吹奏楽コンクール考 ~その功績と未来~

ちょうど今の季節は吹奏楽コンクール地区大会の日程が発表されて、申し込みの時期にあたるかと思います。
うちの学校も例外ではなく、定期演奏会を控えつつ、コンクールに向けて新年度の話し合いがされています。
さて、ここのところ、いろいろな人と吹奏楽コンクールのあり方についてお話をする機会がありました。
そこで思ったことや感じたことなどを中心に今日はつぶやいていこうと思います。
日本の吹奏楽界において、吹奏楽コンクールが与えた功績はとても大きなものだと思います。
戦前から戦後、現在に至るまで、これだけの吹奏楽人口を増やし、かつ世界にも誇れるくらいのレベルに引き上げてきたのも、吹奏楽コンクールがあったからだと思います。
人は生まれながらにして「競争心」を持っている生き物だと思います。
だからこそ、その競争心をあおるコンクールという存在によって、これまでの日本の吹奏楽界は牽引されてきたのだと思います。
特に最近はTVや漫画などでも吹奏楽コンクールが取り上げられるようになり、全く音楽に興味がない人まで吹奏楽のことを知る機会が増えてきました。関連書籍も以前に比べたら非常に豊富に出版されるようになってきています。これはとても嬉しいことです。
しかしその陰で、コンクールで燃え尽きてしまったり、「強豪校」に入ったはいいが補欠で音楽人生を終わらせてしまったり、という事態も少なからず起きてきました。
人それぞれの人生だから、と言ってしまえばそうなのかもしれません。
でも、あれだけ青春をかけて取り組んできた音楽や楽器と高校(中学)卒業を機に離れていってしまう人が多いのは、見逃せない事実でもあります。
コンクールに出るからには金賞を目指したいものです。
でも、目的が金賞になってしまったら、音楽はそこで終わってしまうような気がするのです。
では、どのようなことを目的にすればよいのか。
私は、「その日、その瞬間、その会場にいる人たちの心に深く響く演奏ができるか」こそ、もっと大切なことなように思います。そして、そういう演奏ができれば、結果として金賞はついてくるものだと思いたいものです。
そしてもっと大切なことは、自分たちがどんな音楽をやりたいかを創造し続けることです。
音楽は一生の友になりうる存在です。せっかくの出会いを大切に、燃え尽きない音楽を追求していきたいし、そう思う子どもたちを育てていきたいと思うのです。
今、TVなどで吹奏楽コンクールが取り上げられていますが、「金賞」「銀賞」「銅賞」という結果にとらわれて放送されてしまっていることが少し気がかりです。吹奏楽コンクールがそれぞれのバンドにとっての成長の過程の一つとしてとらえられること、「目指せ!金賞!!」で終わらせるのではなく、もっと自分たちのやりたい音楽を実現していくための機会としてとらえられるようになってほしいし、それがスタンダードになっていってほしいなと思います。
3出制度もなくなり、すべての参加者に公平に全国大会出場の機会が与えられるようになりました。
でも、激戦区ではどうしても強豪校と呼ばれる学校が勝ち抜けてくることでしょう。
それは、どうしても強豪校に「本気で全国金賞を目指したい生徒」が集まってくるからです。
それ自体は悪いことではないし、高校野球でも同じようなことが言えると思うのですが、コンクール熱がヒートアップしていった結果、「ミスしてはいけない」「外してはいけない」「金賞を取らなけらばならない」という「~ねばならない」思考までヒートアップして、本来音楽をやる上で目指したいこと、自己満足で終わるのではなくて、お客様という存在を忘れてしまわないようにしたいものです。
『コンクール考』などと偉そうなタイトルをつけた割には、いつもと変わり映えのしない文章となってしまいましたが、今日のところはこのあたりで終わりにしたいと思います。
また、思いついたら書こうと思います。
(Twitterまとめ)

iQiPlus

吹奏楽コンクール考 ~その功績と未来~” への2件のコメント

  1. Twitterでいつも拝読しております。娘が先生にご指導いただいております。お世話になります。実は、私もOGで部長でした。当時、コンクールに出るようになり、コンクールで上を目指すことの意義や、定演とのバランス等、みんなでトコトン考えた時、同じ答えにたどり着きました。音楽と仲間を大切にして下さる先生がいらっしゃることに、保護者としてだけではなく、OGとしても、とても心強く思っております。これからも、よろしくお願いします。

  2. こみち様
    こちらこそいつもお世話になっております。
    昔から話し合いを大切にする学校・部活だったと伺っています。その良い伝統を引き継ぎながら、子どもたちが吹奏楽を通して心身ともに成長していき、コンクールにも定演にも向かっていけるよう、私たち顧問も努力してまいりたいと思います。
    力不足でご心配をおかけすることも多々あるかと思いますが、ご協力の程、よろしくお願いいたします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。