合奏をしていると、たまに「無理です…」「できません…」とつぶやく生徒がいたりします。
気持ちは分からなくもないのですが、ちょっとやってみてできなかったときに「自分には無理だ」と諦めてしまうのはもったいないことのような気がします。
本当に気乗りしなかったら無理に続ける必要もないかと思いますが、少しでも「やれたらいいな」という思いがあるのならば、もう少し続けてみてもよいように思います。
何事もすぐにできるようになる器用な人もいますが、多くの人は少し時間をかけて取り組むことでできるようになることが多いものです。
自分が好きで、やってみたいという思いが続く限り、諦めずにちょっとずつでもやっていれば、できるようになることも少しずつ増えていくと思います。
生徒が「無理…」「できない…」と思ってしまう原因は指導者にも責任があることもあります。
指導をする時、すぐに「できてない」「間違えるな」「それじゃダメだ」と言ってしまっていることはないでしょうか。
言ったことがすぐできないからといってダメだと決めつけてしまうのは避けたいところです。指導の仕方が合わなかったのかもしれないですし、頭で分かっていてもできるようにするために時間が必要なのかもしれません。
ダメ出しを繰り返すことで、生徒が課題点を意識し、「このままじゃいけない」と自分を駆り立てて頑張ることでできるようになることもあるかもしれません。でも、そうやって生徒を追い込んでしまうと、中にはそれについてこれなくなってしまう生徒もいるような気がします。どんな生徒の成長も諦めずにじっくり見守ることは指導者の責任です。
上手くいかなかったときには、一回立ち止まってみて、次に何を試してみるかを考えてみることです。振り返ってダメだったところを探すのも時には必要かもしれませんが、ダメなところ潰しよりも、新たにできることを増やそうと思っていろいろ実験してみた方が、前向きに頑張れると思います。
必ずしも諦めずにやり続けなければいけないもいうことはありません。でも諦めずにいろいろ試していく中でできるようになることはたくさんあると思います。特に指導者は一人ひとりが前向きに頑張るためにどうすればよいかを考え、誰よりも諦め悪く指導をしていくことが大切なような気もします。
もしかしたら、怒鳴ってダメ出しをして、指導者の言うことを強引にでも聞かせた方が、速くできるようになることもあるかもしれませんし、忍耐力や根性は鍛えられるかもしれません。
ただ、それでは自分で考え、自分で工夫する力は身につかないですし、何より自分の望みを実現していくという「真の楽しさ」に気づかないまま、音楽から離れていってしまう子どもを生み出す危険性もあります。
夢や憧れを持って入部してきた子どもたちが、諦めや自己否定のサイクルに入っていってしまうのではなく、少しずつでも自分で楽しむ力を開拓していけるように、焦らずサポートしていきたいものです。
「諦め」の最大の原因は自己否定にある
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