否定形は結果的に自分の思考を支配する ~ATレッスン記録~

昨日は久々のThinkingBodyの授業でした。テーマは「実験」ということで、身近な動作から音楽に関することまで様々な実験をして、そこから得られるものについて考える一日となりました。今日のブログはその覚え書きです。
【ウォーミングアップ】
1.固定概念を取り除くゲーム
[方法]
① 2人一組になって座る。
② 条件なしに、自分と相手の共通点を1分間で30個言う。
③ 立ち上がって、今度は30秒で10個共通点を言う。

[結果と考察]

「条件なし」と言われても、自分自身にハードルを課して、視野が狭くなったり、呼吸も変わったりする。2回目、
「これでもいいのだ」と思って固定概念を外すと、頭の回転も速くなり、動きも自由になって、輝きを放ちだす。
2.全体のバランスを確認するゲーム
[方法]
① 2人一組になって、互いの手を押し合う。
「頭が動けて、からだ全体がついてきて」、互いの手を押し合う。
③ 互いの体重を乗せ合う。
④ 全員が輪になって、互いの手を押し合う。
⑤ 誰か一人が力を抜いたり、余計な力を入れてみる。
[結果と考察]
①のときは、手に集中していて、手の感覚に敏感だったが、②でATを使ってやってみると、楽に全身の力を手に乗せることができたように思った。さらに③は手の感覚がうすらいで、全体でバランスをとろうとしている自分がいた。
④、⑤では、全員で少しずつバランスをとっていないと、全体に影響することが分かった。身体もきっと同じことで、どこかのバランスがちょっと崩れてしまうと、全体の体の使い方にも影響するのだろうなということが考えられる。
【逆転のプラン】
アレクサンダーははじめ、自分の声が出づらいのは「頭を押し下げ、背中を縮めている」からだと考え、「頭を押し下げない、背中を縮めない」というNoプラン(~しないという否定形の指示を送ること)を自分の体に指示を出していた。
1.ピンクの象
[方法]
ピンクの象を「思い浮かべないで」、先生のところまでたどり着く。
もし、少しでもピンクの象がよぎったら、元の位置に戻る。
[結果と考察]
成功した人は、ピンクの象よりもインパクトの強いものを思い浮かべて、それをずっと意識しながら先生のところまで行っていた。上手くいかなかった人は、「ピンクの象を想像しない」という否定形の意識を持ち続けていた。
このことからも、否定形のプランが入ってきたときに、それを受け入れつつ、肯定形を出し続けること(→Yesプラン)が必要なのだなということが分かった。
アレクサンダーも、「頭を押し下げない、背中を縮めない」という自分への指示を、「頭を前へ上へ、背中を長く広く」という指示に変えることで、自分の体の使い方がうまくなっていった。
これを基に、参加者一人ひとりが日常の動作で気になっていることをNoプラン、Yesプランの両方を使って、実験をしてみました。以下は自分がやってみたことです(普段、板書するのに手を上げることが多いので)。
2.手を上げてみる
[方法]
① 腕が痛くならないように手を上げる
② 手を長く使えるようにして上げる
③ 違いを観察する
[結果と考察]
①の時は「痛くならないように」と思うあまり、逆に力が入って慎重に手を上げたが、②では「手は鎖骨から動いていい、長く使っていい」という指示を自分に送ることで、楽に手を上げることができた。このことからも、NoプランよりもYesプランに言葉を置き換えていった方が、同じ動作をするにしてもより楽に動くことができることがわかった。
【アクティビティ】
自分は高音域の限界に挑戦してみました。
[方法]
① 「立つ」とはどういうことか考えてみる
② 初めて楽器を持ったときのようにただ楽器を持つ
③ マウスピースを口まで持ってくる
④ 頭が動けて、体全体がついてきて、周りは見えていて、周りの音も聴こえていて、
⑤ 息は下から上に上がっていって、お腹で息を絞り出すように吹く
[結果]
① 「立つ」ということについて考えてみると、次のようなことが考えられた。
 ・二本足で体重を支えている
 ・体重は地面に触れている面すべてに分散している
 ・前後左右どこにでも体重を乗せることはできる
 ⇒円を描くようにして体重移動をしているうちに、一番しっくりくるのはどのあたりかを試してみたら、本当に自然に立てるようになった。
② 楽器を持つというと、慣れた手つきで構えがちだけれど、持ち方を知らない、初めてその金属の塊を大切に持ってあげると考えて持ってみると、また楽器と新しく出会ったような気持になりました。
⑤ B♭Durの音階で順番に上がっていくと、初めはHigh Gあたりで止まってしまったのが、ダブルHigh B♭がかするまで音域を広げることができた。
[考察]
これだけのことなのだけれど、自分が持っているエネルギーを最大限まで楽器演奏に変換できた結果、力まずに人生初のダブルHigh B♭が吹けました。もちろん、そのプランを実行する上で、上下の唇の閉め具合だったり、プレスだったり、息の量だったりも上手くいったのだと考えられますが、頭と脊椎の関係を意識するだけで、こんなにも楽に音が出せるようになるものなのだということに気付きました。
[感想]
アレクサンダー・テクニークは魔術ではありません。ただ、自分の持ってる力を発揮するための道具でしかない。でもその道具をうまく活用して、自分のことも上手く使えるようになったら、本当に楽しい世界が待っているのだと思う出来事でした。
子どもたちにも、この楽しくてワクワクして、もっとラッパ吹いていたいと思う気持ちを味わってもらえたらなと改めて思いました。そのために自分ができることを見つけて、ゆっくりじっくり頑張っていこうと思います。
高音にこだわるわけではないけれど、童心に戻ってハイノートに挑戦して、とにかく嬉しかったです!

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【まとめ】
・大切なのは、自分がやっていることを意識的にやっているかどうかということ。
・新しい体験をすると、新しい思考が生まれる。その慣れない思考に初めはぐちゃぐちゃすることもあるかもしれないけれど、指示を与え続けることで自分のものにすることができる。
・体は自分が思った通りに動いてくれる。プラスのことも、マイナスのことも自分自身が考えたこと。だから、「~しない」と否定形で考えたり、過去に起きたことを消そうとするのは難しい。プラスのことで上書きしていくことが必要。
・動きが変われば、考えも変わる。考えが変われば、動きも変わる(心身統一性)。
とても学びの深い一日となりました。こうやって、みんなで話し合いながらワークをするのってやっぱり楽しいなと思います。これからももっと積極的に参加して、自分自身を磨いていけたらいいなと思います。
昨日も一日ありがとうございました!

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