音楽をしたいから、奏でる ~ATレッスン記録~

昨日は久しぶりにバジル先生によるアレクサンダー・テクニークのレッスンでした。
トランペット、ホルン、フルート、オーボエ、リュートなど様々な楽器の方々と触れ合いながらのレッスン、またたくさんの発見をすることができました。というわけで、今日はその記録をブログにまとめておこうと思います。
①腰痛が気になるときは…

・楽器を頭の上まで持ち上げたり、左右にふったりして「持つ」ことのWarm-upをする
・マウスピースを顔まで持ってくるときに、肘関節の動きだけを使う。手首はその後で正しい位置に導くために使う

私自身も腰痛持ちで、楽器を吹いていると背中が突っ張ってきてしまう方なのですが、このWarm-upは楽器をどう持てば楽に安定させられるかを体に覚えさせるというような感じでとても効果的だなと思いました。
また、私も以前指摘を受けましたが、マウスピースを顔まで持ってくるときに、一度に手首の動きまでつけてしまうと、無駄な動きが加わって、変な力みが入るように思います。まず肘関節だけで顔に近づけて、微調整を手首でする、この流れを身に着けていきたいなと改めて思いました。
②悪の巣窟、完璧主義
途中で完璧でないことが起きてしまったとき、すべてダメだと思い込んでしまう。すると、自分の才能を疑い始め、やる気を失い始める。
途中で完ぺきではないことが起きても、「音楽を奏でたい」と思っていれば、その後、奏でたい音楽を奏でていくことができる。

確かによく考えてみれば、音楽に「完璧」などなくて、求めればどこまでも追求していけます。だからこそ、自分の演奏に完璧を求めるなど奥がましいことでもあるし、何よりも「音楽をしたい」という能動的な欲求を抑え込んでしまう思考なのだと思います。
全部で12個音があったとしたら、どこまでできたか。自分に何点をつけられるか。そう考えてみると、0点なんてことはなくて、必ずどこかしらできたところがあって、しかもそれは回数を重ねるごとに少しずつ増えていったりするものだと、実際にオーボエの方のレッスンを拝見していて感じました。
③高い音を吹くには…
 息のスピードを増やす
  ↓
 一定時間に楽器に吹き込む息の量は多くなる
  ↓
 息の量を増やす
  ↓
 お腹をもっと動かす(下から上に持ち上げるように)

私も部活で生徒を指導するときに、「息のスピードが足りない」ということが多々あります。でも、よくよく考えてみれば、スピードを上げるということは、一定時間に吹き込む息の量も同時に増やさなければならなないですから、お腹の動きも活発にさせる必要が出てきます。口先だけで息のスピードを増やすことはできない。すごく納得がいきました。
④自分の実力を知ることは、気楽になるということ
音楽はそもそも気楽なもの。人生の苦悩を和らげてくれるのが音楽。自分の実力を知ることでショックを受けることもあるかもしれないが、ありのままの自分を受け入れ、「できるはずだからやる」というサイクルに持ち込んでいく。

自分の実力以上のことはどうやったってできません。でも、素の自分でいることができれば、自分の実力を最大限に発揮することもできます。「できないから、できるようにするために練習する」というサイクルに持っていくのではなく、「できるはずだから、やりたい音楽を奏でる」というサイクルに持っていくと、真の自分の実力で自分のやりたい音楽をやることができるのかもしれません。
⑤自分の中の先生は女神のような先生
自分の中にいる先生は、鬼軍曹みたいな先生ではなくて、やってみて「あー、できたね」と言ってくれる女神のような先生。

「なんでお前はできないんだ!」「もっとできるはずだろ!」と自分の中で自分を追い込んでしまうと、過剰な緊張感が走り、思うように吹けなくなります。誰にでもいいところは必ずあって、ワンフレーズ吹いたら、その中に良かった部分は必ずあるはず、そう思って演奏して、できたところに対して自分を褒めてあげられると、もっとやりたい、もっと楽しみたいと思えるのかなと思います。
⑥外すかどうか、ではなく「音楽を奏でたいか」
「出るかな?」と不安な声が自分の中に聞こえてきたら、「はいそうですか」「知るかそんなの」と受け流す。とにかく、これからやろうとするフレーズで自分が満たされているかが大切。満たされていて、やりたい音楽があれば、音楽に集中できる。

⑤と通じるところはあると思うのですが、自分の頭の中でささやきかける悪魔の言葉「できるか?」「出るか?」という問いかけをスルーできるかどうかってとても大切なことだと思います。これにはもちろんトレーニングが必要になってくるように思いますが、まずそういう悪魔のささやきが聞こえたたら、「はいそうですか」「知るかそんなの」と受け流すように心がけると、次第にそうした声が聞こえなくなってくるのかもしれないなと思いました。
⑦難しいところを自ら難しくしていませんか?
難しいところ=決めどころと考えすぎて、いつの間にか自分で難しくしてしまっていることは多い。初めて聴いたときの印象で吹いてしまうと、速いパッセージを必要以上に速く難しく吹いてしまうことがある。譜面に書いてあることに忠実になれば意外と簡単。

難しいところは、誰でも苦手意識を感じるところだと思います。苦手意識がはたらくと、余計に難しく考えてしまって、難しさに雁字搦めになってしまうことは、楽器だけでなく勉強などでもよくあることです。一度冷静に譜面を見返してみて、テンポをしっかりつかんで、ていねいに演奏してあげるだけで吹けるようになるパッセージは増えてくるのだな、とホルンの方のレッスンを拝見していて思いました。
⑧曲にのって吹けば、コワいものはない
頭を自由にして、それに全部がついていくようにして、首や顎を自由に動かしながら曲にのって演奏することができれば、音楽的に演奏できる。そのためには、よく曲を知っておくことが大切。知らない曲や、練習不足の場合は一か八かで本番のってみると上手くいく。

これは自分のレッスンで気づいたことです。実際にバジル先生に首や顎を触れていただきながら演奏してみたら、意外と自由に動いていることに気付きました。曲であっても音階練習であっても、常に音楽にのること。音楽がしたいから、楽器を奏でているのだということを忘れずに、意の思うがままに自由に動けるようにしてあげると、演奏もそれだけ音楽的になっていくのだなと思いました。
⑨まとめ(バジル先生の図を拝借)

『できないからやる』という発想からはじめても、自己否定のサイクルに陥ってしまう。
『音楽をしたい、だから奏でる』という自分の中に自然にある発想からはじめれば、素直に音楽ができる。

画像

本来ならば今日、バジル先生のThinking Bodyのセミナーがあって本当は行きたかったのですが、仕事で行かれず無念に思っていたのですが、思いもよらず昨日のレッスンでその一部を体験することができて、大変勉強になりました。
…プロコース行きたくなってきた(笑)
(Twitterまとめ)

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