どういう音を出したいか頭で鳴らす ~音楽は体の中で生きている~

最後のドミナントがきれいに響いた瞬間、子どもが「ヤァーッ!」と叫んだ。
今日の合奏の一コマです。練習室は暖かい微笑みに包まれました。
その声を聞いた指揮者が一言。
「気持ちよく終わったら、あー叫びたくなるよな。本来、体全体で感じたことを表現するように人間はできているんだよ。だから俺は音楽が好き。頭の中でいい音楽が流れてたら、体が自然に動いちゃう。これは誰にも止められない。」
その言葉を聞いた瞬間、私は目からウロコでした。
そもそも音楽ができたのは、誰かが作ろうとしたわけではなくて、鳥の鳴き声、風の音、心臓の鼓動・・・など自然のものから成り立ってきたものだと思います。だから誰の体の中にも音楽は宿っていて、自分の中にある音楽と何かが波長が合った時、そこに音楽が始まるのだと思います。
だからこそ、ここのところいつも書いていますが、やっぱり演奏をする時には「音楽が先」でありたいのです。自分の中にある「こういう音楽をやりたい」という想いを届けるために演奏をし、人の演奏から想いを受け取りたいと思うのです。
指揮者の先生とは15年近くの付き合いになりますが、今日の合奏はそういう意味では、改めて先生に大切なことを教わった気がします。
・テクニックじゃない、ここ(頭)なんだよ。頭で鳴ってるように音は出るんだから、どういう音出したいか頭で鳴らして!
・作曲家が故人の場合、墓に行って聞いてこなきゃ譜面の本当の解釈はできないけど、それをいろんなものを基に想像して、まずどういう音で吹くべきか頭で鳴らしておく。
・頭で音楽が鳴っていれば、結局テクニックよりも音楽が先にくる。頭の中で音楽が鳴っていて、それを表現するだけのテクニックがあれば鬼に金棒。

どれもいつも自分が思っていながら、なかなか言葉に表すことができなかったことばかりでした。そして、自分の中にある音楽の引き出しを増やすためにも、音楽に限らずいろんな体験を積みかさねていきたいし、知識も増やしていきたいと思いました。その中で感じる心を養い、イメージする力を育んでいく。自分自身ももちろんだけど、子どもたちにも伝えていきたい、そのために自分自身がまず「こういう音楽をつくりたい」と言えなきゃな、と改めて思うのでありました。
よし、次の合奏までに、みんなにどういう音楽を作りたいのか聞いてみよう。そして、それを達成したらどんな気持ちになるかを想像してもらって、そのために必要な練習を互いに出し合える空気を作ろう。今すぐにでも動き出したいと思います。

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