指揮者という仕事 ~吹奏楽ゼミナールで学んだこと~

あけましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて私は、昨年末12月28日から3日間行われていたJBA主催の吹奏楽ゼミナールに参加してきました。
新しく発見することもたくさんあってワクワクしたり、日頃から考えていることを他の方の口から聞けてうれしかったり、全国各地から集まってきたたくさんの先生方と交流できたりと、盛りだくさんの講習でした。
中でも特に考えさせられたことは、「指揮者という仕事をする上での心構え」です。これまで指揮法の本を読んだり、DVDを見たりしてはいたものの、ここまで我流できてしまった私にとって、井上学先生の「はじめての指揮」講座はまさに「目からウロコ」でした。
そこで、2014年最初のブログは、「指揮者という仕事」というタイトルで教えていただいたことを自分なりにまとめておきたいと思います。
0.指揮者としての心構え
・一番大切なのは、奏者を自分の方に引きつけられるか
全体を見渡した時に、奏者一人ひとりの目を見ることができているかが大切。全員に好かれなくても、9割は好かれるようなコミュニケーション力は必要。
・今から「演奏してもらう」という感謝の気持ちをもって指揮台に立つ
上から目線で指導しようとしてもうまくいかない。相手の気持ちをのせるためには、「一緒に頑張ろうな!」という気持ちで接することが大切。
1.指揮者は必要か
◎必要な指揮者の仕事
・的確なリズムを刻めるか
メトロノームを前に決められたテンポで振り続けることができるか。
・アインザッツをそろえられるか
次のテンポを1拍前だけで示すことができるか。
→「(ジャン)ケン、ホイ」で練習してみる
◎不必要な指揮者の仕事
・指揮者の動きが演奏の邪魔をしないように
左手の動きが不要なものにならないように気を付ける。斎藤指揮法では、基本的に勉強中は右手だけで振るように言われている。右手だけでも表情が付けられるように練習する。
また、服装がダボダボしているなどの理由で、指揮以外のところに目がいかないように心掛ける。
2.指揮者の資質
・笑顔の法則
日常生活でも同じように、「あの人と一緒にいたい」と思わせられるかが問われる。では、どうすればいいのか。それは「笑顔でいること」。ニコニコしていると人は寄ってくるもの。相手の話をニコニコしながらじっくり聴いてくれるか、これだけでもだいぶちがう。笑顔でいる練習も指揮者には必要。
・人前に立ち自覚を持つ
自分が人からどう見られているか、日頃からの立ち振る舞いをチェックしておくことは大切。指揮を振る前の姿勢だけで、これからどんな演奏をしてくれるのかがわかってしまうくらい重要。
足は肩幅に、胸を張って、アゴは引いて、視線は上、お尻に力を入れ、鏡の前でチェックしてみる。
・コミュニケーション能力
言いたいことを相手に伝えるためには、卓越したボキャブラリーがあるかが大切。「こういう風にしてほしい」という言葉をできるだけ具体的に伝えられるような言葉を日頃から用意しておく。
ボキャブラリーは普段の生活や人生経験だけですぐに出てくるものではない。本や映画、人の言葉でいいなと思ったものは積極的に盗んでいく。また、普段から”see”ではなく”watch”の意識をもって物事をよく見ることが大切である。
3.指揮台に立つ前に
◎授業に指導案があるように、練習の前にも事前準備が必要!
・作曲家調べ
まず、作曲家がどんな時代に生まれ、どんな国で生き、どんな生涯をとげた人物なのか、他にはどのような作品を書いているのかを徹底的に調べる。それだけでも、曲想は大きく広がる。
・作品調べ
作曲家調べが終わったら、作品調べに入る。タイトルから連想されることや、その作品が書かれた背景などを調べると、さらに曲想は広がってくるはずである。
・スコアリーディング
①作品のスコアに小節番号を振る
②練習番号のところに赤線を引く
③コードネームを書き込む
 →どの音が大切か、どんな性格の音かを話せるようにする
・演奏者は指揮者のレベル以上にはならない
自信をもって指導をするためにも、勉強をすることは絶対に必要。奏者は練習をしているのだから、指揮者も合奏に立つ前に下調べを怠ってはいけない。
・語学力を身につける
言葉のニュアンス、イントネーションで音楽の形も変わってくるので、取り組む曲の言語を少しだけでも勉強しておくと表現が全然変わってくる。
4.バトンテクニックより大切なこと
・鏡の法則
メンバーにやる気がないのは、指揮者のやる気が伝わっていないから。指揮者が圧倒的なエネルギーをもって、楽しくやっていたら、ついてくるはず。
・明るい挨拶、指示ははっきりと!
話し方だけで音楽は変わってくる。相手に「今日は何があるかな」というワクワク感を持たせられるような、枕詞を用意しておくことも大切。「この人の語り口は興味がある」と思った人がいたら、盗むのも悪くない。指揮者がくらかったら奏者も暗くなる。指揮者が明るかったら、奏者も明るくなる。
・演奏者が指示を聴いているかを確認する
メンバーの返事が「形だけの返事」になってしまわないように、その都度、相手に伝わっているかを確認することが大切。日頃から関係をつくっておくと、表情だけでも指示が伝わるようになる。音楽はコミュニケーション。それを忘れないようにする。
・できるだけ褒める
マイナスのことばかり注意していてもメンバーはやる気をなくしてしまう。できるだけ褒めるところは大げさに褒められるように、ボキャブラリーを増やしておくことも必要。
・妥協をしない
妥協をしてしまったら、それ以上の上達は望めない。でも、上から目線で偉そうにやってもうまくいかない。大切なのは、「言葉はていねいに、態度はデカく」妥協をせずに、理想に近づくように練習を繰り返していくこと。
これら以外についても、もちろんバトンテクニック的なことも教えていただきましたが、まず心構えというか、指揮者としてメンバーの前に立つとき、自分にどのような覚悟が必要なのかが痛いほど突きつけられた気がしました。確かにメンバーは必死に練習しているのだから、指揮者もそれに見合った準備をすることが必要です。当たり前のことだけれども、改めて気づかされた授業でした。

【改訂新版】 指揮法教程
音楽之友社
斎藤 秀雄

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 【改訂新版】 指揮法教程 の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


斉藤秀雄メソッドによる指揮法 [DVD]
ビクターエンタテインメント
2007-02-21

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 斉藤秀雄メソッドによる指揮法 [DVD] の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル

iQiPlus

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。