今、この空間にいる自分を見つめてみる ~本番でリラックスして奏でるために~

先日、古巣であるプロースト交響楽団の定演に賛助出演してきました。
曲は、マーラーの巨人。
自分にとっては大学オケデビュー曲でもあり、曲目解説を書くために結構勉強させていただいた曲でもあり、聴くだけで感極まる大好きな曲だったので、再び挑戦することができてとても幸せな気分でした。関係者の皆様、お声がけいただきありがとうございました!
さて、今回担当したのは、演奏時間1時間に対して出番は最後の2~3分で有名な5th Trumpet。それだけに、舞台上での待ち時間が長くて寝落ちないか、また緊張感を高めすぎてあがってしまわないか心配だったので、待ち時間のあいだ、次のようなことを考えてできるだけ自分の観察をしてみました。
頭が繊細に動けて、からだ全体がついてきて、
客席と舞台がつながっていることを意識して、
仲間たちが奏でている音楽に耳を傾けて、
指揮者が求めている音楽の世界を感じて、
聴いているお客様の雰囲気を感じ取って、
自分がこれから奏でようとしている音楽を想像して、
高ぶっていく気持ちに気付きながら、
今、この空間にいる自分を見つめてみよう。

こうして観察をしてみると、曲が盛り上がってくると抑え込んでおくのが難しいほどの熱い感情が湧きたってくるのが見えてきました。そして、それは決して悪いことではないけれど、その感情が先行しすぎて、いつも考えていることが抜けてしまったり、オーバーブローになってコントロールできなくなっているのかもしれないということに、改めて気づきました。
そして、出番。
頭が繊細に動けて、からだ全体がついてきて、
坐骨で座って、腕は前についていると意識して構えて、
息は吸わなくても自然に入ってくると思って、
流れていく音楽の流れやテンションに合わせて、
自分が奏でたいように、ラッパを吹いてみる。

fffの指示に、多少吹き込みすぎてしまったところはあったかもしれませんが、空回りすることもなく、自分の音が跳ね返ってくるのを感じながら、自然に奏でることができました。
音符の数が多いと、なかなかこうもいかないかもしれませんが、「今、自分がこの空間にいて、どんなことを感じ取っているか」ということを見つめてみると、自分と音楽、仲間と観客とのつながりが明確になってきて、一人で頑張りすぎなくて済むように思いました。
もちろん、これから吹こうとすることに不安があると、そのことばかり注目してしまって、からだが硬直してしまうことは大いにあると思います。でも、「外してはいけない」「完璧にできなくちゃいけない」と思うのではなくて、今、この瞬間に自分は音楽を楽しもうとすることで、リラックスして奏でられるように思います。
本番になったら自分を無理にコントロールしようとするのではなく、ありのままの自分がどんな状態かを観察し、それを受け入れてみる。
これからもいろいろ試してみようと思います。

画像
iQiPlus

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。