部活の在り方を考える② ~年末年始のネット報道を見て~

この年末年始は、Yahoo!ニュースに内田良氏の記事「リスク・リポート」(http://bylines.news.yahoo.co.jp/ryouchida/)が取り上げられたことにより、「部活動のあり方」についての問題がネット上で盛んに論議されているように思います。自分自身も1年と少し前に長野県が部活を制限したという決定を受けてブログに「部活動の在り方を考える」(http://rapparapa.at.webry.info/201311/article_13.html)という記事を書きましたが、改めて考えさせられることも多いなと思って今回の記事をしたためています。
私は恵まれていることに、初任の時から自分が学生時代からずっとやってきた部活の顧問につくことができましたが、その分野についての専門教育を受けてきたわけではありませんし、自分がやるのと指導をするのとでは勝手が全く違います。初任の頃に給料を時給換算したら、ファストフード店で高校生が働く時の時給の方が良くて、愕然とした記憶も確かにあります。30代も半ばになって、体力的にきついなと思うことも増えてきました。それでも続けて頑張ろうと思えるのは、もちろん「子どもたちのため」ということもありますが、何より自分が音楽が好きだから、自分を育ててくれた吹奏楽に感謝しているからやれている面は大きいですし、管理職の理解と同僚の協力体制によるところも大きいように思っています。
しかし、必ずしも全ての教員が自分がやってきたことを活かして顧問をやれるわけではありません。むしろ、教員になってからその分野に初めて出会って、0から勉強して努力されている先生方の方が全体としては多いようにも思います。もちろん、そういう先生の中には自分のやりたいことと上手くマッチして、好きで指導にあたっている先生方もいると思います。でも、「子どもたちのためだと思って何とか頑張っている」という先生方も実際にはとても多いのだと思います。そういう先生方には本当に頭が上がりませんし、自分をどこまでも犠牲にして頑張っている先生方を思うと、今回のように「部活動のあり方」についての議論が活発になることは良いことだと思います。
しかし私は「教員の多忙化」「学校のブラック企業化」といわれる一連の問題は、部活動だけが問題ではないと思っています。なぜなら、「部活動に顔を出したくても会議や書類作成で行けない」「生徒との時間を大切にしたいけれど、そこさえも犠牲になってしまっている」教員も全国にはたくさんいるからです。
教員という仕事は、学級担任、教科担当、分掌担当(校務・教科・学年)、クラブ顧問、行事担当、入試担当、採用担当…など多岐にわたっています。「それが分かっていて教員になったのだろう」と言われてしまえば仕方のないことかもしれませんし、私は教員という仕事を通していろいろな経験を積むことができるのも、この仕事の面白さの一つだと思っています。でも実際に、多かれ少なかれ教員一人ひとりの中にあるであろう「生徒のため、全ての仕事をきちんとこなさなければならない」という使命感や責任感が、教員を疲労困憊させる原因となっているようにも思います。
人に与えられている時間は皆平等に24時間と決まっています。すべてを要領よくこなしてなしまうスーパー教師も中にはおられるかと思いますが、自分も含めて多くの場合はその決められた24時間の中でできることを精査してやっていかなければやりきれません。教員の仕事も「やろう」と思ったらどこまでもやれてしまう仕事です。それだけに自分が思ったことをやりきれていないときには歯がゆさを感じることもありますが、どこかで「ここまで」と区切ってやっていかないと回らなくなってしまったり、健康を害してしまったりするのもまた現実問題としてあります。
教員も人間です。どこを優先すべきか、自分の中で順位づけをして仕事をしないと溢れかえってしまうこともあります。一方で、どこかに偏ってしまい、バランス良く仕事ができていないと、生徒や保護者からの信頼もうすいものになってしまいかねません。その中で「部活動は削れるのではないか」「部活動による負担軽減はできるのではないか」というのが今回の議論なのだと思いますが、そこ以外にももっと効率化、負担減をはかれる部分はたくさんあるようにも思います。(もちろん、いろいろなことに焦点を当ててしまうことで、一つひとつの問題がぼやけてしまうことにもなりかねないので議論をするときには慎重になることは必要だと思いますが…)。
学校は人が人を育てる場所です。そして学校には、いろいろな分野を得意とする教員が集まっています。きれいごとに聞こえるかもしれませんが、教員がそれぞれの得意分野を出し合い、それでも人手が足りない場合には外部講師やコーチの方の力も利用して、学校に関わる大人みんなで子どもたちを育てていくようなしくみができればよいのではないでしょうか。
勢いでここまで書いてみましたが、改めて問題の根深さを感じるばかりです。最終的には「教員が元気でいることが、子どもたちの笑顔に結び付く」というところにたどり着くのだと思いますが、今日は頭が混乱してきたのでこのへんで終わらせておこうと思います。

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