モチベーションを上げるには…

自分の時もそうでしたが、人によって部活に対する思いの強さは違うし、まとめようとすればするほど衝突したり、分裂したりすることもあります。社会人の楽団でも同様のことは言えるかもしれません。
確かに、一つの音楽をみんなでつくっていくのだから、気持ちを一つの方向に持っていって、よりよい音楽をつくるために全員が全力を尽くすというのは理想だと思います。でも、全力というものは一人ひとり違うもので、当然ながら同じように頑張っても到達点に差が出ることはあります。頑張っているつもりでも、人からみたらいい加減に見えてしまうこともあります。学生の頃の自分は、まさに自分の価値観に到達していない仲間を心から信じられていなかったように思います。「仲間を信じる」ということは、自分自身の弱さを受け入れることができるということで、実は難しいことなのかもしれません。
だからこそ、まず自分からモチベーションを上げる努力を、指揮者はもちろんのこと、音楽をつくる一員として自分から始めることが全体のモチベーションを高めるきっかけになると思うし、そこからしか始められないと思うのです。
以前、本番が終わった後に、「演奏していてどんなとき楽しい(嬉しい)と感じたか」と尋ねたことがあります。すると、部員たちからは次のような答えが返ってきました。
■みんなで一体感を持てたとき
・全員が集中していたり、意志を共有してアンサンブルができたとき。
・みんなと目が合った時。
・みんなで吹いている一体感を感じながら吹けたこと。
・みんなで吹いてる時に、同じテンションやイメージを持って吹いているのが感じられた時。
・みんなの笑顔が見えたこと。
・決め所でしっかり入れた時と、他の人と絶対合わせたいと思っていた所が合った時。
■できなかったところができるようになったとき
・パートで、いつも合わなくて練習し続けていた所が上手くいった時。
・昨日できなかったことが今日はできているというのがたのしかった。
・最初吹けなかった所がだんだん吹けるようになったり、自分の楽譜だけだと曲のパーツにしかないけど、合奏でみんなの音が重なってちゃんと曲になった時感動した。
■お客さんの反応が良かったとき
・お客さんの前で吹けること。
・目の前でお客様が笑顔で手拍子してくれてたこと。
・お客さんから久々に沢山の拍手を頂けたこと。
・自分たちの演奏や、自分のsoloをきいて拍手してくれたり、「感動した!」って言ってくれた友だちやお客様がいたこと。
■人から褒められたとき
・メロディーでほめられたとき。
・上手くなったねと言われたり、そろってたって言われた時。
・先輩に「前より音がでてるね」と言われて嬉しかったです。
・自分や自分のパートがほめられた時。
・演奏前に先輩が声をかけてくれたり、背中を押してもらったりしたことです。緊張が少しとれて、1番嬉しかったです。
こうして見てみると、「できなかったことができるようになって、聴いて下さるお客様がいらして、拍手を頂ける」というプラスの思考のサイクルをつくることがモチベーションの向上につながるのではないかと思います。
もちろん、できるようになるためには、なかなかできなくて悔しい想いをしたり、辛くなってしまうこともあるかもしれません。でも、楽しい瞬間があるから上手くなりたい、だからもっと練習したい、一生懸命練習して上手くなって、もっと面白くなるから、さらに練習してうまくなりたいと思う。そんなプラスのサイクルの中で音楽をつくっていける部活にしたいなと改めてそう思いました。

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