吹奏楽コンクール考③ ~合わせることだけからの脱却~

Band Journal 6月号の特集で、鈴木英史氏が次のような定期をされていました。
「今までどちらかと言うと避けてきた、奏者側に積極的な耳と姿勢を必要とする方向性に、吹奏楽はもっと向き合えるのではと感じています。時間がない中で、何回も基礎合奏を重ねて慣れさせサウンドを作るという、硬直した姿勢から脱皮も期待できるのではないでしょうか」
確かにバンドのサウンドや個人の技量を向上させることには意味があるし、それによって日本の吹奏楽全体のレベルは上がってきたと思います。その上で、やはりこれからは「どういう音楽をやりたいのか」という具体的なイメージを共有することから音楽づくりをする方向にシフトするべきだと私は思っています。
楽譜に書かれていることを忠実に再現することはもちろん大切なことです。
でも、音楽をやっていての醍醐味は、自分の内面にある様々な感情を、言葉ではない手段で思い切り表現できるところにもあるようにも思います。
だからこそ、「合わせる」ことだけに懸命にならずに、一人ひとりが自由に音楽を奏でられるバンドが増えていくといいと思いますし、一人ひとりが持っている良さを出し合いながら、互いに高めあっていける音楽づくりをしていけたらいいなと思います。
これからコンクールシーズン。
コンクールでは「縦」「音程」「音色」など、様々なことについて徹底的に「合わせる」ことが要求されます。
もちろん、それらが合っていなくては論外なのもよくわかります。
でも、いかに自分たちらしさを出し、自分たちにしかできない音楽をつくれるか。そして、聴衆の心に響く音楽をつくることができるか。それも音楽づくりをしていく上ではとても大切なことだと思うのです。
「合わせることだけにとらわれず、のびのびと自分たちの音楽を奏でる」
それが多くのバンドの中でスタンダードになってくれば、コンクールの審査の基準も少しずつ変わってくるのではないでしょうか。
これだけ集中して限られた曲の練習ができる時期だからこそ、「合わせる」ことで終わってしまわないように、一人ひとりが「自分はどういう風に演奏したいか」という具体的なイメージを持って練習に臨めたらと思います。そのための声かけ、指導の仕方を改めて考えていきたいものです。
(Twitterまとめ)

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