なぜ人は音楽を選ぶのか ~演奏家のための「こころのレッスン」を読んで②~

少しずつ読み進めている『演奏家のための「こころのレッスン」』ですが、今日は第5章「意志の力」で気になったところを中心に読書日記をしたためていきたいと思います。
なぜあなたは音楽が好きなのでしょうか。最後にその質問を自分に問いかけたのはいつの頃だったでしょうか。
音楽を聴いたり演奏したりすることで、どう感じるのか、自分自身に問いかけてみましょう。音楽は私たちに、愛、興奮、喜び、悲しみ、あるいは精神的な満足感までも経験させてくれる手段となるでしょう。
あなたは他の人たちと音楽を分かち合うことを楽しいと思うでしょうか。もしそうなら、どのように?
音楽はあなたに、他では経験できないどんな機会を与えてくれるのでしょう。

いざこのように問いかけられてみると、自分はなぜ音楽が好きなのだろうと少し悩んでしまいます。好きだから、好き。それ以上でもそれ以下でもないからです。
でも、問いかけ方を変えて、「音楽は自分にどのような経験をさせてくれたか」と考えてみると、様々なことが思い出されます。音楽をやっていなかったら出会わなかった大切な人たちも多いでしょうし、大勢の前で喝采を浴びる経験もなかったでしょうし、何よりも自分自身の感情をこんなにも素直に表現できる手段を持たなかったことだろうと思います。
街には音楽があふれています。
それだけ、人々の心に音楽は何か充足感のようなものをもたらしてくれたり、時に自分の心を代弁してくれたりするものなのだと思います。逆に、そう思っているからこそ私は音楽が好きなのかもしれません。
では、「音楽がしたい」と思ったとき、その究極の目標は何なのでしょうか。
その答えの一つは、この本の中では「音楽と一体となること」だと書かれています。
こればかりは経験してみないとつかめない感覚かもしれません。でも、心の中にある音楽と鳴っている音楽が一体となった経験は、無意識のうちに誰もがきっと経験したことがあるようにも思います。
例えば、思わずTVから流れてきた曲に合わせて鼻歌を歌ってしまったとき。街で聞こえてきた音楽に合わせて体を動かしたくなったとき。そんなたわいもない瞬間でも「音楽と一体となっている」と言えるのかもしれません。
「音楽と一体となる」と考えると少し難しい経験のように思いますが、難しく考えずに、無意識のうちに音楽に入り込めていたら、それが音楽と一体となることなのだと思います。
話がだんだん脱線してきました…
では、「音楽と一体となる」ためには、演奏家としての自分はどんなことをすべきなのでしょうか。
この本にもいくつかの手掛かりが書かれていました。
印刷されたページ(楽譜)は、音楽の一部を表しているにすぎません。残りはあなた個人がそのテキストをどう解釈し、表現するかによるのです。こうした個人的な要素を欠いた解釈をすれば、音は平板に、機械的に聞こえ、一方個人的な要素を取り入れた音は生き生きと聞こえるようになるのです。
楽譜の目的とは、私たちに曲の骨子、すなわち構造や骨組みを示すことです。あなたはその骨組みにさらに肉付けをして、自分だけの音楽的な、個人的な解釈を加えることが大切なのです。
でも、楽譜を丹念に読み、熟知しておくことこそ、演奏力を発揮するための第一歩なのです。
弾き始める前に楽譜について熟知することを演奏目標としていることによって、印刷されたページから解放され、音楽の解釈や表現にいっそう集中できるようになるのは確かだということは、覚えておいてほしいのです。
もし曲を学び始めた瞬間から、何を弾いているのか、どのように響くのか、どんな感情や意味を表現したいのかを心にとどめておくことができれば、そのような音はあなたの演奏の質となって表れることでしょう。あなたは音楽のまさに本質を再現するために、自分の最終的な目標をはっきり認識するというトレーニングにも、エネルギーを集中させなくてはならないのです。

音楽と一体になるためには、まず曲を熟知しておくことが大切です。自分も「練習不足だな」「この曲あんまり知らないな」という不安な気持ちを抱えていると、「落ちてはいけない」「外してはいけない」の自己否定方式の思考に陥ってしまう経験が多々あります。逆にスコアまでよく読んで、何度もいろんな音源を聴いて、なじみ深くなっている曲を演奏するときには、「こういう風に吹きたい」という自己肯定式の思考が始まり、音楽と一体になれたと感じることが多いように思います。
まずは楽譜をよく知ること。
その上で、自分はどんな音楽を奏でたいと思うのか。

それが、音楽と一体となるための第一歩であり、自分が音楽をやっている究極の目標でもあるように思いました。
いつもながらまとまりのない文になりましたが、今日はこのへんで。。。

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