頭が繊細に動けて、体全体がついてくる ~ATレッスン記録~

アレクサンダー・テクニークのレッスンを受けると、「頭が繊細に(自由に)動けて、からだ全体がついてきて…」という言葉を、先生がくり返しおっしゃっることに気づくかと思います。これはF.M.アレクサンダー氏が発見した頭と脊椎の関係、いわゆる「プライマリー・コントロール」を自分自身に向けてディレクション(方向づけ)ていくときに使われる言葉です。
先日のBody Thinkingの授業では、この「プライマリー・コントロール」と「ディレクション」ついて改めて考えさせられる時間が多くありました。今日のブログはその備忘録です。
【プライマリー・コントロール=頭と脊椎の関係】
頭の動きは、体全体の動きに影響します。
頭をギュッとかためて体を動かそうとすると、
・腕を上に上げること
・手を動かすこと
・声を出すこと
・楽器を吹くこと  
など、どの動作をするにしても、とてもキツく感じませんか?
アレクサンダーは自らが声が出づらくなってしまったことをきっかけにして実験・観察をくり返し、この「頭と脊椎の関係」を発見しました。これを『プライマリー・コントロール』とよんでいます。
頭の動きが、体全体の動きに影響するということは、まず頭が動けることが必要です。
ここで「頭」とはどこのことを指すのでしょうか。
それは、「トップジョイント」と呼ばれる、脊椎の一番上よりも上の高さの部分だと考えられます。
人によって若干の違いはあると思いますが、ちょうど耳の上端くらいの高さでしょうか。
そこよりも上にある「頭」が自由に動ける状態にあること。アレクサンダーは「頭が前へ上へ」と表現したように、前だけでも上だけでもなく、「前へ上へ」自由に動ける状態にあることで、脊椎がついてきて、体全体がふわっと浮かんでいくようになっていきます。

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[アクティビティ]
「頭が動けて体全体がついていく」を意識しながら会話をしてみる。
 感想→ 話し方が慎重になる
       聞くときに相手の話がすっと入ってくる
       自分の方に意識が向くようになる
       同時に色々なことが考えられる etc…
このように、「頭が動けて体全体がついていく」ことを自分に向けてディレクションし続けていくだけで、自分の身体の使い方は全く違ったものになってきます。
でも、アレクサンダー・テクニークを始めてしばらくのうちは、ディレクションを過度に与えすぎ続けてしまうことにより、調子を崩してしまうこともあります。それはディレクションを与えるようになって、今まで使っていなかった動きをするようになって、それをやりすぎてしまうようになって、結果として型にはまろうとしてしまうことが原因です。
たとえば、多くの人がアレクサンダー・テクニークを初めて経験すると、今までよりも少し前傾姿勢になったような気分になるかと思います。その「感覚」をあてにして、「角度はこれでよかったのかな?」「位置はどうだったかな?」というように、自分自身に「正しさ」を問うようになってしまうと、頭も体も固まって、逆に動きづらくなってしまいます。
私自身も、本格的にアレクサンダー・テクニークを学ぶようになって、初めは調子が良かったのですが、一時期、猛烈に首が痛くなったことがありました。思い出してみると、「頭は前へ上へいこうとしなくてはならない」と強くディレクションを与え続け、逆に正しい位置を探して体を固めてしまっていたなと思いました。
このように、自分の内側に向けてばかり考えていると、頭と脊椎の関係性が狭くなっていき、全体として固くなってしまうことが往々にしてあります。
では、不調におちいったとき、どうすればよいのでしょうか?
それは、いったん考えることをやめることです。
そして、型から入るのではなく、改めて「頭が動けて、体全体がついてくる」とディレクションを出してあげます。
そうすれば、体は指示を出したとおりに動いてくれるはずです。

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その時に知っているといいのが、筋肉の使い方です。
筋肉の使い方には3段階あります。
① リラックス(弛緩してぐしゃっとなった状態)
② 動かそうとしても、動かなくてもいい状態
  (緊張状態までいかないけれど使っている)
③ 緊張状態(過度に収縮した状態)
このうち、②の「動かそうとしても、動かなくてもいい状態」でいることが、結果としてより自由に体を使うことができる準備が整っている状態ということができます。
その上でさらに、「(自分が)外側の空間ともつながっている」ということを意識してみます。
そうすれば、自然に頭が前へ上へ、背骨が長くなって、外界とつながっていくようになり、より自由に体を使ってあげることができるようになるように思います。
プライマリー・コントロール。
究極は、ここに戻ってきます。どんなに小手先のテクニックで何とかしようとしても、プライマリー・コントロールを意識し続けることによって手に入れる体の自由な使い方にはかないません。そんな風に思いました。
今日も、「頭が自由に動けて、体全体がついていって」、自分がやりたいことを、やる。
そんな風に思って自分を使っていきたいものです。
◆過去記事
・「頭についていく」とはどういうことか? ~ATレッスン記録~
 http://rapparapa.at.webry.info/201502/article_4.html
・「~してはいけない」より「~したい」という思考で行動していく ~ATレッスン記録~
http://rapparapa.at.webry.info/201502/article_7.html

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頭が繊細に動けて、体全体がついてくる ~ATレッスン記録~” への1件のコメント

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