形態やジャンルにこだわらず、いろんな音楽に触れる!

久しぶりの更新です。

今月は、ブリッツフィル、東京佼成WOと2つのプロフェッショナル吹奏楽団の演奏会を聴く機会に恵まれました。そこで感じたことや考えたことを今日はつぶやいてみたいと思います。

 

若い子たちにこそ、「感動できるもの」に触れてほしい

ブリッツの演奏会もTKWOの演奏会も、演奏はもちろんのことですが、プログラム構成が「吹奏楽の原点」「吹奏楽の純粋な響き」を堪能できるような、素晴らしいものだったように思います。

【ブリッツフィルハーモニックウィンズ第29回定期演奏会】

・管楽のための序曲/F.メンデルスゾーン
・カンタベリーコラール/J.ヴァンデルロースト
・サクソフォン・シャンソネット/福田洋介
・フランス組曲/D.ミヨー
・饗応夫人〜太宰治作「饗応夫人」のための音楽/田村文生
・アルメニアンダンスパートI/A.リード
・宝島(アンコール)

 

【東京佼成ウィンドオーケストラ 第132回定期演奏会】

・交響曲第3番「キルクス・マクシムス」/J.コリリアーノ
・リュートのための古風な舞曲とアリア第3組曲/O.レスピーギ/伊藤康英 編
・交響詩「ローマの松」/O.レスピーギ/鈴木英史 編

 

ブリッツのプログラムは吹奏楽をやっている人間であれば一度は触れたことがあるであろう(もしくは憧れたことがあるであろう「吹奏楽の名曲」と呼ばれるレパートリーが、東京佼成のプログラムは「ウィンドオーケストラ」という名前にふさわしく、管弦楽にも負けないダイナミックな演奏が楽しめるレパートリーが取り上げられていたように感じました。

個々の曲について感じたこと、感激したことをあげていったらきりがないのでここでは省略したいと思いますが、今回の演奏会に出かけてみて共通していえるのが、「吹奏楽を始めた頃の音楽への純粋な憧れ」を思い出したということです。

小学生の時に鼓笛隊の演奏を見てかっこいいなと思って始めたトランペット。
何となく友達に連れていかれて入った中学の吹奏楽部。

そんな感じで何となく始めた吹奏楽ですが、初めてプロの吹奏楽団の演奏を聴いた時、鮮烈に感じたのは、「吹奏楽ってオルガンみたいな響きがするんだ~!」ということでした。

自分がやっている「吹奏楽」というものが、こんなにもオルガンのように重厚で、あったかい響きがして、いろいろな音色をつくりだすことができるものなのか知ったとき、“吹奏楽オタク”への道が一気に切り拓かれたように思います。

そんな原点に立ち返ることができる演奏会でしたし、改めてライブ演奏だからこそ味わえる臨場感や空間の響きに圧倒されました。

もちろん、プロだからこその演奏だと思いますし、アマチュアバンドやスクールバンドがそのまま真似すればいいということではないと思います。ただ「吹奏楽」という編成でこんなにも素敵な音楽を奏でることができるのだということを感じられる貴重な経験でした。

それだけに、もっと中高生とか、感受性の強い時期の子達がいっぱい聴きにくるようになるといいなと強く思いました。なかなか今時の中高生は忙しいのかもしれませんし、自分の知らない曲だったり、コンクールと関係なかったりすると興味が持てなかったりするのかもしれませんが、楽器を始めたばかりの頃に素晴らしい音楽に出会うことは、その後の成長にも大きく影響するものだと思います。そこで感じた憧れや感動が、自分の音楽の土台をつくってくれるものだと思うからです。

コンクール有名校や、友達の演奏会に足を運ぶのもいいことだと思いますが、プロの吹奏楽団、そしてオーケストラやビックバンド、アンサンブルなど様々な音楽に生で触れる機会をできるだけ中高生のうちからつくっていって欲しいなと改めて思いました。

 

吹奏楽の可能性は広い!

TKWOの演奏会で取り上げられていたレスピーギの「リュートのための古風な舞曲とアリア」は、昔から大好きな曲で、今年の秋に乗る予定のオーケストラのプログラムでもあります。しかしながらやるのは弦楽合奏版なので、ラッパの自分に出番があるわけでもなく、非常に寂しく思っていました。しかし今回、吹奏楽版を聞いて、原曲の良さを残しながらも、吹奏楽ならではの色彩感があって、また新たな曲の楽しみ方を体験することができました。

<弦楽合奏版>

<吹奏楽版> ※TKWOが演奏したものと編曲者は異なります

ブリッツフィルの演奏会でも、メンデルスゾーンの「管楽のための序曲」が取り上げられていました。この曲はもともと管打楽器で演奏するために作曲された曲で、下記のような編成で演奏されます。

  • ピッコロ、フルート 各1
  • オーボエ 2
  • クラリネット(F管(小クラリネット)、C管) 各2
  • バセットホルン 2
  • ファゴット 2
  • コントラファゴット 1
  • ホルン(C、F管) 各2
  • トランペット(C管) 2
  • トロンボーン(アルト、テノール、バス) 各1
  • イングリッシュ・バスホルン 1
  • 打楽器(小太鼓、大太鼓、シンバル、トライアングル)

もともと管打楽器のために書かれている曲ですので、これは管弦楽曲に分類はできないかもしれませんが、聴いた人の中にはもしかしたら、もともとオーケストラ曲だったのではないかと感じる人もいるような気もしますし、現代の吹奏楽編成とはまた違った趣のある響きがして、これもまた吹奏楽の別の可能性を知ることができた気がしました。

<管楽のための序曲>

考えてみると、吹奏楽という形態は、吹奏楽のオリジナル曲だけではなく、管弦楽曲やポップス、ジャズ、フュージョン、歌謡曲など、様々なジャンルの音楽を、割と当たり前のように演奏する機会がある面白い形態だと思います。

最近はコンクールでもオリジナル曲を演奏する団体が多く、取り上げられるレパートリーが決まってきてしまっているような気もしますが、いろいろ聴いてみると、自分がやってみたい音楽というものが広がっていくように思います。

 

形態やジャンルにこだわらず、いろんな音楽に触れる!

ブリッツフィルの演奏会では、最後の挨拶で指揮の松元宏康先生が「管弦楽も吹奏楽も同じ音楽。垣根を越えて、吹奏楽もいいものじゃないかと思ってもらえたら」といった主旨の話をされていました。次のツイートは、本番前に松元先生がつぶやいておられたものです。

私は中高こそ吹奏楽部に所属していましたが、大学では新しいことがやってみたくなり管弦楽団に入りました。そんなこともあって、しばらくオケものの吹奏楽編曲は調も違ったりするし、弦楽器のパートを木管楽器に回すことで、木管楽器本来のいい音がする音域を超えてしまっていることもあったりで、あまり好きではない時期がありました。

でも、自分自身もオーケストラの曲を聴くようになったのは吹奏楽でオケものをやるようになったのが原因でしたし、吹奏楽が窓口となって世界を広げてくれたところは大いにあると思います。

 

オケものを吹奏楽でやることに疑問を感じている人も、アマオケ業界には多いような気がします。しかし、ジャンルは関係なく、いろんな音楽を知るきっかけとして、オケものも吹奏楽オリジナル曲も、ポップスもジャズも、若いうちにやってみるのは経験になるし、その窓口として吹奏楽はとても貢献している気もします。

「どちらがいい」というのではなく、形態の違いで、得意不得意はあるかもですが、それぞれの形態の得意を活かした表現ができたらなのかなと思います。また、いろんな形態から音楽を見てみると世界観は広がると思うし、いろいろやってみて自分が本当に好きなものとかやりたいこととかが見つかっていくものなのかなと思います。

だからこそ、いろいろ挑戦してみることも、いろいろ観たり聴いたりする経験も大事にしたいなと思いました。

 

まとめ

吹奏楽でも、オーケストラでも、それは音楽をするための形態であって、何かそこにこだわりすぎる必要はないのかなと思います。

人それぞれ好きな音楽、音楽の好みには違いがあるものだと思います。自分の好きなものを相手に押し付けるのはどこか違うような気もします。

ただ、いろいろな音楽、いろいろな演奏に出会うこと、自分の知らない音楽を知ることで、これから演奏しようとするもの、したいと思うものにいい影響をもたらすことはたくさんあると思います。

自分の周りだけに視野を向けるのでもなく、自分たちの空間だけで閉鎖的になるのでもなく、互いに混ざり合い、知り合っていく機会も大事なことです。吹奏楽しか聞いたことのない中高生には管弦楽も聴いてほしいなとも思いますし、吹奏楽を知らないオケマンにも吹奏楽を聴いてほしいなとも思います。

そうやって、互いに興味を持つことで、日本の音楽業界がもっと総合的に盛り上がっていったらいいなと思っています。

自分も、まだまだ出会っていない音楽がたくさんあります。できるだけ時間を見つけて、生の素敵な音楽にたくさん触れていけたらなと思います。

 

おまけ

ブリッツフィルのアンコール、撮影許可・拡散許可が出たので掲載します。
お客さんも参加の宝島、楽しませてもらいました!こうやって盛り上がれるのも面白いですね。

 

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