吹けないからカットはありなのか? ~吹奏楽部の現状を考える~

「吹けない子がいたら吹かせないで吹き真似をさせる」ということが、少し前にFacebook上で話題になっていたので、今日のブログではそのことについて自分の考えを少しつぶやいていこうと思います。
教育的観点から言えば、吹けない子がいたとしても、その子が出来る限りの努力をし、その時に出しうる精一杯の力を出して演奏することは大切なことだと思います。私個人の意見としては、できるだけ「カットする」「乗せない」ということは避けるべきだと思っています。
それは、一人ひとり上達のスピードは違うものだし、「吹けないところはやらなくていいのだ」という諦めの精神を植え付けてしまうことになるからです。
楽器でもなんでも、上達するためには今自分ができることより少し難しいことに挑戦して、それをクリアするために練習をしていくことが必要な気がします。
バンド全体のサウンドを考えたら確かにカットしたくなる気持ちも分からなくもありませんが、その後のバンドの成長を長い目で考えると、あまり得策だとは言えない気がします。
コンクールなど、結果が付きまとう時には特に人数あわせで初心者の1年生を乗せておいて、吹けないところは吹き真似をさせる、という団体も少なくありません。もちろん勝ちにいくのだから、より吹けるメンバーだけで臨むというのは当然の考え方かもしれません。運動部でも、レギュラーに選ばれなかったら試合に出してもらえないわけですし、メンバーに選ばれるために本気で努力をするという効果も期待することはできます。
ただ、忘れてはいけないことは、どの部員も「バンドの駒」ではなく、「かけがえのない一人ひとり」だということです。
カットすることは、目先の目標は達成できるかもしれません。
でも、カットされた子どもの心にはどのような気持ちが残るでしょうか。
今度こそやってやる!という負けず嫌いな子どもにとってはよい刺激になるかもしれません。
しかし一方で、部活がつまらなくなり、音楽そのものが嫌になってしまったりする子どももいるかと思います。
と偉そうに書いてきたものの、私自身もカットを指示したことがあります。
それは、一つの曲でも「自分で吹ききれた」という自信を持って欲しいと思ったからです。自分でできたと思えたら乗る曲を一つずつ増やしていく。そうすることで、すべて中途半端に終わらせてしまうことを避けたいと思ったからです。
その方法が結果として良かったかどうかは分かりません。
一番大切なのは、一人ひとりの子どもとよく話し、どうしたいかということをじっくり聞くことのように思います。その上でカットすることもあるだろうし、しないこともあるかもしれません。
ただ、吹くと決めたら精一杯の努力をさせること。カットすると決めたら他のところでどう頑張らせるかを模索することは絶対に必要なことだと思います。
楽器が上手な子だけでなく、音楽が好きな部員全員が、一つの音楽をつくるために切磋琢磨できる環境を整えていきたいところです。

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