上手い人が吹いているのを聴くと、自分も負けずに頑張らなくちゃと思うことの方が今まで多かったけれど、最近上手い人と一緒に吹ける機会があることに何とも言えない喜びを感じるようになった気がします。いい意味で競い合うことは必要だけれど、音楽は勝負じゃない、とようやく本気で思えるようになったのかもしれません。
それでも自分には絶対に負けたくないと思う相手がいます。それはきっと、志が同じ方向を向いていると感じるからなのかもしれません。今は自分の方がまだまだかもしれないけれど、近くに競い合える相手がいることに感謝しながら、自分の中にある甘えや弱さに負けずに、自分自身の音楽の幅を広げていきたいところです。
とはいえ、なかなか思うように吹けなかったり、調子が悪くなったりするとイライラするものです。そんな時に近くで上手い演奏が聴こえてくると、焦りや不安を感じ、自己嫌悪に陥ることもあります。このように、上手くいかないときに悔しがるだけの自分に苛立ちを覚えて、負のスパイラルにはまっていくのは自分の悪い癖です。
他人の演奏を聴いて憧れを抱いたり、目標にしたり、奏でたいという想いが増幅されることは悪いことではありません。でもその羨望の気持ちが自己否定や嫉妬の感情に移行していったら、結果として自分自身の可能性を潰すことになる。自分は自分でしかない。それ以上でも以下でもない。そこからしか始まらないのだと思います。
奏でたい音楽のためには言い訳せずに、地道に練習を重ねていくしかありません。自分の使い方をよく観察して、よりよい方法を採用しながら、がむしゃらに音楽と向き合える、そんな自分になりたいものです。
だからといって、がむしゃらに走り続けていてはやがて潰れてしまうこともあるでしょう。
何かに熱中してがむしゃらにやることは大切。でも休まずに走り続けると心身ともに潰れてしまいかねないし、一旦潰れたら復活するにはそれなりの時間がかかります。いわゆる「燃え付き症候群」にならないように、ちょっとずつ、自分のペースで歩いていけたらいいのかもしれません。
調子が良いときの自分も、悪いときの自分も、ありのままの自分の姿です。過去の自分や他人と比較しても、今これからの自分を高めることにはなりません。
それよりは、今のありのままの自分を受け入れて、では次何をしていけば良いのかを探究していった方がよほど建設的だと思います。
スランプだなと思ったら、いったん吹くのをやめてみる。
もう一度、楽器を初めて持ったときの気持ちを思いだして、どうやって吹くのだったか一つひとつ丁寧に観察しながら、じっくり確認してみる。
少しでも前の状態より良くなってきたら、できるようになった自分を素直に受け入れてあげる。
その繰り返しの中で、いつのまにかスランプというものから脱出し、新しい自分と楽器の付き合い方が見えてくるのかもしれません。
音楽は、まず自分が楽しめなかったら仕方ないですから。。。
スランプだなと思ったときに考えたいこと
iQiPlus