「負けず嫌い」から抜け出して、相手とも自分とも良好な関係をつくること

私は根っからの「負けず嫌い」です。それでも、周りに到底追いつくことができないような仲間がたくさんいる環境で育ってきたので、知らず知らずのうちに「負けず嫌い」の感情を抑え込み、劣等感だけを強く持つようになっていたような気がします。冷静に考えてみると、それだけ良い刺激を受けながら成長できる環境にいたということで、ありがたいことなのですが。。
振り返ってみると、高校で初めてトランペットの個人レッスンに通うようになったのも、もちろん「好きだから」「上手くなりたいから」という動機はあるにせよ、それまで井の中の蛙だった自分が高校に入って周りのレベルの高さを感じ、特に同級生には負けたくないと思ったのが直接の理由だったように思います。もちろん、それがきっかけとなって多くの事を学ぶこともできましたし、「負けず嫌い」の気持ちで歯を食いしばって努力したことで得たことはたくさんあります。
このように「負けず嫌い」は物事を追究していくときの原動力になることもありますが、根本にあるのは人との比較が元になっている感情だと思います。常に人との比較をして、自分を追い込んでばかりいたら、やっていて辛くなってしまうこともあるでしょう。第一、人と比較している以上、それ以上になることはできないわけですし、自らの可能性に上限をつくってしまうことにもなります。
「負けず嫌い」は長所として人を強くしてくれる面もあるとは思いますが、時として自分を追い込んでしまう負のパワーも持ち合わせているということを知っておくことも大切なことのように思います。
もし羨望の対象がいたとしたら、「負けるもんか」「追いつかなきゃ」ではなくて、「いいところを吸収していこう」と思えたらいいのです。
自分には自分の良さがあります。
自分にしかできないことがあります。

誰かと比べる必要もないですし、それによって劣等感を感じたり、嫉妬したりすることもありません。
相手から学べることがあったら素直に受け入れてみる。
自分に必要だと感じたものを積極的に取り入れてみる。

それだけなのだと思います。嫉妬や劣等感は負の感情です。それに自分の心が占領されてしまっては、次第に相手の良いところも、自分の良いところも見失ってしまいかねません。そうなってしまっては、自分のためにもならないですし、相手との関係も良好なものになるとは思えません。
お互いの良いところを受け入れながら高め合っていける仲間をつくっていけたら、どんなに幸せに過ごすことができるようになるでしょう。
もちろん人間ですから、自分に無いものを持っている相手のことを羨ましく思うことはあると思います。でも、組織全体、社会全体のことを考えてみたら、一人が全てのことをずば抜けてできるようになる必要はなくて、自分の得意なところ、力を発揮できるところで役割を全うし、あとはまた別の得意を持った誰かに任せてしまった方がうまく回るように思います。
よく「有能なトップは仕事を割り振るのが上手い」という話を耳にします。中には自分ですべてこなしてしまうスーパーマンもいるかもしれませんが、仲間や部下を信頼して、仕事を任せることができれば、信頼された方もそれに応えようと頑張ると思いますし、いろんな視点からのアイディアも出やすく、結果として組織を腐らせない運営ができるように思います。教育現場でも、生徒のことを信頼して、生徒が自ら考えて動けるようにサポートしていくのが教師の役割だと思います。全てのことを自分一人で完璧にする必要もないし、そんなことを思っていたら自分を追い詰め、周りも息苦しくなってしまうだけです。
少し話が脱線してしまいましたが、好きで楽しくてやっているはずのものが「頑張らないといけない」「努力しないといけない」「人に負けてはいけない」ものになるのは、何だか違うような気がします。好きなことをやることが義務感になった瞬間、何か大切なものを失くしてしまうような気がしてなりません。
本来、好きなことをしている時は、傍目に見てどんなにキツかったり、厳しそうに見えたりすることであっても、心から楽しいと思えるものだと思います。しかしどこかに強制力や義務感を感じてしまうと、途端に楽しいはずのものが辛いものになってしまったり、なかなかやる気が起こらなくなってしまうこともあるような気がします。
すぐに結果を出そうとしなくてもいいし、必ずしも人と同じようにならなくてもいいのです。吹奏楽部など集団で一つのものをつくりあげるところにいると、つい周りから外れてしまわないように自分を追い込んでしまうことも少なくないかと思います。確かに目標の一つとして「あれくらい吹けるようになりたい」と思う気持ちは大切ですし、自分が「これだ」と思ったことは粘り強く取り組むことも必要です。でも、楽器を吹くことが辛いものになってしまう程、自分のことを追い込む必要はありません。苦労して、悩んで、自分を追い込んでみなくても、「楽しいからやる」「好きだからやる」という気持ちだけで充分上達できるはずです。
とは言ってみたものの、まだまだ自分は「負けたくない」「頑張らなくちゃ」「努力も根性も足りない」という呪縛から逃れられずにいるところがあります。そんな自分の中の義務感と根性論に押し潰されそうになることもあります。もっと楽に構えて、純粋に音楽とも仕事とも向き合えるようになりたいなと思います。

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