先日、Yahooニュースで “「部活顧問はブラック」署名運動までする教師たちの切実” http://news.yahoo.co.jp/feature/156 という記事が取り上げられていました。
確かに部活のせいで、生徒は学習、教員は教科指導やクラス運営などが疎かになっては本末転倒です。私自身、就職以来10年以上吹奏楽部の顧問を務めており、休日はほぼない生活をしばらく続けていました。最近は他の顧問の先生と調整しながら外に勉強に出かけたり、自分の時間を持ったりするようにしていますが、いくら好きな部活の顧問とはいえ、正直なところ休みが欲しいなと思うことはありました。さすがに教科指導やクラス運営にまで支障をきたす事態にまでは陥ってはいないものの、これがもし経験の全くない、知識も何もない部活だったとしたら、冷や汗が出ます。しかし、周りを見回してみると、多くの先生が未経験の種目を必死に勉強しながら、生徒との関係を大切にして一緒に頑張っています。そのような姿を見ると、自分はまだ恵まれている環境にいるからこそ、部活指導にも力を注ぎたいと思うことができているのかもしれません。
でも、「ブラック部活」という言葉を見かけたり、少なからず部活が悪者になっている状況を見るとやっぱりちょっと悲しくなります。学校生活では確かに教科の学習が中心になってくると思います。基礎的な学力を身につけられるように尽力するのが本来の教員のあるべき姿だとも思います。でも同時に、授業で身につけた学力を活かすための力を身につけるのはクラスだったり、行事だったり、部活だったりするような気もするのです。教科学習で身に付く力があるのと同様、部活で身に付く力、見えてくるものも沢山あります。本当はどちらも排除することなく、共存する道を探したいものです。
学校生活に限らず、何事もバランスが大切です。
予備校化して受験のことだけ考えるような学校も、部活を何事にも優先してやらせる学校もバランスが良いとはいえません。自分は普段理科を教えています。さすがに高校2,3年生の授業になると受験を意識した教え方になることもありますが、基本的には実験を通して自分で観察した結果から何かを発見したり、物事の真理を知ることを面白いと感じたりすることを大事にしたいと思っています。理科的な知識を身につけて、日常生活に活かしていって欲しいという思いはもちろんありますが、それよりも生徒たちに身近なことに敏感になって、興味を持って、自分の手で発見する喜びを体感していって欲しいというのが大きいような気がします。だから私は、教科指導でも部活指導でも一貫して、生徒がいろんなことを経験する中で、自分の好きなものや自信が持てるものを見つけていける学校生活を送れるように考えていけるといい気がしています。
最近は「ゆとり」というと否定的に捉えるかもしれません。でも本当にその人が持てる能力を発揮しようと思ったら、精神的な「ゆとり」がないと難しいと思います。ただ休みを増やすことだけが「ゆとり」ではありません。義務感で縛られることなく、落ち着いて自分の生活と向き合えることも大事だと思います。
好きなこと、自分が大切にしたいと思っていることに熱中しているときは、時間が経つのを忘れてしまうこともあるはずです。自分が「やりたい」と感じていることは、やっていても苦痛ではないと思います。しかし、人によって「やりたいこと」は違うものです。それを理解した上で全体のバランスをとっていかないと、「ゆとり」がなくなってしまい、息苦しく感じてしまう人も出てくるような気がします。吹奏楽は集団で取り組むもの。だからこそ、一人ひとりの気持ちも大切ですが、全体としてのバランスもとっていかないと崩壊してしまうこともあります。
熱中できることがあるというのは、とても素敵なことだと思います。でも、人が同じように感じるとは限りませんし、他人に強要はできません。ただ、一人ひとりが大切に思っていることをお互いに大事に考え、互いの持ち味を出して高め合えたらもっと素敵なことだなと思ったりもします。
部活は子どもたちの活動の場所。現役生の活動の場所。顧問やOBや保護者のものではありません。大人は部員が主体的に取り組んでいくためのサポート隊に過ぎません。そこを勘違いしないようにしつつ、子どもたちにとってより良いサポートができるように心がけていきたいものです。
そのためにも、顧問が体も心も健康でいることは大切なような気もします。「ブラック部活」という言葉が、生徒にとっても、教員にとっても死語になるような部活の在り方を模索していけたらなと思います。
「ブラック部活」に陥らないで楽しく活動するために…
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「ブラック部活」は教員だけの問題ではない
皆さん、こんばんは。今回は、昨今話題になっている「ブラック部活」について。そもそも「ブラック部活」とは、教員側の視点の言葉で、普段の教務で忙しいにもかかわらずほぼ強制的に何かしらの部活の顧問にさせられ、放課後も土日も仕事、しかし特別に手当てが出るわけでも