今日はまず少し音楽とは離れて本業の理科の授業の実践報告をまとめておきたいと思います。
<単元>
理科I分野「電流の流れ」
<対象>
中学3年生 35名×3クラス
<目的>
多くの生徒が苦手に感じることの多い「電流」の分野だが、テストに向けてオームの法則を使った計算の練習問題を班に分かれて互いに教え合うことで、全員への理解の定着をはかる。
<ルール>
*わからない問題は誰に聞いてもいい。
*班の中で誰もわからなかったら他の班に聞きに行ってもいい。
*班の全員が解けるまで互いに教え合いながらねばってみる。
*先生はヒントしか出さない。
*授業に関係のない話はしない。
<授業の展開>
1.まず個々で問題を解く時間をとった。
→ 一人ひとり静かに真剣に解いていた
→ 分からない生徒は手が止まっていた。
2.机を班の形にして、互いに教え合った。
→ わかった生徒はわからない生徒に教えてあげていた。
→ 各地で「分かった」という声が上がっていた。
→ 行き詰った班は、代表者が分かっていそうな班に聞きに行って班に持ち帰って説明していた。
3.黒板に解答を書き、教員が解説をかんたんにしながら丸付けをした。
→ 『学び合い』の導入ということと、時間があまりかけられなかったので、最終的に丸付けは教員が行った。
<授業後のアンケートから>
◎互いに教え合う授業と、先生が一方的に解説をする授業はどちらのほうが分かりやすいか。
・互いに教え合う: 62%
・先生が一方的に解説をする: 6%
・どちらでもよい: 32%
◎感想
・班で話し合う方が眠くもならないし、理解も深まるの で、良かったです!
・電気は少し苦手なところですけど、なぜ苦手かという のは少し計算が入ってくることだったのですが、今回の班でこの紙の問題を解いていって答えが導き 出せた時になんだか勉強が楽しく思えたから良かった。
・今日のみんなで教え合うっていうのが良いと思いま した。授業中に質問するのは、かなり勇気がいるので、気軽に質問できる友だち同士でやるのはよいと 思いました。(授業後に質問しようと思っても、何が分からなかったのか分からなくなることがあるので)
・班で話し合ってやる方法は、理解が深まって、自分 たちのペースで理解できるのでよいと思いました。
・みんなで話し合った方が良いと思います。自分がやって思ったことと、友だちが思ったことの違いがおもしろいと思いました。
・最初は全く内容が理解できなかったのですが、班員に教えてもらったりして段々できるようになりました。
・班で話し合う方が教え合えるし、楽しかったから、これからもやりたい。
・班とか友達とやることで眠くなることがなくなったので、理解が深くなりました。問題もあー納得!!っていうのが増えた!!
・班で教え合うと、自分が分からないものが聞けたり、自分が分かってるものを友達に教えたりすることでより理解できたので良かったです。
・皆と一緒に練習プリントをやったら、後の方の問題が自力で解けるようになったので良かったです。
・班のみんなで教え合うというのは良かったです。分からないところも気軽に聞けたので、班で相談はこれからもやってほしいです。
このように、生徒同士が互いに教え合いながら学び合っていく方法は、生徒にとっても楽しいものであるし、格段に理解している生徒数も増えてきました。コミュニケーションが苦手な生徒も多い中ではありますが、逆に授業でもこれは継続いて取り組んでいきたいと思っています。
では、どうやって吹奏楽に応用していくのか?
先日のブログにも書きましたが、これをどうにか吹奏楽部の活動に取り入れられないものか、今考えながらやっているところです。これまでもできるだけ、曲が決まったら部員で意見を出し合って物語をつくってもらったり、合奏中もできるだけ部員に意見を尋ねるように意識してきましたが、どうしても「指揮者―演奏者」という間に壁があって、学生指揮者でもそれは同じようなことになることが多かったように思います。
今考えているのは、基礎合奏に『学び合い』を取り入れるということです。「こういう音を出したい」というテーマを決めて、それを実現するためにはどのような練習が必要か、互いに意見を出し合いながら、うちのバンドでの「この音はこうやって出す」というのを実現できたらなと思うのです。
以前、Twitter上にこんなアイディアが投稿されていました。
グループを作って、お題(「悲しそうに」「嬉しそうに」「キモく」「エロく」等)を幾つか決めて、一人が一つのフレーズを弾き分けて、残りの人がそのお題を言い当てるゲームすれば、表現の勉強になりそう。素材選びが難しそうだな。(@vnqbot さん)
ここにも一つのヒントがありそうです。
今ちょうどテスト期間で部活ができないので、再開するまでにもう少し考えてみたいと思っています。
子どもたちが持っている力を引き出して高め合うこと ~学び合いの実践を通して~
音楽家サポートコーチの高野直人さん(@musician_coach)が次のようなツイートをされていました。
ピンバック: 「自主性」が「放任」にすり変わらないために… | とあるラッパ吹きのつぶやき