厳しさはつらくあたることではない ~みんなが幸せになれる指導を目指して~

「厳しいこと=辛くあたること ではないと思います。」

この言葉は、あるオケで指揮者をしている後輩が言っていた言葉です。
そう結論付ける前に、彼はこんなことも言っています。
指揮者が厳しいこと言ったり、強制力を使ったり、そういうことをするのは実は造作もないことでとっても簡単なんです。


でもそれって、生み出すものは強制的に指示した以上の結果は絶対に出ません。しかも音楽が楽しくなくなるっていう致命的な副作用があります。


指揮者はその場を作り出して方向性を統一することこそが使命なんだと思います。それは厳しいことを言ったり、強制力を使うよりも遥かに難しいことなんです。


でも実現した時には指揮者が振った棒の何倍も良い結果と音になります。それは人に言われてやった音じゃなくて、一人一人自分の心が発した音だから。


みんなはそれを望んでるんだと感じてます。それは音楽も仕事も教育も経営も何でも全てに共通すること。


だからある意味俺は表面上優しいかもしれないけど、指揮者としては皆に一番厳しくて難しい要求をしているのかもしれないです。

私は彼のこの言葉を聞いて、本当にその通りだよな、と思うと同時に、それができている指導者は(自分を含めて)案外少ないのかもしれないと思いました。
特に学校現場においては、「教師-生徒」、つまり「成績をつける大人-成績をつけられる子ども」という関係があることもあり、どうしても「指導」という言葉が“上から目線”的に使われることが多く、実際の「指導」もそのように行われていることが多いように思います。

かと言って、教師と生徒が“お友達感覚”になってしまうのはまた別次元の話だとは思いますが。。。

 
子どもたちにどれだけ引き出しをつくるヒントを出せるか
子どもたちがどれだけ自由に自分を表現する場所をつくれるか
子どもたちが失敗したときに寄り添って考え抜くことができるか

 
叱ってしまうより、与えてしまうより、それは難しいことかもしれません。
でもそれが、私たち教員に今求められていることのような気がしています。
マザー・テレサの言葉に次のようなものがあります。

 
思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。
言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。
行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。
性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。

 
何でも自分の思考次第でプラスに変えていくことができるはずです。

 
誰でも少なからず苦手なことがあったり、人がいたりするのは当然のことだと思います。

 
でも、苦手と思った時点で嫌なところばかりが目について負のスパイラルに陥ってしまいます。人でも勉強でも練習でも、良いところに目を付けられるかどうかが、長く上手くつき合っていくコツなのかもしれません。

 
例えば、「何でできないの!?」という思考から入ると「○○ができていない」という言葉になり、欠点ばかりを指摘する習慣がつき、やがて嫌味ばかり言う性格になってしまいます。指導者がそれでは、どんなに熱意を持っていたとしても子どもたちはついてきません。
「どうやったらもっと良くなるかな…」という思考から入って、良かったところを率直に褒めたり、さらに良くなるためのヒントを出したり、どうすればもっと良くなるか共に考え、自分ができることを誠意をもってやるするようにすれば、前向きに子どもたちを導ける指導者になれるのだと思います。

 
厳しさは決して辛く当たることではありません。

 
指導者という立場にある限り、みんなが一番幸せであるために自分がどうすばいいのか、考えて行動できる人になりたいなと思います。

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厳しさはつらくあたることではない ~みんなが幸せになれる指導を目指して~” への2件のコメント

  1. いつも楽しく拝見させて頂いております。
    下町大音楽市、最高によかったです!北村先生のトランペット!カラダ全体から溢れる情熱的なのに優しく包み込むような音。。。聴いてるだけなのに思わす泣いてしまいました。したやの奏者の方々や会場全体からも優しく暖かい気持ちが溢れる本当にすばらしい演奏会でした。
    ・・・ブログの後半部分で思ったことなのですが、大半の人が陥る負のスパイラルや、ネガティブな感情。陥りやすい気のもちよう、気付くと自分自身さえも時折そういう考え方になってしまうようなこと。
    そういう問題や事象に対してこそ、プラス思考と選択理論心理学を基本にして、まさに自分の中で色々な事や人、問題について良い所を見つける事こそが、それらを良い方向へ導く事なのかもしれないと常々思っています。
    ですが皆が同じ価値観というのも案外つまらないですし、そういうところを話し合い、受け入れ、人間が干渉し、変わって行くところにこそ面白みや楽しさがあるのかもしれませんね。皆がそういう良い方向に思えればさらに楽しいんですけどねw
    いつも為になる文章、色々な経験談、楽しく拝見させて頂いております。またひっそり、こっそりと読者を続けさせて頂きたいと思います。それでは(^^)

  2. コメントありがとうございます。
    したやの演奏会、素晴らしかったようで、私も仕事がなければぜひかけつけたかったです!
    源三先生の音、本当に歳を重ねるごとにさらに朗々と歌いながら聴き手を包み込んでいく感じがして、本当にすごいなと思っていつも聴かせていただいています。今度ハイドンのコンチェルトをやられるそうなので、それは聴きに行くつもりでいます。
    確かに、みんな価値観が違って、互いに干渉しあいながら全体が変わっていくところに面白みや楽しさがあるように思います。なかなか言葉では書いていても実行していくのは難しいですけれどね…(^^;
    つたない文章をいつもお読みいただいているようでありがとうございます。今後ともぜひよろしくお願いいたします。

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