演奏以外で気を付けたいこと ~楽器や場所に感謝の気持ちを~

「楽器が壊れてしまいました!」
と、たまに駆け込んでくる生徒がいます。
もちろん、正しく扱っていても、不慮の事故で壊れてしまうことはあります。しかし、多くは不注意だったり、雑に扱ったりすることによるものなような気がしています。
私が初めて楽器を手にしたのは小学校4年生の時でした。嬉しくて仕方がなくて、しまうときには入念に拭いてしまったものです。このように楽器を初めて手にしたときというのは、「楽器が手元にあること」ということが当たり前ではない分、楽器があることに感謝の気持ちを自然にもてるものです。
しかし、残念なことに、年数がたってくるとだんだん扱いが馴れてきて、楽器があることが当然になってきて、当初の感謝の気持ちが薄れてくるように思います。
だからこそ、「道具を見ると、その人の腕前が分かる」という言葉は一理あると思います。
楽器がきれいということは、それだけ楽器を愛していて、大切に扱っているということです。そういう人は、練習も丁寧にするはずです。これは自分の指導力不足もありますが、生徒をみていると、楽器を持って走ったり、楽器をぶつけても顔色一つ変えなかったり、演奏する以前に、演奏できる環境に感謝できているだろうか、と感じる部分もありました。楽器だけでなく、譜面や衣装、小物なども私たちの演奏を支えてくれる大切なものです。不慮の事故はあるにせよ、紛失しても気づかなかったり、壊しても「壊れちゃっいました(物は勝手には壊れません)」と自責の念を持たなかったりということがあるのは、楽器を演奏する人間としては大変悲しいことです。
これは、「部室(楽器庫)の使い方」についてもいえることです。部屋が整然と片付いているか、物であふれかえって汚いかは、その人の内面を表すと言われています。よくテスト前になると、部屋を片付け始める人はいませんか。私も中高生の頃、テスト勉強をしなきゃと思うと、重い腰を上げて自分の部屋を片付けた記憶があります。そして片付けると気持ちがすっきりして、勉強にも集中できた覚えがあります。雑然とした空間は、気持ちにゆとりがないことから生まれます。そのような状況の中で演奏をしても、お客様を楽しませることができるはずはありませんよね。
練習場所があること、というのは大学生や社会人になって場所取りを担当するようになってから痛感するようになりました。競争率も高くて、なかなか練習場所が確保できないということはたくさんありますし、確保するためにはお金もかかります。本当に団員みんなの協力がなければ練習する場所さえ確保できないのです。
でもこれは実は中高の部活でも言えることだと思います。パート練習などで使っている教室も、本来は誰かのHR教室であり、本当は教室に残って勉強したり、友達と遊んだりしたいかもしれません。それをどいてもらって「教室を使わせていただいている」という感謝の気持ちをもつことはとても大切だと思うし、だからこそ使った後の教室をしっかり掃除し、元の状態に戻すということは絶対に必要なことだと思います。
そういう一つ一つに感謝して、「音楽ができることに感謝できる」集団づくりをしていきたいなと思っています。
(部内通信より)

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