呼吸のはなし ~ATレッスン記録~

昨日はBody Thinkingの授業でした。テーマは「股関節」だったのですが、全体として「呼吸」についての議論が多くされていたので、今回のブログでは呼吸について考えてみようかと思います。
そもそも、人はどのように呼吸をしているのでしょうか。
…ということを誰から習うこともなく、私たち生物は普段まったく考えずに呼吸することができています。息を出し切ってしまえば、勝手に息は入ってきます。このように通常においては、呼吸は勝手にからだがしてくれるものであり、その繰り返しを一生の中で約5億回(ほ乳類の場合)しているわけです。
でも、敢えて自分の身体の中で起こっていることを言葉にして説明するとしたら…。
私も本業は理科の教員ですので、呼吸のしくみについて授業をしたことはあるのですが、いざ説明をしようとすると結構難しく感じてしまうところでもありました。とても単純で、当たり前のことであるはずなのに、少しでも深く足を突っ込んでしまうと、なかなか抜け出せなくなるのが、呼吸の話の難しいところのように思います。
吹奏楽でもよく「ブレスコントロール」「ブレストレーニング」が必要だと言われており、様々な方法が主張されていますが、実際にどのように教えるのが、子どもたちにとって一番わかりやすく、かつ間違ったイメージを与えずに済むのか。最近自分でもよくそんなことを考えていました。
そんな思いの中での呼吸の話だったので、とても興味深く伺いました。
[呼吸のはなし]
・横隔膜の緊張と弛緩だけで、ほとんど(75%~85%)呼吸はできてしまう。
・横隔膜が緊張することで、ろっ骨が動いて開いていって、強制的に肺がふくらんで息が取り込まれる。
・横隔膜がゆるんでろっ骨が広がる力が止まれば、ひとりでに息は吐き出される。
・横隔膜の力だけで足りないときは、ろっ骨を広げるための筋肉(外肋間筋、胸鎖乳突筋、斜角筋)が使われる。
・ろっ骨は三次元的にいろんな方向に動くことができる。
・ろっ骨が広がるためには、まず「頭が自由に動けて…」という状態が必要。
・息を吐くときは、ろっ骨を縮めるための筋肉(内肋間筋)がはたらき、さらに縮むために腹筋がはたらく。
・ろっ骨よりも下の筋肉ははき出すために使われており、息を吸うときには使わない。
・寝ているときなど自然な呼吸をしている時には、横隔膜が下方向に下がるだけで息を吸うので、お腹がぽこんとふくれる。
・楽器を演奏するときでも、自然にやってくれている呼吸があるということを忘れないようにする。
・楽器を演奏するからと言って無理に力任せに呼吸をしようとすると、息が十分吸えなかったり、足りなくなったりしてしまう。
これらのお話を聞く中で、以前バジル先生がブログの中で紹介されていた動画のことを思い出しました。

このようにろっ骨がいろんな方向に広がる可能性をお願いして、頭が自由に動けて、からだ全部がついてくるようにして、演奏をするためにただ息が入ってくる、そんな風に考えると良いのかなぁと。
確かにからだのメカニズムを知っていること、使い方を知ることは大切かもしれないけれど、そのメカニズムを使うために呼吸しているのではなく、あくまで音楽を奏でるために呼吸をしているのだということ。
先生がおっしゃっていた中にも出てきた「自然にやってくれている呼吸があるということを忘れないようにする」ということを知っていること、その上で、自分のからだの可能性をたくさん残しておいて、「~なければならない」ではなく、「~もしてあげることができる」と考えて演奏すること。
改めて一番大切なことは何なのかを考えさせられるよい機会となりました。
その後のアクティビティでは、最近、楽器を吹いているときに下に沈み込むような感覚があったので、そこをみて頂きました。そこで言われたのは「頭を自由にして」「息は下から上」「楽器に息を吹き込まない」「肋骨は後ろにも横にも広がる」を意識するということでした。確かにそこを意識して吹いてみたら、とても楽に息を取り入れ、楽器を鳴らすことができました。
自分がどんな風に動いているか敏感になって考え続けること、一つ一つの動きを大切にすること。常に周りからの情報を取り入れることを忘れないようにすること。そうやって自分の使い方を少しずつ学んで、頑張りすぎている習慣から解放されていくことで、音楽を大切に奏でていけるようになるのかなと思います。
自分が楽に自由になることができたら、周りの空気も変わるものです。これは音楽を奏でる上でも、普段授業をする上でも大切な要素である気がします。「自分の音楽に聴き手をお招きする」「自分の授業に生徒をお招きする」と思って、和やかでホッとできるような雰囲気をつくっていけたらなと思いました。
一つだけ。
「横隔膜は随意筋でもあり、不随意筋でもある」
ということが話題になっていたと思うのですが、帰ってからネットや本でも調べてみたのですがいろいろな意見があって、難しいなぁと思っています。もしご意見などありましたら、コメントお願いします!
先生、クラスメイトのみなさん、密度の濃い時間をありがとうございました!

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