物語のススメ ~イメージを具体化して、奏でたい音楽を見つけていく~

昨日のブログで、「こう奏でたい」というイメージをつくるために「曲に物語をつけてみるのもいいですよ」ということを書きました。善し悪しはあると思いますが、表情記号や強弱記号の意味を深め、自分たちでどう演奏をつくっていくのかを考えるきっかけとしては使える方法だと思います。
音楽経験の浅い子どもたちと音楽づくりをしようとした時、「ここはどういう風に吹きたい?」と尋ねても、なかなか返事は返ってこないこともあります。”espressivo”が「表情豊かに」という意味だと知っていても、「どうやって表情をつければいいのですか?」という質問をされることもあります。マーラーのように、ドイツ語でかなり具体的に指示してある譜面もありますが、多くの場合は譜面に書いてある楽語を見て、作曲者がどのように演奏して欲しいと考えたのかを想像し、解釈して演奏に臨むことになります。
その時に必要になってくるのが「楽語を噛み砕く」という作業です。
楽語や記号などに込められた想いをどのように読み解いていけばいいか。本質的なところまで探っていくためには、本格的な勉強が必要ですし、指導者が勉強してそれを伝えるということが本来は必要だと思います。ただ、人に言われたイメージというのはなかなか一人ひとりが自分のものとして消化し、表現につなげていくことがなかなか難しいものです。
そこで、自分自身も中高生の頃から曲に物語をつけてみるのが好きだったこともあって、自分が指揮を振る曲については、まず生徒たちにスコアと音源を渡して、それぞれの箇所をどのようなイメージで演奏したいか、一人ひとりに考えてきてもらうようにしています。そして、それを生徒の責任者が集約して、集まってきたイメージをつなぎ合わせながら、一つの物語をつくりだすようにしています。なかなか上手くまとまらなかったり、自分の意見が通らなくて気持ちが乗れなかったりする生徒もいますが、イメージを共有することでだいぶ意識的に練習する生徒が増えた気がしています。
下の図は、数年前のコンクールで生徒たちが書いてきた「物語の台本」です。生徒がどのように曲をとらえ、どんな雰囲気で奏でたいと思っているのかがよく伝わってきて、「ここはこんな場面だけど、もし自分がこういう場面になったらどんな気持ちになるだろう?」「こういう気持ちを表現するためにはどんな音色で吹いたらいいかな?」といった問いかけをしながら、一緒に音楽づくりを楽しむことができました。
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これはほんの一例ですが、この他にも「せーの!」でその場面のイメージに合う色をみんなで言ってみたり、子どもたち一人ひとりがその音楽に対してどのようなイメージを抱いているのかを引き出す方法はたくさんあると思います。そういった「自然な気づき」を大切にしながら、奏でたい音楽を一緒に追い求めていけるような活動をしていけたらなと思います。
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「音楽の可能性は無限大! 自由な中で共通点をつくっていこう!」
http://rapparapa.at.webry.info/201310/article_31.html

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