省エネ奏法で楽に吹く ~ラッパ吹き永遠の課題?!~

常に振動が先にきて、息はそれを支えるためのもの
これは、私が学生時代、北村源三先生から教わったことです。
前にも書きましたが、科学的に考えると「音は振動」です。振動がなければ音は始まりません。発音体(ラッパなら唇)があって、振動を伝える媒体(空気)があって、聴き手の鼓膜を振動させ、耳小骨を伝わり、聴神経を介して脳に行きつくことで「音」として初めて認識されるわけです。
ですから、息の力で無理やり振動をつくろうとすると、オーバーブローになって、ばてるのも早いし、音色も雑なものになってしまいます。
2枚の紙を用意して、ぴったり重ね合わせたところに息をいくら吹き込んでも、音は鳴りません。逆に2枚の紙の距離をかなり離して息を吹き込んでも、音は鳴りません。
でも、2枚の紙をいったんぴったり重ね合わせて、ちょっと浮かせたくらいのところで息を吹き入れると振動して音が鳴ります。これの2枚の紙が上唇と下唇、木管ならリードにあたるわけですから、まずは振動をつくるためのセッティングが大切になることが分かるかと思います。
アンブシュアというとつい口の周りの形に意識が行きそうですが、実は、この振動をつくるためのアパチュアがどうつくれるか、そして、それをどう支えられるかということがまず最初に大切になってくるかと思います。
次に、自分の唇がつくった振動を、効率よく楽器に伝えていく必要があります。その練習法として、プロの方に次のようなウォームアップ法を教わりました。
まず真ん中のFをノーアタックで、音を出そうとせず、自然に振動するまでppで息を入れてみます。初めから意識しないでも自然に振動するようになり、口がなじんでくるまで繰り返します。これだけでもいいウォームアップになります。その後半音ずつ上下に音域を広げ1オクターブゆっくりやっていきます。
次にスタンプの教本(6番、楽になる音域まで徐々に息圧を高める意識をもって)とリップスラー(音が変わらない時は無理しないで、あくまで舌の位置を変えて柔軟性をつくる意識をもって)をやるようにしています。このとき、絶対に無理に鳴らそうとしないことが大切だと思います。
こうしてウォーミングアップをしていくと、どこの筋肉が必要で、どこの力が抜けるのか、体が自然に覚えてくれるようになります。あとは、曲を吹いたときに熱くなり過ぎない事。これが一番ラッパ吹きにとっては難しいことなのかもしれませんが・・・(^^;
ちなみに、
クレッシェンドも「振動の幅を大きくしていく」
ディクレッシェンドも「振動の幅を細かくしていく」

と考えると、上手くいくことが多いです。
フォルテをつくりだす振動の幅、それを保つための息の量。
ピアノをつくりだす振動の幅、それを保つための息の量。
鋭い音をつくりだす振動の速さ、それを出すための息のスピード。
あたたかい音をつくりだすための振動の速さ、それを出すための息のスピード。
すべてが絡み合って、ラッパの音はつくられていると思うのです。
振動と息のバランス、そしてそれを支える体と頭の柔軟性、これが楽にラッパを吹く(ラッパで歌う)コツなのかもしれません。まだまだ私も未熟なので、これらを身につけていけるように日々次精進したいと思います。

iQiPlus

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。