吹奏楽コンクール考⑤ ~メンバー選出について~

今日のブログでは、昨日、Twitterで「コンクールのあり方」についてよしきさん(‏@yoshiki__tp)とお話しする中で感じたことを少しまとめておきたいと思います。
現在、いわゆる「吹奏楽コンクール」とよばれる大会では、中高の場合、全国大会までつながっているA編成が55名まで(中学は50名まで)、東日本大会までつながっているB編成が30名までと決められています。その他、各都道府県によってBⅠ組、C組、D組など様々な編成で実施されている現状があります。
もちろん、人数が異なれば迫力も変わってきますし、選曲の仕方も変わってきますから、人数制限を設けることは一定必要なのかもしれません。スポーツでも、野球なら9人、サッカーなら11人と試合に出られる人数は決まっていますから、吹奏楽という場でも「本番に出られるメンバーの選出」は仕方のないことなのかもしれません。
しかし、人数制限がある以上、制限人数を超えた部員数を抱えている部活では、どうしても「メンバーの選抜」が必要になってきます。もちろん全員が必死にメンバーを目指して切磋琢磨し、バンド全体としてレベルアップを図るということは技術的にも精神的にも成長させるよいきっかけになるかもしれません。
ただ、こうした熾烈なメンバー争いの過程の中で「蹴落としてでも受かってやる」という意識が仲間たちの中で芽生えてしまったら教育の場での音楽とはいえないような気がしてしまいます。教育課程の中での部活動である以上、そこで子どもたちにどのような力をつけて、どう育てていくのかが問われている気がします。競争も時には必要だと思いますが、吹奏楽ではやっぱりチームワークを学んで欲しいなと思ったりするわけで…。
自分自身、高校は部員数が約80名の部活だったので、A編成とB編成の両方に出場したりしていましたが、やはり上位大会につながっているA編成に選ばれるということは、どこか名誉のようなところがありました。だからA編成に選ばれたときは「やった!」と声を上げて喜んだものですが、その時にとある先輩に怒られた記憶があります。その時はなぜその先輩が怒ったのか、何となく「選ばれなかった人の気持ちを考えろ」ということくらいしか分からなかったのですが、きっと「A編成でもB編成でも学校の代表としてコンクールに出場するのは同じことだから、どっちが偉いとかいいとかいうことはない」ということを言いたかったのだろうと思います。
本当は、その部活に属しているメンバー全員で創り上げた音楽で、コンクールというものが評価されていくと良いなと思ったりもします。「上手い子だけが出られる」「特殊楽器だから出られる」というものではなくて、「頑張っている子がみんなのれるコンクール」というものにシフトしていくと、中高で燃え尽きてしまわず、音楽が一生の友として付き合っていこうと思う人数が今よりも増えるのではないでしょうか。
なら、人数制限のない「日本管楽合奏コンテスト」や「TBSこども音楽コンクール」「高等学校総合文化祭」などを活用していけばいいだけの話かもしれませんし、吹奏楽連盟の理事の方々も様々な杞憂を元に改革をされてきていることを思うと、結果的に何がよいのかは自分自身も分かりません。
ただ一ついえることは、コンクールも全体の活動の中で上達のための一つのステップに過ぎず、それ自体が目的ではないということです。コンクールという機会を通して、部員一人ひとりが成長していく姿を見るのは大いに頼もしいことです。でも「コンクール燃え尽き症候群」になってしまい、コンクール以外の活動がないがしろになってしまったら元も子もありません。
コンクールまで残された練習日数が一桁であるということに恐れをなしつつ、テスト期間を迎えようとしています。子どもたちがテストに向き合っている間に自分ができること、少しでも考えて実行していきたいところです。まずは今年のコンクールでどのようなことを育てていきたいのか、明確に持って残りの練習に挑みたいと思います。
そして、大きなホールでプロの先生方をたくさん読んで自分たちの演奏を聴いて頂き、講評をいただけるというまたとない機会を十二分に活かせるように、できることを一つ一つ積み重ねていきたいところです。

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