吹奏楽コンクール考⑬ ~吹奏楽の魅力はコンクール以外にもある~

吹奏楽コンクールも支部大会が行われる時期となりました。
残念ながら上位大会へ進めずに今季のコンクールを終えた学校も多いことと思います。
SNSのタイムラインなどを眺めていても、
「精一杯頑張れた!」
「悔しいけれど悔いはない!」

といった言葉と共に、
「来年こそは!」
「来年に向けて今日からがスタートだ!」

といった言葉もよく見かけます。
また気持ちを新たにして頑張ること。
それ自体は悪いことではありません。
でも、少し違和感を感じる所もあります。
それは、「コンクールが年間活動の軸になっている」というところです。
もちろん、吹奏楽部に所属している多くの部員にとって、吹奏楽コンクールは一つの大きな目標であることにかわりはありません。課題曲と自由曲という限られた曲に思い切り集中して、徹底的に音楽と向き合ういい機会であることは確かだと思います。
でも、吹奏楽の魅力はそれだけではないと思うのです。
吹奏楽は、マーチ、オリジナル曲、オーケストラ編曲、ポップス、ジャズ、ロック、ラテン…など様々なジャンルの音楽を楽しむことができる面白い形態だと思います。
コンクールだけに重みを置くのではなく、そういったいろいろな音楽と出会い、一人ひとりの感性を豊かに広げていくのが、教育現場における吹奏楽のあり方なのではないかと私は考えています。
最近、「コンクールで結果を出せないのに理想ばかり言うな」と言われたり、「コンクールで良い結果を残すためにやり方を考えた方がいいのでは?」というお申し出を頂いたりすることもたくさんありました。
それはそれで感謝しつつ、でもやっぱり思うのです。
目の前の生徒たちが、活き活きと、楽しく音楽を奏でられている姿を見られればそれでいい、と。
まだまだ目の前の生徒たちみんなが心から音楽を楽しむところまで、指導者として持っていけていないところは大いにありますし、悩みの種でもあります。
でも、少しずつでも、一人ずつでも、「音楽やってて楽しいな」と感じられる子がいる限り、私はこの子どもたちと一緒に音楽がやれて良かったと思うのです。その思いだけは今までずっと変わらない信念のようなものなのだと思います。
決して高みを目指さないわけではありません。
決してコンクールを否定するつもりもありません。
ただ、自分が真っ直ぐに音楽が好きで、楽器を吹くのが楽しくてここまでやってきたように、子どもたちにとっても音楽が一生の友になるような活動をしていきたい。そこだけはブレずにいきたいものです。
指導者が与え続けて、その枠の中で面白さを見つけていくという方法もあるかもしれません。
でも私は、子どもたち自身の手で面白さを見つけ、つかんでいく手助けをしたいと思っています。
もちろん、ゼロの状態で何も教えずに放置するのは教育を放棄したのと同じですし、ある程度は教えなくてはいけないことがあるのも承知しています。その上で、「発見する喜び」「できるようになった喜び」を自らの手でつかみとれるような、そんな教育活動をしたいと思っています。
ただの理想かもしれません。でも、その理想を追い続けていきたいと思います。
ぜひ、コンクールの取り組みも大切にして欲しいと思いますが、それ以外の活動も大事にして、競技としての音楽に燃え尽きるのではなく、音楽が生涯の友となるような吹奏楽部の活動になっていって欲しいなと思います。
自分も、頑張ります。

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