに気付くということだと思います。
できるようになるということを、道筋立てて理解することができれば、そこに向けて努力することもできるし、それでできるようになったら達成感を感じて、もっとできるようになりたいと思えるようになる気がします。そして、その道筋は一人ひとり違うものです。だからこそ指導者には引き出しの数の多さが求められるように思います。だからこそ指導者は学び続けることが大切なのだと思います。
若い頃は感情に負けて怒っていた私ではありますが、どうすればよいのか的確なアドバイスをすることができて、でも叱るべきときに毅然と叱ることができる大人になりたいと思います。
(Twitterまとめ)

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