やる気が出ない仲間とどうやって接するか?

昨日のブログにも書きましたが、コンクール前というのは往々にして「やる気の差」「モチベーションの差」に大きく左右されてしまう時期のようにも思います。本当は「頑張りたい」という気持ちを一人ひとりもっているはずなのに、その表現の仕方が人によって違うがために誤解を生じたり、争いに発展してしまうことも少なくないように思います。
そこで今日のブログではもう少し深くその原因を突っ込んで考えてみたいと思います。
今、あなたの周りに「やる気がないなぁ」「モチベーションが低いなぁ」と感じる仲間はいるでしょうか?
いたとしたら、その人に対してどのような感情を抱いているでしょうか?
Twitterで中高生のツイートを見ていると、「やる気ない子がいて困る」「こんなに周りがやる気がないならやめてやる」「中学時代の部活は楽しかった」「もっと厳しい学校に入ればよかった」などなどのつぶやきを目にすることが多いように感じます。私自身も中高時代は「何でみんなもっと熱くならないんだ!」と思っていた方なので、その気持ちは痛いほどよくわかります。でも、教員になって顧問として部活と関わるようになって、一人ひとりの話をじっくり聞くようになって、やはり一人ひとり部活に対してのなんらかの思いがあって、その思いがうまく共有化されていかないところに問題があるのだなと思うようになりました。
①「やる気がない子がいて困る」と思ったら…
その子は本当にやる気がないのでしょうか。
一生懸命やっているけれど、なかなか上達しない場合は練習方法を検討する必要もあるかと思います。
なかなか練習に来ない、来ても遊んでばかりいるというのであれば、部活に足が向かない理由は何なのかをゆっくり聞いてあげることも大切です。その上で、辞めた方がその子のためになるのであれば「辞める」という選択肢もありだと思いますが、まず「あなたもかけがえのない仲間なのだよ」という声掛けをしてあげられるかどうかも大切なことだと思います。
やる気がある子から見て「やる気がない子」の多くは、目標が抽象的であることが多いように思います。具体的に何をしたらどのくらいできるようになるのか、それを提示して、一緒に練習をする時間をとるだけでも、心を開いてくれ、少しずつやる気を見せてくれるようになるかもしれません。
要は、「やる気がない子」にいかに部活を好きになってもらえるか、そういう雰囲気をどうすればつくれるかも、「やる気のある」子や顧問の力量のように思います。
②「こんなに周りがやる気がないならやめてやる」と思ったら…
あなたは吹奏楽が好きですか?
部活を辞めた後にどうするか具体的なプランは持っていますか?
もちろん、音楽は部活以外でもできます。
高校生以上であれば、一般の吹奏楽団を探すことも難しくはないでしょう。
音楽をやりたいだけであれば、それも一つの選択肢となるかと思います。
一方で、部活だからこそできることもあります。
一般の吹奏楽団は社会人が中心ですから、活動日は土日が中心のことが多いです。
しかも、練習はほとんど合奏になることが多いように思います。
中高の部活のように毎日楽器を練習して、細かいところまで時間をかけてパート練で合わせて、というのはなかなか難しいという現状もあるように思います。そういう形ででも吹奏楽を続けたい、と思うのであれば、それもありなのだと思います。
でも、「こんな部活をやるくらいだったら○○(例えば勉強)を頑張る」という結論に至った人はもう一度、自分が本当に音楽が好きなのかを考え直してみてください。自分がやる気がないことを人のせいにして、自分がすべきことから逃げようとしていませんか?
多少厳しい言い方になるかもしれませんが、本当にやる気があって、コンクールでも上位の成績を狙っていこうと本気で願うのであれば、周りの部員をどうにかして動かしてやろうと思うくらいの意気込みがあるはずです。「所詮、みんなにはたらきかけても無駄」とあきらめてしまうのは、どこかに自分へのあきらめの気持ちがあるからのような気がします。
吹奏楽は一人ではできません。だからこそ、いろいろなモチベーションの人がいます。それを受け入れたうえで、自分が全体のために何ができるかを考えて行動できるといいなと思います。
③「中学時代の部活は楽しかった」と思ったら…
これもよく耳にする言葉です。特に強豪校出身者が、甘ったるい部活の状況を見て、「中学時代はもっとバシバシやっていたのに…」とため息をつく、というパターンは少なくないのかなと思います。
学校にもよると思いますが、中学生のバンドの方が高校生のバンドよりも先生が主体となってバンド運営をしている例が多いような気がします。中学生の場合、先生から与えられた課題をこなしていくことが少なからずあると思いますが、高校生の場合、自分たちの裁量で練習を組み立てることが増えてくると思うのです。これは必ずしもすべての学校に当てはまることではないと思いますが、生徒に自由裁量が与えられている分、高校のバンドは「個」がより問われてきます。誰かの指示を待つのではなくて、「自分からやっていく」という姿勢がより求められるようになると思うのです。
そういう意味では、「自分」というものが問われる分、高校の部活というものはやりようによってはどこまでも崩れてしまうし、うまくやれば、たくさんの「個」が集まってより活発にアイディアを交わせるバンドに成長できる可能性を秘めていると私は思います。
いずれにせよ、思い出は実際よりもきれいに残っていくものです。だからこそ、もし「中学時代は楽しかったな」と思ったら、具体的に何が楽しかったのかを分析し、今の部活に取り入れられるものはないかを考えてみることができるとよいかと思います。
④「もっと厳しい学校に入ればよかった」と思ったら…
強豪校に入れば、必ず上達するのでしょうか?
答えはNoだと思います。
もちろん、効率の良い練習法を知っているだろうし、練習時間だってたくさん確保されているだろうし、周りに上手な人も多いだろうし、部活全体のモチベーションも高いだろうし、本気でやれば上達するのも早いかもしれません。でも、強豪校に入ったところで、自分から頑張ってうまくなろうという気持ちがなかったら、3年間、伸びないまま終わってしまうかもしれません。
逆に、弱小といわれる学校に入ったら、上達できないのでしょうか?
これも答えはNoだと思います。
私の母校も勤務先も決して吹奏楽コンクールではとても強豪校と呼べるような学校ではありません。でも、音楽大学に進学し、自衛隊の音楽隊や海外のオーケストラなどで活躍している人もいます。
本当に音楽が好きで、好きでたまらなくて、上手くなりたくて、自分のやりたい音楽を奏でたいと心から願っていれば、環境など関係ないのだと思います。どれだけ自分が音楽を好きになれるのか、そこが問題なのであって、本当に好きだったら、自分からどんどんいろいろなことを吸収して上達していけると思うのです。
鈴木サキソフォンスクール(サックス) @SuzukiSax さんが次のようなツイートをされていました。
楽器が上達しやすい人は共通して・・。
①好奇心旺盛=自分の殻に閉じこもる事を良しとせず、新しい事にチャレンジする事を好む、
②探究心旺盛=小さな成果に満足せず、物事をより深く追求する事を好む、
③知識欲旺盛=積極的に会話の機会を求め、人から様々な話を聞く事を好む。

確かに上達する人に共通していることことかもしれないと思います。その根底にあるものは、やっぱり「好き」だって気持ちのような気がします。好きだから、もっとやりたいと思う。もっと上手くなりたいと思う。もっと知りたいと思う。そういうことなのだろうな、と。
「コンクールでどうしても金賞を取りたい」というような目標の場合、確かに強豪校といわれる学校に入り、レギュラーメンバーになって全力を注ぐことが一番の近道だと思います。
コンクールで結果が出たら、それは嬉しいことです。
でも、コンクールが吹奏楽人生の全てでしょうか。もともとは音楽が好きだという気持ちがあってこそなのではないでしょうか。
ブログのタイトルからだいぶ話が脱線してしまったかもしれませんし、甘いと感じられる人も多いかと思いますが、私はやはり仲間に対して「やる気がない」と決めつけてしまう前に、自分自身がなぜ音楽をやっているのか、吹奏楽のどのようなところが好きなのかを見つめ直すことで、仲間に対しての見方をいろいろ見直してみるとよいかもしれないなと思います。

iQiPlus

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。