「~してはいけない」より「~したい」という思考で行動していく ~ATレッスン記録~

昨日はThinking Bodyの授業でした。テーマはアレクサンダー・テクニークを学ぶ上では最も重要になってくるであろう「抑制と方向性」ということで、いろいろな実験も織り交ぜながら楽しく学ぶことができました。今日のブログではそこでの学びをできる限りまとめていきたいと思います。
■All together, one after the other(すべて一緒に、一つずつ順番に)
・つなげたクリップの先端を動かしたら、つながっているものがそれについて動くようなもの。
・頭が自由に動けるようになっていれば、それについてセキツイは1つ1つ協調しながら動いていく。
・ただし、人間の体は複雑にできているから、単純ではなく、それに付随していろいろな動きが生じていく可能性もある。

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■抑制(inhibition)
・今までやっていたことをやめること。
・やりたくないことをやらせないアクティビティと捉えることもできる。
【実験1】筋肉が動くしくみ
 ① 腕を前に立てて、握り拳をつくる。
 ② 握り拳を後ろに反らしてみる
 ③ 反らすのを止めると、一気に元の状態に戻ってくる
→筋肉は脳が指令することで、電気信号をONすることによって収縮する。指令をすることをやめれば、収縮を止めて元の状態に戻る。

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⇒頭・セキツイの関係を言うこと→元の状態に戻ること=指令を止めること と考えることができる。
【実験2】「~してはいけない」という指示で人はどう動くか
 ① 2人1組になり、「指示役」と「指示を受ける役」に分かれる。
 ② 指示役は、相手にどこに行って欲しいかを決める。
 ③ 指示役は「~してはいけない」とだけ指示をして相手を誘導する。
<実験から分かったこと>
・「~してはいけない」というと、たくさんの選択肢がでてきてしまい、より細かく具体的に言わないといけなくなることがわかる。
・「~してはいけない」と言われることに対して、精神的に嫌だなと感じたり、それによって固まってしまうことがある。
→人の脳は「Don’t ~」を上手く理解できない。「~」の部分に意識が向いてしまい、頭の中は「~」の部分でいっぱいになってしまう。それなら、したいことをする方向に意識を向ける方がよいのではないか。
⇒アレクサンダー・テクニークをやるのは、寿司屋で「おまかせ」を頼むようなもの。つまり、職人(自分自身)はいい腕(いい体の使い方)をもっているから、あとはおまかせすればいいものを出してくれると考えればいい。
■方向性(direction)
・新しいことをやるためにすること。 それが、「頭が自由に動けて、からだ全部がついてきて」ということ。
・「自分に対する指示」という意味と、「頭を上へ」「背中を広く」など物理的なことの両面の意味を持ち合わせている言葉として捉える。
・NVC(非暴力コミュニケーション)でいう「お願い=request」と捉えてもよいのではないか。
→requestは「No」をきく準備ができている状態でするもの。自分の中でするかどうか選択することができる。
⇒自分の持っている望みやアクティビティによって、具体的なdirectionは変わってくるものである。
【実験3】アレクサンダーが実践したことを試してみる
 ① 2人1組になって、「指示役」と「指示を受ける役」に分かれる。
 ② 指示役が「~してください」とお願いをする。
 ③ 指示を受ける役は、アレクサンダーが実践した下の(1)~(3)のプランを選んで実行する。
  ※アレクサンダーが実践したこと
   (1) 言われたことをする(プラン通りのことをする)
   (2) 言われたこと以外のことをする(プラン以外のことをする)
   (3) ただ今までやっていたことをやり続ける
<実験から分かったこと>
・指示されたことに対して、基本的には従う姿勢があるが、自分に不都合なことならやめるという選択肢がとれる。
・言われたことを「しない」という選択肢をとったときに、罪悪感が残り、体が固まってしまうことが起こる。
・言われたことを「しない」という選択肢をとるには、相手との信頼関係が必要。
・頭とセキツイの関係をお願いしていると、言っていることを受け入れて、その後の選択肢も増える。
・自分が自分なりの選択をするときに、頭とセキツイの関係性が大切になってくる。
→人は言葉で聴いた瞬間に、その動作をしようと体が反応するもの。違うことをしたり、やらないためには、相当の意志と信頼が必要
⇒相手との関係と同じように、自分と自分の関係においても「意志」と「信頼」は大切になってくる。
 
■抑制と方向性
「抑制」が悪いことというわけではなく、自分にとって役に立つことをやればいい。その時に、したいことをする方向に意識を向け、directionを与えることが、結果として自分を効率よく使う方法につながっていくと考えられる。
今まで当たり前にやっていたことをやめることは、時としてとても勇気がいることかもしれないけれど、やめてみたときの「何が起こるのだろう?」というワクワク感に期待して、先が分からないけれど、方向性をお願いしてみることもありなのかもしれない。
何かが上手くいかないことがあったら、そのことをいったんやめて、悪循環を絶って、今どうすれば良いのかを考えて、また何かをやっていくのもありえること。人間は何かすることをやめても、必ず何かをしているものだから。
そうやって、意識して新しい神経回路をつくっていくことで、自分に与えられた可能性は大きく広がっていくし、もっと自由に、自然体で自分を使っていくことができるのかなと思った。

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■「頭とセキツイの関係」をお願いするときに気をつけたいこと
「頭とセキツイの関係」をお願いする=「頭が自由に動けて、体全部がついてきて…」ということが、「命令」になってしまうと、かえって体が硬直し、自分を上手く使えなくなってしまうことがある。
あくまで、「頭を自由に動かしなさい」という命令ではなく、「自由にしていて下さい」というお願いであることが大切で、もっといってしまえば、自分の体が元々持ち合わせている能力に「おまかせ」してしまう状態が、「頭とセキツイの関係」をお願いしていることになる。
凝り固まっていた体に、油を差して、自由に動けるようにすることが、「頭とセキツイの関係」をお願いする=directionということだと考えてもよいかもしれない。
今回はアレクサンダー・テクニークを学ぶ上で特に重要ともいえる「抑制と方向性」の話について、アレクサンダーさん自身がテクニークを生み出していく過程とも照らし合わせながら学ぶことができて、大変勉強になりました。でも、やっぱり言葉にするのはなかなか難しくて、こうやってまとめていくと本当に自分は理解できているのだろうか・・・と思うところもたくさんありますが、少しずつ消化して、自分の使い方を考えていきたいと思いました。

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「~してはいけない」より「~したい」という思考で行動していく ~ATレッスン記録~” への1件のコメント

  1. 頭が繊細に動けて、体全体がついてくる ~ATレッスン記録~

    アレクサンダー・テクニークのレッスンを受けると、「頭が繊細に(自由に)動けて、からだ全体がついてきて…」という言葉を、先生がくり返しおっしゃっることに気づくかと思います。これはF.M.アレクサンダー氏が発見した頭と脊椎の関係、いわゆる「プライマリー・コントロール」を自分自身に向けてディレクション(方向づけ)ていくときに使われる言葉です。

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