息を送り出すだけで楽に楽器は鳴ってくれるもの ~Tpレッスン記録~

昨日はBody Chanceの先輩トレーニーである佐藤徳哉さんが最近アレクサンダー・テクニークの考え方を取り入れたレッスンをされ始めたと聞いたので、早速お願いして受けてきました。
自分の悩みとしては「リップスラーが不調」「バテやすい」ということだったのですが、まず「ppで真ん中のFを伸ばしてみてください」と言われました。
そこで、観察
あまり大きな動作ではなかったので初めは分かりづらかったそうですが、マウスピースを唇に当ててから音を出すまでの間に息を吸うためにいったん少しだけ唇を離しており、そこから吹こうとするために、音の立ち上がりが安定しないということ、しばらくすると唇とマウスピースが密着してくるので音も安定してくることに気付いていただきました。
そして、プランの提案
①頭が動けて体全体がついてきて、周りの空間を感じて、脊椎のカーブを思う
②マウスピースに腕がついていくことを意識しながら楽器を構える
③唇を湿らせる
④口をふくらませる ※慣れてきたら省略
⑤歯にマウスピースを密着させる
⑥ただ下から上に向かって息を流す
⑦息は100m先をいっている
実際にやってみると、Fの音を出そうとしているのに、B♭の音がかすりました。
それだけ今まで力を使って音を出そうとしていたのか・・・。
もっと軽く吹いただけで、楽器は鳴ってくれるものなのだ。
新しい発見でした。
さらに何回かやっているうちに、ノーアタックでもはじめから「タァーン」と響きのある音が出るようになり、不調だったリップスラーもまるで勝手に音が変わってくれるかのように楽にできるようになりました。
確かにリムの中に唇をおさめるだけで、上唇と下唇はある程度くっつきます。そこに息が通れば振動が勝手に生じて音が鳴ってくれます。そう考えると、今まで楽器を吹く直前に唇をマウスピースから離して息を吸う動作が大きすぎて、もう一度口輪筋を使ってアンブシュアを作り直すという過程が入るためか、余計な力を使って吹きがちになっていたのかもしれません。そういえば、源三先生に学生時代言われた「当てて、叫ぶんだよー!」「息を吸わないで吹いてごらん」と言われたなということをその時思い出しました。
ただマウスピースに唇を密着させて息を送り出す。それだけで楽器が楽に鳴ってくれるのです。
そして出た音、出した後の息にまで責任を持ちすぎないで、今その瞬間に自分がする仕事に集中してみると、結果として出てきた音は生き生きとしたものになるような気がしました。
そんなところから、吹奏楽部でよく見受けられる「ブレスをそろえる」という行為は、大きな意味では大切なことかもしれないけれど、「スーッ」というブレス音までそろえるのは奏法的にはナンセンスですよね、という話になりました。その癖がつきすぎているために、吹きづらさが生じている例も少なくないのではないかと。あらかじめ息を吸っておいて、後は空気感で合わせていくという捉え方の方が現実的なのかもしれません。
「とにかく息をたくさん吸って吐け」
と言われやすい吹奏楽の世界。それ自体が決して間違っているわけではないけれど、その言葉だけをとらえて不自然なことをしている吹奏楽部員はたくさんいます。「息は足りなくなったら勝手に入ってくる」「吸気と呼気の間には“間”があるのが自然」などの考え方がもっと浸透していけば、もっと楽に自然に音楽の流れを大切にブレスというものを考えられるようになるし、奏法的にも無理のないものになっていくのにな、と改めて思うのでした。
2つ目のお題は「フィンガリング」
半音階を吹いてみます。
・・・下りが引っかかります。
そこで、また観察
後でネタばらしをして下さいましたが、どうやら自分はピストンを「つかみにいく」ように指を動かしているように見えたそうです。これに対してのプランは次のようなものでした。
①指の付け根を手の甲で確認する
②指の長さを感じる
③指が遠くから動いていくと意識する
④指先がピストンボタンに向かっていく
⑤指を付け根から遠くの方で動かしているように意識しながら、頭が動いて、体全体がついてきて、吹いてみる
これもまた勝手に指が動いてくれる感覚で、何とも言えない不思議な感覚でした。確かに、荻原先生のレッスンでも、「指の付け根から叩くように」ということをよく言われていたのですが、必要以上に指をちぢこませて動かしていたのだなと改めて気づかされました。
と、何だかんだしているうちにあっという間に2時間が経ち、レッスンは終了。
まだまだ自分がアレクサンダー・テクニークを使うことができているかというところで止まっている私にとって、フルタイムでずっと勉強されている方のレッスンは、いつか自分が教える立場に立った時に生徒さんとどう向き合っていけばいいのか、という点でも非常に勉強になりました。
ありがとうございました!
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佐藤徳哉さんのブログ
「サトウトクヤの知ってトクするアレクサンダー・テクニーク~トランペットを誰もが楽しめる楽器に~」
http://tokuya-tp.hatenablog.com/

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