日本吹奏楽指導者クリニックに参加して⑤ ~織田さんのポップス講座を受講して~

日本吹奏楽指導者クリニック(JBC)の受講記録も第五弾まできてしまいましたが、これでとりあえず一段落のつもりです。ラストを飾るのは、最終日に行われた、米米クラブのSax奏者、織田浩司さんによる「ポップス講座」について、その概要と感想を書いていこうと思います。
〔ポップス講座〕
◎はじめに…
ポップスは楽しむための音楽である。奏者の方がより楽しんでいければ、お客様も楽しませられる。お客様をどう楽しませるかを常に考え、頭を柔らかくして、どんどん筋書きを変えていっても良い。
◎リズム
ポップスを演奏する上で、リズムはまず大切な要素である。聴き合うと遅れてしまうので、自分の中にドラムを持っているつもりで同じように感じ、共有することが大切である。
ポップスのリズムはもともと軍楽隊のマーチから始まっている。これが南北戦争の時、黒人たちによってラグタイムに変化していった。強拍の位置が変わるだけで、ノリの違う音楽へ変わった。
シンコペーションとは、もともと「予期せぬ出来事」という意味である。
→実際に手拍子+足踏みで表拍から裏拍への切り替えの練習をしてみる。
  足踏みをしながらやるとノリやすいことがわかる。
ドラム、パーカッションは、「先輩の手拍子」と同じで、絶対に正確であることが求められる。もしパーカッションのメンバーが難ありの場合は、みんなで分割して8ビートをつくる練習をしてみるとよい。
◎カーペンターズ「青春の輝き」の練習を通して
イントロとアウトロは同じ印象のものが多いが、特にイントロは場の雰囲気づくりをする上でも重要である。奏者がドキドキするところはお客様もドキドキするところと考える。
どんなに歌っても良いから、拍の頭はそろえるように気を付ける。
吹きやすい音量で練習してから強弱をつけるようにする。
入るタイミングを少しマルカート気味にしてみると、音が立ちやすい。
メロディーが出てきたら、何があっても前に出てくることが大切。同時に、メロディーが聞こえるバランスづくりも必要。
◎演奏会のプログラミング
お客様が思わず手拍子をしたくなるような、音に合った演出を考える。
休憩時間に次の導入となるようなBGMをこっそりと流しておくなど、会場に入ったときにお客様がその世界に入り込めるような工夫をすると良い。
いかに時間を短く感じてもらえるようなプログラム編成をするかは重要。→緩急をつける
〔感想〕
さすがお客様を楽しませるプロ、といった感じで、織田さんのトークを交えながらの講義はとても楽しかったし、最後の福島県立湯本高校とのコラボで「青春の輝き」「Sing Sing Sing」を演奏したときには会場が熱気に包まれ、終わった後は割れんばかりの拍手がわきおこるくらい、「どう楽しませるか」を考えさせられる講座でした。
ポップスに限らず、「お客様をどう楽しませるか」という視点に立って考えることはとても重要です。でもそれ以上に大切なのは、まず自分たちがどう楽しんでいくかであり、どうノリをつくりだしていくかというところのようにも改めて思いました。
ポップスと一口に言っても、ジャズ、ロック、ボサノバ、サンバ、J-POP、歌謡曲… いろんなジャンルがあるかと思います。指導者として大切なことは、それぞれの音楽の特性をよく知って、「どういうノリをつくり出していくか」というとろこにあるように思います。その上で、奏者も聴き手も関係なく楽しめる空気づくりをしていけると、もっと演奏会は楽しくなるのだろうなと思いました。
3日間最後の講座まで、本当に充実した時間を過ごすことができました。
来年以降もぜひ参加していきたいと思います。

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