練習の中に楽しみながらソロを取り入れてみる

先日、約10年ぶりにソロの発表会に出る機会がありました。今ラッパを習っている音楽教室の発表会だったのですが、幼稚園生から高齢の方まで、弦楽器、ピアノ、サックス、ホルン、トランペット、声楽など、様々な楽器を生徒さんたちが思い思いに音楽を奏でている姿を見て、改めて「音楽っていいなぁ~」と思いました。
ソロは自分がどう奏でたいかがものすごく問われる分、曲とじっくり向き合って色々なことを学ぶことができるし、自分を磨くことができて、とても勉強になるなと思います。自分自身も本番は外したり、思うように吹けなかったりした部分も多々ありましたが、「お客さんとつながって演奏しよう」「ここはこんな風に吹きたいんだよな」など考えながら吹くことで、10年前にソロをやった時より変に緊張しすぎず、とても楽しく本番を終えることができました。これも、アレクサンダー・テクニークを学ぶようになって思考が変わってきたこともありますが、いつも自分の長所を引き出しながら教えて下さる荻原先生はじめ、自分を調子に乗せながら伴奏して下さった伊藤さんのお陰だと思います。本当に感謝です。
日本人は「上手いか下手か」「ミスをしたかしないか」というところに焦点を置きやすいと言われることがよくあります。その結果、演奏者としても、「上手く吹かなきゃ」「ミスをしないようにしなきゃ」という思いがとても強くなるような気がします。もちろん音楽家が人生をかけたコンクールなどではそのような意識も必要なところはあるかもしれません。
でも、上手くなくちゃ音楽をやってはいけないのか。
それはまた違うと思います。例えばトランペットだったら、神様と言われるモーリス・アンドレしか吹いちゃいけないのかと言ったら、誰も「そうだ!」とは言わないはずです。今回、発表会でいろいろな人の演奏を聴いていて、決して上手だとは言えない演奏だったとしても、その人がどのような気持ちで音楽や楽器に向き合っているかというところに注目すると、すごく心に訴えかけてくるものがあったし、自分自身が音楽とどう関わっていくかを改めて考えるきっかけにもなりました。
ソロをやってみること。
それは、自分自身が音楽や楽器とどのように関わりをつくっているかを再認識するとてもよい機会になる気がします。勇気のいることかもしれませんが、「上手く吹かなきゃいけない」わけでも、「ミスをしてはいけない」わけでもないのです。もちろん人とアンサンブルをすることで気づくこともありますし、どの形態が良いということはないと思いますが、音楽をやる以上、自分がどう向き合っているのかということが明確に分かりやすいソロという形態に挑戦することはとても大切なことだと思います。
大人数でやる音楽は、いろんな色を重ねながら深みを増していく油絵のような良さがある気がしますが、ソロもいろんな色を混ぜながら自分の世界を作り出していく水彩画のような良さがあるような気がします。どちらにも良さがあるし、どちらも知っていると、自分の音楽観は深まるような気もします。
最近はソロコンもあったりして、吹奏楽をやっている中高生にもソロで演奏することが身近になってきたかもしれませんが、吹奏楽での表現力を磨くためにも、自分の中にある音楽に出会うためにも、耳にした気になるメロディを吹いてみるでもいいし、もっと気軽にソロに取り組めたらいいなと思います。
個人的にはあがり症のため、人前でソロを演奏するなんて無茶苦茶緊張して手足ガクブル状態になるので、なかなか挑戦できない人の気持ちはよく分かります。それでも、日々の練習にソロ曲を取り入れてみたり、吹奏楽やオケで練習している曲以外に取り組んだりすると、得るものは大きいなと感じます。
なかなか時間もないかもしれませんが、目の前にある譜面をより豊かに表現できるようになるためにも、目の前にある譜面だけにかじりつかず、いろんなものに興味を持って取り組めるとよい気がします。基礎練習も然り。何事も興味を持って追究し続けていけば必ず上達につながるはずです。
ソロ、やってみませんか?

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