初めて先輩になる人へ ~後輩をどう教えればよいか~

私の勤務校は新入生は中間テストまでクラブに入部できないという規定があるため、まだまだ先の話なのですが、一般的な学校であれば、そろそろ新入部員が入ってきて、初めて先輩になったり、初心者を教えたりする機会が増えてくる時期ではないでしょうか。
昨日、Twitter上であおたん付きの宇宙人(@maimero7777777)さん(以下、Aさん)と 次のようなやり取りをしました。
Aさん:「トランペット未経験者に高い音や低い音を出す方法を教えたいんですが、教え方がいまいち分かりません。いい教え方がある方は教えてください!」
私:「地道に半音ずつ上下に音域を広げていくのが一番よいかと思います。高い音に向けてクレッシェンドしていき、低い音に向けてディクレッシェンドをしていくようにすると、息の使い方はつかめるかもしれません。後はどうしても振動をどうつくれるかのように思います。」
Aさん:「有り難うございます!!ちなみに、唇の振動がうまくつかめない子はどうしたらいいのでしょうか。教えてください。
私:「紙を2枚重ね合わせて息を吹き込んで、ピンと張りすぎても、緩めすぎても音が出ない(振動しない)というのを実演してみて、それを再現すべく自分で唇がふるえるポイントを探してみる、って感じですかね。唇を締めすぎても緩めすぎても、良い音はならないですものね。」
Aさん:「有り難うございます!w助かりましたw」
私:「いえいえ。あくまでアマチュアの意見なのでご参考までに(^^;)」
Aさん:「教えるのが下手なんですよ、私wめちゃめちゃ参考になります!!w」
私:「私も最初はそうでしたよ(^^;) 必要に迫られて「教える」ということを繰り返しているうちに、だんだん「こうすればいいかも」というのがつかめてくるのかなって思います。頑張って下さい\(^o^)/」
Aさん:「はい!!まだ先輩に慣れてないんですwwがんばります!!」
楽器を吹くことも初めは誰でも初心者だったように、教えることも初めは誰でも初心者です。
だから、何も慌てることはありません。後輩がすぐ吹けるようにならないのも教える自分のせいではありません。
「教えるのが難しいな」と思ったときは、自分が初心者だった時のことを思い出してみてください。
すぐに音が出て音階がスラスラ吹けた、という人も中にはいるかもしれませんが、一通り曲を吹けるようになるまでにはそれなりの時間がかかったのではないでしょうか。
私は小学校4年のときにラッパを始めましたが、楽器が手渡されて、誰も吹き方を教えてくれることもなく、友達と30分以上悪戦苦闘した後にやっと音らしい音が出た記憶があります(恐るべきことに、唇の振動で楽器が鳴っていることさえ知りませんでした)。
そんな私ですが、中学2年で初めて「先輩」と呼ばれる存在になった時、当時トランペットパートは私一人だったこともあって、初心者2人をいきなり教えなければならないことになりました。
今のようにインターネットが発達しているわけでもありませんから、初心者向けの教本を顧問の先生に紹介してもらい、必死に読み込んで、自分なりに噛み砕きながら教えました。でも、なかなか音が出るようになってくれなくて、どうしていいのか分からなくなって、落ち込んだ時期もありました。
しかし、今考えてみると、このひたすら研究しまくったことが自分の演奏にも生きていると思うのです。
今、教員という仕事をしていてつくづく感じていることは「教えること以上のことを理解していないと、人を教えることはできない」ということです。ただし、ここでいう「理解」というのは、自分ができるかどうかではなく、知識として知っていたり、経験として残っていたりするものも含まれます。
よくスポーツ選手で、選手時代はパッとしなかったけれど、監督になって才能を発揮する人がいます。
逆に、選手時代は華々しい活躍をしていたけれど、監督になってパッとしない人もいます。
それと同じことで、「自分は下手だから人に教えることなんてできない」と考えることはありません。
謙虚に、でも自信をもって、とにかくよく研究すること、よく相手を観察すること、そして何よりコミュニケーションをよくとること、それさえ忘れなければ、人は誰でも「良い教師」になれると思うのです。
私が尊敬する先生が好きな言葉に、次のようなものがあります。
教えるとは 希望を語ること
学ぶとは 誠実を胸にきざむこと
(ルイ・アラゴン)

後輩と、誠実に向き合って自らが学び、共に希望を語れたら、なんて素敵でしょう。
ぜひ慌てず、焦らず、ゆっくり「先輩」になっていってください。
(Twitterまとめ)

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