夢を実現するために必要なこと ~目標は持つだけでなく、達成した時の気持ちを考えることが大切!~

目標は達成してこそ充実感を得られる
以前のブログでも取り上げた、緒方まゆみ先生の『まゆみ先生の吹奏楽お悩み相談室』という本の中で、個人目標を部員に書いてもらうという取り組みがあったのですが、その中に「個人目標を達成した時の利益」という項目がありました。
確かに目標は立てるだけでは意味がありません。目標を達成するためにどのようなことを日々積み重ねていくのか、時につらくなっても目標を達成するためなら頑張り続けられるか、というところが非常に大切であるように思います。
ちなみに、緒方先生は著書の中で個人で建てる目標は「コンクール金賞」といった抽象的なものではなくて、具体的に実行できる小さな目標から、大きな目標まで段階を追って、子どもたち自身が意識的に成長できるような目標設定をするように、と書かれています。
「賞」という見えやすい目標は立てやすいわけですが、「金賞をとりたい」と目標を挙げただけでそれが実現するのならばそんな簡単なことはありません。「金賞を取る演奏とはどのような演奏なのか」「金賞を取るバンドはどのようなことができているのか」といったことを知った上で、今の自分たちの課題を見つけ、改善していく努力をすることが必要になってきます。
目標を実現するためにどうすればいいのか、という目標を立てることは子どもたちにとっては難しいことかもしれません。でも、今自分自身の課題が何であるのか、部活全体の課題が何であるのかをしっかり考え、それを具体的に改善しようとする目標を立てることができれば、結果として「聴き手の心を動かす音楽」をつくりあげることにもつながってくると思うし、コンクールの「賞」というものにも結びついてくるのだと思います。
そういう意味で、「個人目標を達成した時の利益」というのは、「賞」というものに頼らずに目標を掲げ続けて努力するためのエネルギー源にもなると思います。目標を達成した時のことを想像することで、自分自身の背中を押してあげることができると思うのです。
実際に部員に書いてもらうと、次のようなことを書いてくれました。
★部活全体に対して
・全員でやるからこそ楽しいと思える。
・メリハリのある部活になって楽しさが増してやる気が出る。
・全体でまとまって、信頼関係が築ける。
・気持ちも引き締まる。吹部はしっかりしてるねーみたいな信頼が得られる。
・部活を続けていくためになる!!!信頼し合える仲間。
・後輩は上を見て育つと思うから、自分が引退した後もよい部活になれる。

★自分自身に対して
・頭がスッキリして集中力が高まる。
・後に余裕ができて他にもできることが増える
・これだけでもしっかり部活に来るということは大切なので、自己管理能力が身に付く。
・自分が成長できる。人に迷惑をかけずに済む。
・人に頼らず、自分の力で解決できる。やるべきことが明確になる。達成感。途中放棄しないので、大変かもしれないけど頑張れる。
・勉強と部活の両立が上手くいく。無理がなくなるから、健康な状態でいられる。

まず部活全体に対してですが、「楽しさ」「信頼」という言葉が多くの人から出されました。多くの部員が、「部活は楽しくやりたい」「互いに信頼し合える仲間と頑張りたい」と思っているということが改めてよく分かる結果だったと思います。
何よりも素敵だなと思ったのは「自分が引退した後もよい部活になれる」と書いてくれた人がいたことです。自分が楽しむだけではなく、後輩たちにとっても楽しく、充実した時間を過ごすことができる部活にしたいという決意のようなものを感じて、とても嬉しく思ったし、同時に私たちも、子どもたちが大切にしてきたこの吹奏楽部を、誰よりも大切に育んでいかなければいけないなと改めて思いました。
自分自身に対してでは、「自己管理能力」「自分が成長できる」というニュアンスの言葉が多かったように思います。楽しいだけではなく時には辛いことや厳しいことも求められる部活です。せっかくならそれらを乗り越えて自分自身を成長させたいと考えている人も多いことでしょう。それだけの覚悟を持っている人がこれだけいる部活なら、絶対にみんなで成長していくことができるはずです。
昨年まで青山学院大学で箱根駅伝にも出場し活躍したランナーで、今も実業団で走り続けている大谷遼太郎選手が、以前Twitter上で次のようなことをつぶやいていました。
何で大学に入学したのか。オリンピックに出るための過程で箱根駅伝があって、ランナーとしての能力を上げるためだったんだけど、うまくいかないことばっかりで結果を出せずにいて、練習をただただこなすだけの毎日になってた時期があったんだよな。
逆にそんな毎日だったから結果が出なくて当然だし、当時はいかに練習を余裕もって終わるかが目標になってた。だから人間的にもランナーとしても微妙な時期だったんだよな。そんな時を自分で乗り越えられたから今があるわけで、人は何かのきっかけで変われる。
何が正しいか分からないからこそ自問自答し続けて、自分が悔いの残らない道を全力で駆け抜けていくことが一番大事。全力でやるからこそ、自分の得意不得意が分かってくる。

長い吹奏楽人生の中で、「練習をただただこなすだけの毎日」になってしまうこともあるかもしれません。どうすれば先の見えない不安を拭えるのか悩むこともあるだろうし、楽しかったはずの部活が苦痛にさえ感じるようになってしまっている人もあるのだと思います。
でも、誰にでもそういう時期はあるのだと思います。そして、乗り越えるためのヒントは、いったん立ち止まって周りを見回してみると、意外とそこら中にいろいろ見つかるはずです。不安に思ったり、不満を感じたりするのは、自分が「こうありたい」という理想や目標があるからだと思います。まだまだ成長するきっかけがたくさん残されているのです。
自分が気付いたことから、それをどのようにしたら実行できるのか、何回失敗してもいいから試してみること。そんな一人ひとりの“悪あがき”のような努力が、部活全体にとって、また一人ひとりにとって大きく成長する土台になると思っています。

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