「誰が言っていたか」よりも「自分でよいと思ったこと」をやってみること

先日、Twitterで「顧問の先生の言うことを聞くべきか、プロの先生の言うことを聞くべきか」というつぶやきを見かけました。私が顧問をつとめている部活も、顧問が3人(全員楽器経験者で指揮も振ります)、その他各楽器のトレーナーの先生がいますので、生徒に「○○先生は××とおっしゃっていましたが、●●先生は△△とおっしゃっています。どちらが正しいのですか?」と質問されることがよくあります。時には「○○先生とオノ先生は言うことが全然違うので困ります」と言われてしまうこともあります。そういう時には、基本的には「とりあえず、指揮者(もしくは、その楽器のトレーナーの先生)の言うことを取り入れてみなさい」と答えています。それは、その曲の解釈は指揮者に寄る部分が当然大きくなりますし、プロのトレーナーの先生は専門的に楽器も音楽も学んできた方ですので、当然私よりも的確な指導をされると思うからです。
ただ、自分も含め、どの先生方も、生徒を陥れようとしてアドバイスをすることはありません。生徒に少しでも上達して欲しい、頑張って欲しい、そのような思いは共通しているところだと思います。少しアプローチの仕方が違っているように見えても、本質的には同じことを言っているなと感じる事もありますし、生徒との関係やその場の状況によって言い方を変えていることもあります。特に音楽表現については、人によって解釈の仕方も趣味も少しずつ異なりますし、必ずしも同じような指導になるとは限りません。大切なのは、いろいろ違うアドバイスを受けたときに、とりあえず試してみて、自分の中でしっくりくるかを確認してみることだと思います。それでしっくりきたことはどんどん取り入れていけばいいと思いますし、どこか違うなと感じたことはとりあえず流してみてもよいように思います。
また、最近はネット上にも情報があふれており、様々な人が自分の経験から考えたことを自由に発信しています。もちろん悪意があって書いているものは限られていると思いますが、偏った考え方に基づいたもの科学的に立証できないものも少なくありません。情報過多な時代だからこそ、様々な情報に振り回されないようにする必要もありますし、自分で必要なものを判断する力を身につけていくことが求められます。どんな状況においても、相手の肩書きや立場に惑わされることなく、本当に自分が「これだ」と思うものを採用してみればいいと思います。
「誰が言っていたか」「誰がやっていたか」「誰が持っていたか」ということは参考になりますが、絶対的なものではありませんし、人によって考え方や感じ方は様々です。絶対に従わなくてはいけないことはありません。実際に自分で試してみて、一番納得のいくものを選びとっていけばよいような気がしています。いくら尊敬している先生や先輩の言っていることであっても、やってみてしっくりこないことは無理に従うことはないですし、自分にとってプラスにはたらく部分だけ取り入れていけばいいと思います。
もちろん、先生や先輩の言うことに対して、「それは納得いきません!」と真っ向から逆らうことはしづらいことだと思いますし、真面目な人ほど「目上の人が言うことは絶対である」と思い込みがちで、言われたことを守らないことは「悪」とさえ感じる人もいるかもしれません。でも、どんなアドバイスも自分がどうしても納得いかないものだったら、無理に従う必要はありません。それで自分の心が振り回されてしまって、本当にやりたいことや必要なことを見失ってしまったら元も子もありません。ただ、そういう考え方もあるのだと、一つの意見として受け止められたらいいように思います。
自分がいいと思ったことをやってみる。
人に言われたことを受動的に行うことよりも、自分でやってみたいと判断してやることの方が積極的に動けると思います。気が進まないのにやり続けたり、納得がいかないままやっていても、思考はプラスになりにくいですし、結果として好きでやっていることでさえ、「やらされている」という感覚になってしまうこともあるような気がします。
自分に必要なものかどうか判断するためには、判断材料となる知識や技術を身につける必要もありますし、自ら積極的に考える習慣をつけることも大切です。言われた通りそのままにやるのではなく、自分の頭で考える習慣、自分自身で感じとる習慣を身に付けていけば、やがて自分に必要なものが何か見えてくるはずです。
子どもたちに対して「全て自分で判断しなさい」というのは、放任と同じ状況になってしまうかもしれませんが、0から100まで手取り足取り指示を与え続けたり、大人の言うことに全て従わせようとしていては、子どもたちが自分で判断する力を身につける機会を奪ってしまうことになると思います。ある程度のヒントや選択肢(そこから選ばないという選択もあり)を示した上で、生徒一人ひとりが自分で考えて選び取る機会を意図的につくっていくことがこれからは大切なのだと思います。部活でも、ただ一方的に教え込むのではなくて、考えて判断する習慣を大切にしたいものです。

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