こんにちは。おのれーです。久々の記事です。時間こそ短縮しているものの、毎日の通常登校が始まって1週間が経ちました。
休校中、分散登校中には、学校へのICTの導入、オンライン学習の必要性が世間でも話題となりました。私の勤務校でもちょうど全校生徒へのChromebook端末の配布の時期が重なったこともあって、一気に校内のICT活用が広がりました。
そのことについては以前次のような記事にまとめています。
では、通常登校が始まったところでのICT活用はどのようになっているのでしょうか。せっかく広まったものを、ここで後退させるわけにはいきません。
もちろん対面だからこそできるもの、情報機器をつかなわないアナログなもののつながりも大切にしながら、生徒にとっても教員にとってもより快適な学校生活を送るために、うまく活用していかない手はありません。
そこで今回は、Afterコロナの教育現場で、どのようにICTを活用していくのか、その一例を考えてみました。
■生徒の声から思いついた「オンライン学級日誌」
休校中の連絡は、Google Classroomのストリームを利用して行っていました。ストリームはSNSのように気軽に投稿できる反面、その名の通り、タイムラインで情報が流れていってしまうため、過去にさかのぼって情報をとりだすにはやや適さない側面があります。
これについては当初より気になってはいたので、別にGoogle Siteを使って各クラスのサイトを作成し、そこに重要な情報は担任ができるだけ載せるようにはしていました。
しかし、分散登校が始まって、対面授業でも各教科からの指示がたくさん出るようになり、Google Classroomに流れてこない情報や、担任が把握しきれない情報も増えてきました。
生徒たちからも、
・情報が多すぎて追いきれない
・小テストの日程や範囲が把握しきれない
・提出物を忘れてしまう
・情報が一覧にまとめられているページを作って欲しい
などの声が寄せられるようになりました。
もちろん、教員が連携して情報の抜けがないように生徒たちに伝達することも大切なわけですが、一方で私の中には次のような思いがありました。
これだけ大量の情報の中で生きていくときには、自分自身の手で自分に必要な情報を取捨選択し、活用していく能力を育てていくのも学校の役割なのではないだろうか。
ということで、生徒たち自身の手で必要な情報を収集し、互いに共有できるようにするには、どのような方法をとればよいのか、ということを考えてみました。
そこで思いついたのは、それまで紙で行っていた「学級日誌」の記録を、Googleドキュメントで行うようにし、それをクラスのサイトで共有するということでした。
もともと学級日誌は、週番の生徒に輪番で「欠席者」「1日の授業記録」「連絡事項」「ひとこと」を書いてもらい、担任がコメントをするという形態で行っており、たまにクラス通信でも紹介するという形でやっていました。
しかし、せっかく連絡事項を書いてもらっても、学級日誌自体は週番の生徒の手元にあるので、クラス通信を毎日発行しない限り、他の生徒はなかなか目にする機会がないという欠点がありました。
結局、連絡事項は教室の横にあるホワイトボード(サブ黒板)に、担当の生徒に書いてもらうというのが本校では一般的になっており、学級日誌とは別に個々の生徒と毎日ダイアリー(もしくは学習日誌)のやりとりをしているということもあって、私自身は学級日誌の存在意義はうすかったように思います。
それをオンライン上でクラス全員で共有できるようにすれば、Google Classroomの弱点を補うこともできますし、何より生徒たちの手で、自分たちに必要な情報を共有していくしくみをつくっていくいいチャンスになります。これは一石二鳥ではないか、ということで、早速運用を始めてみました。
■Googleドキュメントで学級日誌を作成する!
まずは、Googleドキュメントで「学級日誌」と「テスト・提出物一覧」という2つのファイルをを作成します。
このようにGoogleドキュメントで作成する理由は、次の2つです。
1.いたずら・いじめ防止
2.Googleサイトはレイアウト上の制約が多い
まず1についてですが、共有設定で”生徒にも編集可能”という設定にしておけば、誰でも編集ができて便利である反面、Googleドキュメントであれば、誰が、いつ、どのように更新したかなどの履歴が自動的に記録されるので、管理上、クラスのサイト内で「生徒が更新できる部分」はGoogleドキュメントで作成したものに限定しておけば、いたずらやいじめ防止にもなると思っています。
また2については、Googleサイトは直感的に作成できる反面、HTMLタグの編集などができないので、レイアウトに制約が多いということがあります。Googleドキュメントは、Microsoft Wordのような使い勝手のアプリですし、もしWordで学級日誌のひな型があれば、コピー&ペーストで貼り付けることができますので、教員にとっても作りやすいかと思います。
実際に私がつくった「学級日誌」と「テスト・提出物一覧」のファイルは、次のようなものです。(上のリンクから実際のファイルに飛ぶことができますが、「閲覧のみ」に設定しているので、書き込むことはできません)
◎学級日誌
◎テスト・提出物一覧
このあたりは学校やクラスの状況、担任の先生のセンスや好みを生かして、作成すればよいのかなと思います。
■クラスのサイトを作成する!
では、クラスのサイトをつくって、先程つくったドキュメントをサイトに貼り付けていきましょう。
昔はHTMLのタグを打ってホームページをせっせと作ったものですが(古いですね…)、Google Siteを使えば、かなり直感的にサイトを作成することができますし、1つのサイト内で「教員だけが更新できる部分」と「生徒が更新できる部分」を分けて運用することが可能です。
ここでは、実際に私が今運用しているクラスのサイトと同じものを、1から作るための手順をお伝えしたいと思います。
① Google Siteのページにアクセスする
②「空白」を選ぶと、サイトの編集画面が開く
③「ページのタイトル」に「〇年〇組サイト」など、クラス名が分かるようにタイトルを付ける
→このとき、フォントのスタイルを「見出し」くらいにしておくと見やすいです。
→枠をドラッグすれば、テキストの位置は好きなところに移動できます。
④右側のバーから「目次」を選択すると、目次のボックスが挿入されます。これをタイトルバナーの右側に持っていきます。
⑤右側のバーから「テキストボックス」を選択すると、テキストボックスが挿入されます。ここに「■学級日誌」と入力し、「標準テキスト」から「見出し」にテキストの種類を変更します。
⑥右側のバーから「ドキュメント」を選択すると、Googleドライブ内に保存されているGoogleドキュメントのファイル一覧が表示されます(使用した順)。そこから学級日誌のファイルを選択し、「挿入」ボタンを押します。
⑦学級日誌のファイルを、見出しのところに移動させ、さらに横のサイズを半分に変更します。
⑧「テスト・提出物一覧」についても⑤~⑦を行います。
⑨その他、担任からの連絡事項やクラス通信へのリンクなどを適宜追加してサイトを公開する準備は終了です。
■サイトを公開して、学級日誌を共有する!
サイトは作っただけでは見ることはできません。「公開」設定をする必要があります。ここではサイトの公開から、生徒に共有し、学級日誌を見たり、記入したりするまでの流れをご紹介します。
①右上の「公開」ボタンを押す。
②適当なアドレス名を入力し、共有設定を決め、「公開」ボタンを押す
※学校でG Suiteの契約をしている場合は、学校内でのみ閲覧可能の設定が簡単にできます
③サイトが公開されます
→こちらから、サンプルページに飛ぶことができます。
④生徒とサイトを共有する
→編集画面の右上にあるリンクボタンを押すと、公開サイトリンクのコピーができるので、このアドレスをClassroomで配信し、生徒に伝えれば、共有完了です。
⑤生徒に「学級日誌」「テスト・提出物一覧」を記入してもらう
(1) サイトにアクセスしてもらう
(2) 「学級日誌」もしくは「テスト・提出物一覧」にカーソルを合わせると、右上に四角いボタンが出てくるので、クリックする
(3)別ウインドウでドキュメントが開くので、そこに直接書き込んでいってもらう
■実際に運用をしてみて
この仕組みを運用し始めてから1週間が過ぎました。毎日、担当の生徒が手元のChromebookでその都度頑張って記録してくれているので、担任としても授業の進み具合やクラスの様子が何となく伝わってきています。
また、提出物や小テスト、時間割になどについても、「自分が書いたことがみんなに共有される」という緊張感と責任感からか、当番の生徒も周りの生徒たちに「これでいいよね?」と確認しながら、丁寧に記録をしてくれています。
生徒たちも、クラスの半分以上は毎日チェックをして、忘れ物がないかを確認したり、当番の生徒のひとことや担任のコメントを読んでいるようです。このあたりは閲覧履歴も残るので、今後、忘れ物が多かったりする生徒が見ていなかったりした時には、サイトを見て確認する習慣をつけるように声掛けもしていけるかなと思います。
今後は、帰りのHRなどで全員で内容を確認する時間を設けたり、HRでの話し合いの議事録などもクラスのサイトで共有していけたらいいのかなと思ったりしています。
もちろん、手書きのあたたかさだったり、イラストを描くのが好きな生徒は紙に手書きで書き込んでいく楽しみもあったと思うので、すべて電子化してしまうことが決して良いことだらけではありません。
ただ、この取り組みを通じて、生徒たちが自分たちで情報を管理し、互いに共有して、クラスという集団を運営していく姿勢が育っていってくれたらなと願っています。