「何が正しいか」ではなく「何がしたいか」を優先して考えること ~ATレッスン記録~

今回のブログは、今週の月曜日に行われたバジル先生のBody Thinkingクラスで学んだことをまとめておきたいと思います。
■お腹を「グー」で押してはね返す練習に意味はあるのか?
この練習、私自身も中学時代からやってこられたし、やってきた経験があります。
確かに「お腹を使っている感」を実感するにはよいかもしれませんが、実際どのように役立っているのかは謎です。
その疑問を紐解いていく一つの考え方をバジル先生がお話しして下さいました。
それは、日本の吹奏楽の源流は、プロイセン(ドイツ)の軍楽隊だということ。近代化を推し進めるに当たって、プロイセンの軍楽隊の教え方を急いで輸入したため、その時用いられていた「重心を下に」説が、今に残っているのではないか、という説。
だから、日本やドイツ系の呼吸法、イタリアやアメリカ系の呼吸法とには違いがあるのだと。
どちらがよくて、どちらが悪い、ということではないと思いますが、アレクサンダー・テクニーク的に考えてみると、お腹を「グー」で押す方法には、あまりメリットは感じられないとのことでした。言われてみれば、お腹に力を入れようとするあまり、余計なところに力が入って呼吸がしにくくなるデメリットも同時に生じると思います。
よいとされていることも、いろいろ検証してみると間違っていることもある、難しいことだなと思いました。
■「何が正しいの?」となってしまうと、考え方が固定してしまう
これは学校教育の責任もあるかもしれませんが、ともすると私たちは「正解」という一つのものを導き出すために躍起になることがあるかと思います。
姿勢にしても、奏法にしても、「正しさ」を求めてしまうあまり、物事の視野が狭くなり、一つの考えしか思いつかなくなってしまうことはよくあることです。
これから何かしようと思ったとき、実は使える動きはワンパターンではなく、他にも動けるパターンがあるということに気付くことができると、気持ちも体も楽になることができます。
実際は使うことができる動きがたくさんあるにも関わらず、普段私たちが使っている動きはそのうちのほんのわずかなものです。だからこそ、「使えるもののうち、使っていないものも使える」としていった方が可能性の幅は大きく広がるわけです。
正しさを追求するのではなく、「やりたい」ことを追求する。
もしかしたら、そこに一番自分を活かせる方法が隠されているのかもしれません。
■「頭が動けて、体全部がついてきて…」という言葉について
アレクサンダーテクニークの先生が必ずと言っていいほどレッスンの時におっしゃる言葉。多少言い回しが変わることもありますが、それが「頭が動けて、体全部がついてきて…」という言葉です。
私も初めはよくわからなかったのですが、先生の手に導かれて、その言葉のままに自分を使っていったら何となく体が楽になる、という不思議な体験を何度も経験してきました。
実はこの言葉は何でもよいそうです。
でも、頭が自由に動けて、体全部がついてくることをお願いし続けることで、確実に自分の使い方は変わってくるものです。
そして、先生が触れてくださる手は、強制的に自分自身を動かすものではなく、自分自身の意思で手についていくのだということ。そこにはアレクサンダーテクニークが受動的なものでなく、能動的に自分を変えていくものだという根本的なことが含まれているような気がします。
自分自身が主導権を握って、体全体がついていく。だからこそ、どんなときも自分の体が味方になってくれるようになるのだろうなと思いました。
■「エンドゲイニング」について
エンドゲイニングという言葉は、その目的に固執し、急いで結果を得ようとするあまりに、自分にとってよくないことをしていても気づかず、焦ってやり続けてしまう状態のことを言います。
自分がやりたいと思っていることがあるのに、それができない状態。確かに焦るし、イライラするものです。
でも、ここでも発想の転換が大切です。
「今叶えないと嫌なんだ~!」と決めつけてしまわずに、「こういうこともあるかもしれない」「こんなところはできているかもしれない」と考えていくことで、自分の可能性の幅は大きく広がるのだと思います。
■「いいと感じていること」は誰のものでもない
自分がいいと感じていることは、自分自身の中に確かな手応えがあるものです。だから、他人の評価を気にしたり、他人に判断を委ねてしまうことは危険なことです。
よいかどうかの判断を求めるのではなく、さらによくしていくための方策を考えるのがアレクサンダーテクニークのレッスンであり、自分自身を肯定しながら成長させていく手段なのだと思います。
自分でよいと思っていることをよいと思ってやることで、体の使い方もプラスにはたらくようになります。迷いは捨てて、よいと感じていることを大切にすることは大事なことなのだなと改めて思いました。
■望んでいる音を吹くことと、楽に吹くことが必ずしもイコールではない
楽に望んでいる音を出すことができたら、どんなに幸せなことでしょう。
でも実際には、自分が出したいと望んでいる音を出すためには、多少無理をしなくてはいけない面もあるかもしれません。
自分がどの方向性でいくのか。
いろいろ試していく中で好きなものを選んでいければいい。そんな風に思いました。
今回のレッスンも白熱して延長スペシャルでしたが、その分考えることも多かったように思います。また少しずつ身に付けていけるように頑張っていこうと思います。

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