日本吹奏楽指導者クリニックに参加して③ ~小編成バンドの合奏指導~

吹奏楽漬けの楽しい3日間が終わってしまいました。本当に今回参加してよかったと思うし、いろいろなことを学ぶことができました。特に昨日のブログにも書いたマルコ・ピエロボンさんの講座と演奏を聴くことができたのは大きな収穫でした。この3日間で学んだことを還元すべく、また今日から頑張っていこうと思います。
さて今日のブログは、2日目に行われた講座の中から、「小編成バンドの合奏指導」について書いていこうと思います。この講座は「小編成」と名はうってありますが、大編成でも大切なことをいくつも紹介してくださった講座だったように思います。
〔小編成バンドの合奏指導〕
◎小編成バンドのメリット・デメリット
メリットとしては、早く合わせやすい、サウンドがクリアになりやすい、アンサンブルしやすいなどの点があげられる。
一方でデメリットとしては、音量を求めにくい、楽器の種類が少ないために色彩の変化が出にくいなどの点があげられる。
ともするとつい大編成バンドに正面から太刀打ちしようとデメリットの方に目が行ってしまいがちだが、大編成と同じことを狙わずに、小編成バンドの良さを生かして、誇りをもって指導していくことが大切である。音楽の良さは音量の大証ではないのだから。
◎クリアなサウンドをつくるために
小編成でも音を立たせるには、外声を立たせること、内声を割り振ることが必要になってくる。
<バランスの練習>
・低音から重ねていく練習 →倍音が出やすいので響きをつくる練習になる
・高音から重ねていく練習 →サウンドをよりクリアにする練習になる
 ex. スケールチューニング http://www.brain-shop.net/shop/contents3/0991_itemseet.aspx
チューナーを目で見て合わせると、無理な奏法で合わせてしまいやすいので、人にチューナーを見てもらい、一番いい音で合わせるとよい。
バランスも、アレンジものなどは△(高音3、中音4~5、低音6~7)がよいし、緊張感を持たせたいときは▽(高音6~7、中音4~5、低音3)も使えるし、オペラものなど豊かな響きが必要な時は◇(中音のウェイトを重くする)のバランスがよい。
スケールチューニングや「トッカータとフーガ」などを利用して、ユニゾンの練習と曲の練習を兼ねてしまうのも工夫としてある。
<コードの練習>
倍音の聞き取りによるコードづくりをしていくと良い。
 ex. Cl 2人で下のE♭の音を出す = B♭、G、D♭、F の倍音が聴こえる
    →倍音を聴き取らせるために、
      ①ASxにB♭
      ②FlにG(-14cent)
      ③FlにD♭(-33cent)
      ④FlにF
     を小さな音量で吹いてもらうと、倍音が鳴っていることが分かる。
その上で、根音→五音→三音の順に倍音に重ねていくイメージで合わせると合いやすい。
サウンドはピッチが合って、バランスが合えばそれなりに聴こえる。そこからの音楽づくり、語り口は個々のバンドによって異なってくる。
足りない音がある場合は、自分の家にある材料で料理をするのと同じで、つくりたい音色といつ楽器を組み合わせてつくっていくことが求められる。
◎持ち替えについて
アンブシュアが定まるまではやめた方がよいが、できると幅が広がるので、せめて同属楽器での持ち替えができるようになっておくといい。
 ex. Tb→Euph(Euph→Tbよりもよい響きが出る)
   Tp→Fl.Hrn(いざというときHrパートに行ける)
持ち替えるタイミングは、五音は倍音で聞こえやすいので、そのタイミングで持ち替えると良い。
Percが2人しかいなくても、シンバルをスタンドにセットしてバスドラと兼任すればいける。
音量で勝負しない分、音色に変化を持たせるようにする。
 ex. Obを加える
◎セッティング
人数が少ない時は、打楽器は後ろの方が良い。これは、後ろでバランスをとると、全体が合わせやすいから。
できるだけ木管アンサンブル、金管アンサンブルがしやすいように配置をする。
隣の人に音を吸収されてしまわないように、できるだけ一人ひとりの間のスペースをとってあげると、小編成でも音が割と通る。
◎音の終わりの処理
高音「Pa」、中音「Pan」、低音「Pa-n」とすると、デッドなホールでもよく響く
◎まとめ
自分たちのバンドに合った服を着ることがとても大切
〔感想〕
すでに自分もやってみていることも多かったのですが、「自分たちのバンドに合った服を着ることがとても大切」という言葉が非常に心に響きました。目標とするバンドがあったとしても、100人で奏でる音と、30人で奏でられる音は違います。同じように張り合っても、自分たちの良さを見失ってしまうことになりかねません。
以前、太田市立第三中学校が7人で中国大会に臨み、金賞を受賞したというニュースが話題になったことがあります。

これから少子化がさらに進んでいくと同時に、厳しい部活動を敬遠する傾向があるということもよく耳にするようになってきました。私が顧問をしている部活も一時期は100名を超える大所帯でしたが、現在では60名にまで減ってしまいました。こうした事態はますます深刻になっていくようになってくるかと思いますが、自分たちはどういう音楽がやりたくて、どんな音色をつくり出したくて、それをどうやって伝えていけばいいのかということを考え、「自分たちにしかできない音楽づくり」「自分たちだからこそできる音楽づくり」をしていけるとよいのかなと思いました。

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