“ノリ”とは何か

「ノリの良い演奏」ってどんな演奏でしょうか?
「ノリが良い」というと、ついポップスなどの曲を演奏する時に、“笑顔で明るくノリノリで…”みたいなイメージを持つ人が多いように思います。
ポップスがメインの演奏会の後で、部員に「ノリを良くするためにどうした?」と問いかけたところ、次のような答えが返ってきました。
■曲の雰囲気をイメージする
・その曲をもっと聴いて、知ることで分かったり、好きになれるから、家で沢山音源、オリジナルを聴いてたかった。
・演奏している部分はどのような感じかをイメージしてイメージに合うようにした。
・頭の中でリズムを刻んだり、メロディーを良く聴いて、体を揺らしてみたりするなど、色々工夫してやりました。
・とにかく曲にのめりこむためにイメージをたくさんしたり、資料も探してみたりする。
■自信を持って演奏する
・音楽を身に染み込ませて勝手にノれる様にした。ただ単に体を動かして楽しむのではなく、テンポ感を掴み、かっこつけてみた。
・曲に入り込む。→ために暗譜する。あとは楽しむだけ。
■恥ずかしさを捨てて思い切りやる!
・ノリがいい人に合わせるようにする。周りの雰囲気を見る。
・自分1人だけじゃなくて、全員で吹いているから、恥ずかしいとか、自分の動きだけ目立ったらどうしようとかいう気持ちは一切持たずに済んだ(本番だけ)。
■楽しいことを思って笑顔で演奏する
・自分が好きなことをしている時や楽しいことをしている時を思い浮かべて、笑顔で吹くようにした。
・自分の出番がない時に笑顔でリズムにのろうとしました。
でも、クラシックや吹奏楽のオリジナル曲にも「ノリ」はありますよね。
「ノリ」という言葉を辞書で調べてみたら、次のように出てきました。
その場の雰囲気に合わせて調子づくこと。場の空気に乗る形で物事を行うこと。まともに考えたら行わないようなことを行うにいたる場合も多い。
(実用日本語表現辞典)
広義には英語の「feeling」にほぼ相当する言葉で、「ノリが合う」といえばフィーリングがぴったり一致すること。狭義にはビートの出し方を意味する。最近では、リズムや演奏のノリを表現する言葉、グルーブ(groove)というのも一般的。たとえば「前ノリ」は本来のビートよりも少しだけ前にずれたビートの出し方のことで、逆に「後ノリ」は少しだけ後ろにずれたビートの出し方のこと。「ハシる」や「モタる」は規定のビートからはずれて次第に速くなったり遅くなったりすることで、均一なビートを刻みながら前後にずれる「前ノリ」「後ノリ」とは区別される。
(音楽用語辞典)

このように考えてみると、「ノリがよい」というのは「曲のfeeling(=感情)に合わせて演奏できる」と解釈することができます。と考えると、曲によっては「楽しい」だけではなく「悲しい」「寂しい」「怖い」「怒り」「恋しい」など様々な感情を表現する必要がでてきます。
そんなとき、普段の生活の中でこうした感情を大切に生活することができているかが問われてくると思います。
音楽をやる上では、マイナスの感情だって、プラスの表現に変えることだってできるように思います。見るもの、聴くもの、感じることを大切にして、それをどのように曲の表現につなげていくのか研究することで、自分の音楽観も広がるし、生きていく上でもプラス思考に考えられるようになるような気がします。いろいろな感情の引き出しを増やしていくことこそが、音色はもちろん、表現やノリの豊かな、素晴らしい演奏につながるのではないでしょうか。

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