「上手くならなきゃ面白くない!」 ~自分のペースで上達を楽しんでいくこと~

中学のとき指導して下さっていたコーチが上手くならなきゃ面白くない!」とよく仰っていたのですが、最近その言葉が身にしみています。
もちろんただ上手ければいいということでもないと思います。でも、やっぱり上手くなったらできることも増えますし、できることが増えればそれだけ楽しみも増えていくと思うのです。例えば、「ドレミファソラシド」の1オクターブしか出せない状態よりも、もう1オクターブくらい音域が広がった方が、演奏できる曲の幅は広がりますよね。
このように、音楽に限らず物事は「できるようになったことが増えれば増えるほど面白くなる」ものだと思うし、自分で楽しみを見つけたり、道を切り拓いていく力も強くなっていく気がします。
しかし、物事ができるようになるためには、少なからず時間がかかります。なかなかできるようにならずに、何度も同じことを繰り返し練習しなければいけないことも出てくると思いますし、途中でめげそうになることもあると思います。もちろん、それをただ我慢して耐えて練習するだけでできるようになるわけでもありませんが、すぐできないからと諦めてしまうのはもったいないことです。
「できるようになる」という意思を持って自分自身を観察し、必要なことを考えて工夫や努力を続けていけば、少しずつでも上達することはできるはずです。この時に、どんなに小さな成長も見つけて、自分の可能性を信じてあげて、できることをだんだんと増やしていけたらいい気がします。
上手くなきゃ面白くない」わけではありません。でも、できないまま何も考えずに与えられたものをこなすだけというのも、もったいない話です。どうせ時間を割いてやるのならば、少しでも成長し続けていける方がいいはずです。どうすればもっと良くなるか、探求していくことは面白いことです。せっかくやるなら面白さを追求した方が楽しいですよね。
例えば、バテやすいのはなぜかを考えてみます。
・唇を振動させることに力を使いすぎてはいないか。
・息を吹き込みすぎて楽器から跳ね返ってくる抵抗が強くなっていないか。
・全身に力みがあって、必要以上に体を固めていないか。
・唇をマウスピースから離す時間はあるか。
・ウォーミングアップはどの程度したか。
など、確認できることはたくさんあると思います。それを一つ一つ試してみて、少しでも良くなることがあったらしめたものだと思います。こんな風に、ちょっとうまくいかないことがあったら、何かないかなと思って試してみること。それでも、うまくいかなかったら他の視点から試してみる。そんなことを繰り返していくうちに、自分に身に付くことはたくさんあるはずです。
また、「自分はどうせ下手なんだからダメだ」と思って何も手を打たなかったら、本当に下手なままで終わってしまいます。それもまたもったいない話です。何事も自分なりに頑張ればいい。その頑張りは必ず上達に繋がるし、自信になっていくはずです。自分を卑下するのは慰めになるかもしれませんが、根本的な解決にはならないし、自分がせっかく持っているかもしれない可能性を潰すことになります。
みんながみんな一流のプロのように上手くなることはないかもしれません。でも、いくつになっても自分なりに上達し続けることはできると思いますし、いつまでも自分の可能性を探っていくことは可能です。長い年月をかけて、ゆっくり自分のペースでできることを増やしていくことも、一つの生き方だと思います。
もしかしたら、特に学生のうちは、「○○までにこれを吹けるようにならなくてはいけない」といったプレッシャーがかかる場面も少なくないかもしれません。そこまでにできなかったら、周りから責められたり、メンバーに選ばれなかったりといったことも実際にはあるようにも思います。でも、上達曲線は人によって様々です。サボっていてできないのは論外ですが、一生懸命頑張ってやってみて、自分のベストが尽くせたとしたら、それを周りの誰もが責めることはできないことだと思いますし、自分の事を卑下することは一切ないと思います。
一方で、「ただ楽しけりゃいい」という考えもあっていいと思います。でも表面上の楽しさではやがて飽きがきます。それで辞めてしまうなら自分にとってさほど大切なものではないもいうことです。もしそこで辞めたくないと思ったら、本当の楽しさを求めて頑張ることを始めたらよいのだと思います。
いろいろ考えてみると、やはり最後に大切になってくるのは「自分が何をやりたいか」というところのような気がします。途中でどんなにしくじっても、やる気がなくなっても、「やりたい」「こうなりたい」という思いがどこかにあれば人は前に進んでいけるように思います。理想があって、そこに少しずつでも近づいていけたらいい。なかなかその差が縮まらないように思ったとしても、スタート時点から少しでも前に勧めていたらそれでいいと思ってみる。そうやって、自分の力で、自分のやりたいことをやって、自分にしか生きることのできない人生を楽しんでいけたらいいような気がします。
「上手くならなきゃ、面白くない!」
この言葉は、私にとって自分を奮い立たせてくれる言葉です。「上手くならなきゃ」と自分にプレッシャーをかけすぎるのもやり過ぎだとは思いますが、「上手くなってやる!」という気持ちでいろいろ探究していけたら、面白さも何倍にも膨れ上がっていくでしょうし、実際に成長していけるように思います。
私も不器用でなかなかいろいろなことが上手くいかなくてめげそうになることもありますが、どんなに遠回りしてでも、自分に正直にあり続けられたらと思います。

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