聴衆を魅了する「個」の力 ~パリ・ギャルドの演奏を聴いて~

昨日は十数年ぶりにパリ・ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団の演奏会に行ってきました。
ここでは、そこで感じたことを覚え書き程度に記しておきたいと思います。
前に聴いたときはまだ中学生で吹奏楽を始めたばかりだったということもあり、そんなに気にしていなかったのですが、まずその配置。第1ヴァイオリン=第1クラリネット、第2ヴァイオリン=第2クラリネット、ヴィオラ・チェロ=サキソフォーン、サクソルンというように配置されており、この他は弦楽器の入ったオーケストラと同様の配置になっています。当然のことながら、弦楽器の役割をするクラリネットは20人近くいるわけですから、そこからはオケのような分厚いサウンドが生まれてきます。そして、フランスものならではの音楽のうねり。改めてこれがギャルドのサウンドなのかと。オケのアレンジものをやっても、まったく「アレンジ感」を感じさせない分厚さい響きに圧倒されました。
また、プログラムにEuph奏者の三浦徹さんが次のように書かれていたのが印象的でした。
サッカーの本田選手が言っていたように、“日本人は生まれながらにしてチームワークは持っているんだ!必要なのは「個」の力だ!”……というあの「個性の力」で聴衆の心を惹き付け魅了するのだろう。
楽員の楽譜を読む力とソルフェージュは超一流、自由に描く一人ひとりの奏者の「個の表現」をまとめ紡いでいくマエストロ・ブーランジェの芸術を存分にご堪能いただきたい。

本当にその通り、一人ひとりの奏者の音楽性と技術の高さが相乗効果となり、それを指揮者のブーランジェさんが本当に楽しそうに音楽の世界をまとめあげ、全体で一つのうねりを作り出しているという魅力に引き込まれる演奏会だったように思います。
確かに日本の吹奏楽は「みんなで」ということが強調されがちです。もちろん「みんなで」1つの音楽をつくっていくわけですが、まとめ上げていくときにあまりにも指揮者が絶対過ぎて、個々の奏者の個性が出されないままいろんないみで「全体としてよくそろった」演奏になっているような気もします。もちろん、そこに行き着くまでには血のにじむような努力をしているわけで、それを否定する気は全くないし、私もそういう日本の吹奏楽も好きです。
でも、改めてパリ・ギャルドの演奏を聴いてみて、やっぱり「個の力」ってすごく大切だと思うし、奥がましいかもしれないけれど、一人ひとりの奏者の個性が出せるような吹奏楽を自分は目指したいなと思いました。そのためには、部員個々とのコミュニケーションをもっととっていかないといけないし、合奏中も部員の声ができるだけ自由にあがるような雰囲気をつくり、「学び合い」ができる合奏にしなければと思うし、個々がスキルアップするために良い音楽を聴かせたり、一人ひとりのモチベーションをあげられるような指導を目指さなければと改めて思いました。
あと、個人的にはエリック・オービエさんのトマジのTp協奏曲も、音色が柔らかくあたたかく、時に勇ましく、とても素敵で、ほれぼれしてしまいした。特にpの繊細さと高音の丸さが素晴らしく、(畏れ多くも)ああいう音目指して練習していこうと決意を新たにするのでありました。
[Program]
ラヴェル:道化師の朝の歌
シュミット:ディオニソスの祭
デュカス:魔法使いの弟子
トマジ:トランペット協奏曲
ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
ラヴェル:「ダフニスとクロエ」第2組曲
アンコール
リムスキー=コルサコフ:熊蜂の飛行
ビゼー:アルルの女より
シュトラウス:ラデツキー行進曲 ほか1曲

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