“仲間”への伝え方 ~音楽をやる時はみな対等~

「吹奏楽部は体育会系だ!」
この言葉は、私が中学生の時の指揮者に言われた言葉ですが、今考えてみると、たくさんの意味が込められているように思います。
1つめは、「体を使う部活であること」
当然のことながら、楽器を吹くには「ある程度の」体力を使います。
トランペットだったら、口の周りの筋肉、呼吸を支えるための筋肉、楽器を支える筋肉を使いますし、立奏の場合やマーチングの場合はさらに姿勢を保つための筋肉も必要になってくるかと思います。
しかし、ここで勘違いしてはいけないことは、運動部で行うような腹筋運動や腕立て伏せなどで鍛えられる筋力と、楽器を吹くのに必要な筋肉は違うというところです。それを知った上で、単に体力向上のために筋トレや持久走などを行うことは意味があると思いますが、活動時間が限られている部活動では、よほど楽器の練習をした方が効率がよいと思います。
ただ、体をほぐして、よりよい状態にしてから楽器を演奏するという意味では、演奏前に簡単に呼吸法やストレッチなどを取り入れることは有意義だと思いますし、実際私も、軽く走ってから柔軟体操をして楽器を吹くと調子がよくなることも多いです。個人差もあると思いますが、試してみるのもわるくないかもしれません。
2つめは、「(意外と)上下関係が厳しい部活だということ」
違う部活もあるかとは思いますが、一般的に吹奏楽部の上下関係は厳しいことが多いです。1年生が上級生がくる前に練習場所のセッティングをして、先輩に言われたことは「はいっ!」と答えて迅速に動かなければいけない、そんな風景はよく見られることだと思います。小学校や中学校では、1年生が3rd、2年生が2nd、3年生が1stやSoloを吹く(発達段階に合わせてということも考えの一つとしてありますが)、ということもあるかと思います。私が聞いた話では、1年生で入部すると、返事や敬語の練習から始まる学校もあるそうです。
確かに、先輩と後輩が、教師と生徒が、緊張感の全くない慣れあいの関係になってしまったら、けじめもつかないし、音楽的な指示も通りづらくなると思います。ですから、「上下関係」というよりは、「最低限、人として相手を尊重する態度」というものを互いに持つべきなのではないか、と私は考えています。
先輩だから、後輩に何を言っても、何をやらせてもいいわけではない。
教師だから、生徒に何を言っても、何をやらせてもいいわけではない。
指導者だから、団員に何を言っても、何をやらせてもいいわけではない。
その逆も言えることで、理想論にはなってしまうのかもしれませんが、やはり「音楽をやっている間は皆対等」なのだと思います。互いに感じ合ったことを出し合い、自分たちが目指す音楽をつくっていくためには何が必要なのかを共に考える、そういうことができる集団こそ、これから力を伸ばしていくことができるのではないでしょうか。
同じ指摘をするにしても、言葉や表情一つで相手の受け止め方は変わります。
例えば、
「何で吹けてないの?ちゃんと練習してこい!」
→「どうやって練習してみたのかな? こういう風に練習してごらん」
→「どのくらい練習してみたのかな? もう少しじっくりやってみようか」
「ほら、そこのトランペット合ってない!もう一度!」
→「トランペット、何を気を付けたら合うと思う? ……じゃ、そこに気を付けてもう一度。」
→「トランペット、頭の中で出す音を歌ってから吹いてごらん。じゃ、もう一度。」
私も口下手なので上手い表現になっていないかもしれませんが、どちらの方が受け取る人間が練習をする気を起こすでしょうか。厳しく言われる方がやる気になる人もいるかもしれないけれど、常に言われた人の気持ちになって、言葉を選んでいくだけでも、本当に伝えたい気持ちさえあれば、相手には伝わるのではないでしょうか。
そんな風に思っているし、自分も気を付けなくてはいけないなと思ってます。

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