表現の幅を広げるために ~聴くこと、真似ることを大切に~

荻原明先生のブログに次のようなことが書いてありました。
音楽の上達にはまず「モノマネ」から入ることが大事だと思います。何か基本となる材料がなければ「自分なりのスタイル」を作ることは無理なのですから、いろんな音楽、奏者の演奏を真似することが大切です。
http://t.co/LoWbKKAHj7
前にも書いたかもしれませんが、「学ぶ」の語源は「真似ぶ」だと言われています。伝統芸能などを見ていても、教科書的なものがあるのではなくて、師匠の持っている技を盗む、つまり真似るところから芸は始まり、そして自分のものとして身に付けてから「型」を破って自分らしい表現をつくりだしているような気がします。
では、本当に上手にモノマネをするためには、どのようなことが必要なのでしょうか。
私が必要だと思うのは、「するどい観察力」と「似せるための努力」です。
まずはたくさんの演奏を聴いて自分がいいなと思う演奏に出会うこと。そして、自分がいいなと思った演奏はとことん真似してみること。少しずつでいいから憧れに近づいていく。それが上達の早道のような気がじす。
自分自身のことを思い返してみると、モーリス・アンドレは別格として、中学生の頃はナカリャコフ、高校生の頃はアントンセン、大学生の頃はケイマル、そして今はバルサムと、柔らかくて甘い音色が自分は好きで憧れてきました。だから少しはそういう音色に近づいているようには思います。
でも、それを目指す一方で、同時にオケで求められるパリッとした音色も吹ける必要があります。
オケだと断然ウィーンフィル派なのですが、ホールで聴いていて心地よい柔らかい音色も、近くで聴いてみるとものすごくハッキリとクリアに、かつパワフルに吹いています。運良く公開レッスンに混ぜて頂いたときも、「Die trompete spielen!!(君はトランペットを吹いているんだ!)」と何度も言われ、自分の吹き方ではラッパ本来の響きが
出せていないということをものすごく言われました。
今、荻原先生にレッスンしていただいている中でも、「頭の中にきれいな音がなっているのはいいけれど、もう少し汚くてもいいから、息圧を高めておいて、音の輪郭を出せるように」ということをよく言われます。
自分の手元で聴こえている音と、客席で聴こえている音は意外と違うものです。ホールという空間も自分の楽器だととらえて、そこまで考えて演奏してはじめて、お客様の耳元まで自分の奏でたい音楽を届けることができるのではないかと改めて考えさせられます。
だからこそ、客席に自分を置いて、そこで自分の音を聴いているもう一人の自分を、自分の中につくることが必要なのかもしれません。
好きな音、憧れとする音が一つじゃなくて、いろんな奏者のいろんないい音をジャンルの壁をとっぱらって聴いて、いいとこどりではないけれど、場面に応じていろんな音色や表現ができるように、これからも腕を磨いていきたいところです。
さて、今日も頑張ろう。
(Twitterまとめ)

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