コンクールシーズン突入! ~今だからこそ考えたいこと~

そろそろ各校ともコンクールシーズンに本格突入する頃かと思います。
自分が顧問をしている部活も、先日定期演奏会が終わり、今日から新体制に代わってコンクールモードへと切り替えの時期となりました。
支部や部門によって違いはあると思いますが、課題曲と自由曲という限られた曲にこれだけ集中して取り組める機会はなかなかありません。だからこそ、しっかり楽曲分析をしたり、話し合いを重ねてどんな音楽づくりをしたいか共有していくことで成長をはかりたいところです。
コンクールに出場するからには金賞、上位大会出場を目指すのは当然のことかもしれません。
でも、それ以上に大切なことは、コンクールに出場することで、音楽的にも人間的にもどのような成長を図るか、そしてどんな音楽を奏でたいと思って、それをどれだけ具体化できるかというところにあるように思います。
コンクールでも定期演奏会でも共通して言えることですが、「みんなの思いが共有されること」これができるかどうかでバンドの実力は各段に上がるということは断言できることだと思います。
目標をどこに設定するのか
よくコンクールに向かっていく中で単に「金賞」「上位大会出場」を目標にするバンドを見かけます。うちのバンドでも放っておいたら「金賞を取りたい」、目的がそれだけになってしまうことも考えられます。でも、やっぱり一番大切なのは「みんなでどんな音楽をつくっていきたいのか」ということだと思うし、みんなの“want”を共有できるといいなと思うのです。甘いと言われるかもしれませんが、賞をとるための「ミスのない完璧な」音楽ではなくて、少しのミスはあっても「やりたい音楽を出し切った」思いのこもった音楽をやった上で賞がついてくるくらいの思いで本当は臨めるといいなと思います。
そういう意味では、いかに具体化した目標を持てるかどうかということがバンド全体にも個々にも問われる気がします。目標が具体的でないと、どうやって実現していけばいいのか道筋が立てられず、結果として目標にたどり着けずに終わってしまうからです。
そこで大切になってくるのは『自分たちの強みをどう活かすか』というところにあるように思います。もちろん、自分たちの弱点をどう改善していくか考えてもいいわけですが、そればかりでも気が滅入ってしまいます。自分たちの強みを知ることで、それを活かすためにどのような練習をすればよいか考えると、前向きにもなれるし、結果的には弱点を克服することにもつながるように思います。
私は、今の部活の強みは「素直さ」だと思っています。良い意味でも悪い意味でも、うちのバンドの部員たちはとても素直です。だからこそ、飾ることなく、素直に自分たちがやりたいと思う音楽をそのまま出していく中でまとまっていけたらと思っています。自分は指揮者ではありませんが、そういった生徒たちの強みをサポートしていけるように指導していけたらと思っています。
合奏だからできることを大切にしたい
大人数で合奏ができる環境は当たり前ではありません。また合奏でなくては得られないこともたくさんあります。当然になってしまうと気づかないこともたくさんあるけれど、そういう当たり前のことを大切にして、日々得られることを増やしていくのも合奏の醍醐味と言えるかと思います。
コンクールに出場できるということは、少なくとも複数人数の部員がいるということです。同じ音楽を楽しもうとする仲間が同じ学校にいるということです。部活にいるとつい忘れがちですが、これはとても貴重な経験だと思うのです。いろんな仲間がいるからこその揉め事も起こるだろうし、時には嫌な思いをすることがあるかもしれません。でも、だからこそできる音楽もあるのだと思います。
部員同士の風通しを良くして、合奏ができることに感謝してコンクールにも臨みたいものです。
基礎を再確認する
確かに「基礎が大事」ということは誰でも分かっていることかと思います。その上で、その練習がやりたい音楽を実現するためにどのように役に立つのか、指導する側も演奏する側も分かってやらないと、ただのルーティンワークになってしまいます。それでも続けていれば経験で何とかなってしまうこともあるけれど、意味も分からずに練習を続けていても、退屈でつまらないものになってしまうし、上達をかえって妨げる結果にもなりかねなません。同じロングトーンであっても、目的によってやり方は変わってくるし、目的が明確なだけにやる気も湧いてくるものです。
コンクールという結果が見えやすい本番だからこそ、改めて自分が奏でたい音楽を実現するためにどのような基礎力が必要なのかを問い、練習に取り入れていくことができればと思います。
審査員のアドバイスを上手に生かしていく
審査員の講評に書かれた言葉をどう解釈して練習にのぞめばよいのかということもあるかと思います。コンクール前だからこそ、昨年のコンクールの講評を読み返してみる。短いアドバイスの中に、自分たちが成長していくための大きなヒントが隠されていることが改めてよくわかります。
例えば、「もっと縦を合わせてください」という指摘があったとしましょう。
このアドバイスを単純に受け止めて、縦を合わせることばかりに集中して、音楽の流れが止まってしまったら元も子もありません。指揮やメトロノームはテンポを示す一つの指標であって、本当のテンポは体の中からつくりだしていくもの。音楽のノリ、感じ方が合ってくれば、自然に縦も合ってくるのだと思います。「縦をそろえる」ことはもちろん大切なのだけれど、何のためにどうやって縦をそろえるのかを奏者が考えられると自ずと縦は合ってくるものです。例えば「ハーモニーを美しく聴かせよう」「ハーモニーが移っていく様子をはっきり聴かせよう」などと言うと結構合うようになります。
このように、一つのアドバイスでも、その言葉の通りに受け止めるのではなくて、それを実現するためにはどのような練習をしていけばいいのかを考えることだけでも、いろんな課題が改善されてくるはずです。
結局はコンクールでもなんでも、「音楽優先」でいきたいところです。部員たちがコンクールを通して、音楽的にも人間的にも成長していけるように、自分自身も学び、多くのことを吸収する努力を怠らないようにしたいものです。
(Twitterまとめ)

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