指揮者の発信力を磨いていくこと

最近「もっと指揮で引っ張るべき」と言われることが何度かありました。はじめは「こんなに引っ張ろうとしているのに…」と思って、どうしてよいのか分からなくなってしまいましたが、改めて自分の合奏の中で見て頂き、いくつか自分に足りないところを指摘していただきました。
①生徒を信頼しきっていない
本当に信頼できていたら、一つ一つ大きく振らなくても、ポイントを押さえて合図を出すだけで、あとは互いに聴き合ってアンサンブルしてくれるはずです。実際にやってみると、大振りをしていたときよりも生徒同士が音を聴き合って「合わせよう」とする意識が強くなっているように感じました。
にも関わらず指揮が大振りになってしまっていたのは、生徒のことを信用できていない証拠だと言われました。確かに「もっと大袈裟に振らないとついてきてくれない」という思いはどこかにあったかもしれません。実は生徒のことを信じているつもりで、ただ従わせようとしていただけなのかもしれないと、今更思うと、何だか情けなくなりました。
②フレーズを振ってあげること
指揮で音楽を引き出すことは難しいことかもしれません。でも大きい、小さい、かたい、柔らかいの組み合わせだけでも表現することができるものは増えます。それもできずにテンポだけ振っているのなら、メトロノームを鳴らしておけばいいだけの話です。指揮次第で出てくる音楽は変わるものです。もちろん、これまでも自分の中にあるものを最大限表現しているつもりでしたが、まだそれでは不十分だったことがよく分かりました。
③分かりやすく伝えること
これは授業でも同じですが、まず「何を伝えたいのか」というところを明確に持っていないと、主題がボケてしまい、結果として伝えたいことが伝わらないということはよくあることだと思います。だから、指揮者となるときには、曲の隅々までを読み込み、どのような曲に仕上げていこうとするのかイメージ図を描いた上で、どのようなことが練習で起こるかを予測し、実際に起こったことに対してどのようなフォローやケアをするのか、といったプランを持ち合わせている必要があります。そう考えると、自分はスコアの読み込みも不十分だし、どこか感覚的で、主張のつかめない合奏を繰り広げてきたような気がします。
最近、とある人に「先生の合奏は生徒とのつながりも、音楽的主張も感じられない」「伝えたいことが分からない」と言われたことがありました。確かに自分はまだまだ未熟過ぎで、本当に生徒たちと本気で音楽をつくろうとする気概が足りなかったのかもしれないと改めて反省しました。
大切なのは、自分の中にあるものをどう表現するか、現時点で聴こえてきた音に対してどう応えるか、というところなのだと思います。自分の場合、そこの自己主張が強すぎて「もっと、もっと」と大振りになっていくことが多かったように思います。
経験と、本当の信頼関係。
とても大切なことだけれど、それがまた難しいところでもあり、でも楽しいところでもあり、といったところでしょうか。
またこれをバネにして頑張っていこうと思います。

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