「コーチング」の前に「ティーチング」あり ~自ら動き出すチームづくりのために~

青山学院大学陸上競技部監督・原晋氏の新刊、「フツーの会社員だった僕が、青山学院大学を箱根駅伝優勝に導いた47の言葉」を読んでみました。

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これまでの講演やTV出演などで聞いた話も多いのですが、改めて今教員という仕事をやっていて、どうやって人を育てていくのか、スタンスが問われるような、とても考えさせられる内容でした。

特に印象的だったのは、「組織の土台づくりにはティーチング、成熟した組織にはコーチング」という考え方です。

自分もこれまで生徒たちが自主的に動いていける組織を目指してやってきたつもりですが、このバランスがうまくとれていなかったように思います。確かに「自主性」の名のもとに、何も知らない生徒にいきなり「自分でやれ」と言うのは放任過ぎますし、いつまでも手とり足とりでは自分から動く力は育ちません。

どこまで丁寧に教えて、どこから手を離し、どうやって見守っていくのか。

それが、ビジネスの世界でも、教育の世界でも、人やチームを育てていくときに最も大事なことのように思います。そのためには、具体的に長期的な目標を立てた上で、実現可能な「半歩先の目標」を明確にし、確実に実行していけるように、生徒(部下)の言葉を引き出しながら方向性を見つけていくことが必要です。押し付けられた目標は長続きしないし、遂行するときにどこかいい加減になりやすいものです。自分から見つけた目標であったり、納得して自ら設定した目標に対しては、人は一生懸命に実現する努力をすることができるのだと思います。

また、原監督は“「体育会流の『ハイッ!』といい返事」をする人間は伸びない”とも書かれています。それは、監督の指示通りにやってさえいればいいと思ってしまうと、監督の顔色をうかがうようになり、縮こまってしまって、自分のパフォーマンスを発揮できるどころではなくなってしまうからだそうです。ここでも、ただ監督の言うことを聞くばかりでもなく、でもまったく監督の言うことを聞き入れずに自分勝手にやるでもなく、監督の意見を取り入れつつ、自分で必要なことを考えて行動できるか、ということが問われているように思います。これは吹奏楽の世界にも言えるなと。

全員が「ハイッ」と声を揃えて返事をする風景。

吹奏楽部の世界では当然のように見かける光景です。それ自体が決して悪いとは言いませんが、本当に分かっているのか、本当に納得して言っているのか、というところが本当は大事なところです。「ハイッ」以外を言わせない雰囲気をつくることは、チームとしての成熟を考えてみても、個人の成長を考えてみても、あまりいいこととは思えません。

本気で自分の言葉で語り合えるような雰囲気づくり。

私が顧問をしている部活では、平日は教員があまり練習を見に行けない分、生徒たちが自分たちで考えて練習を進めています。初めはリーダー的な生徒が一方的に仕切ることが多かったのですが、歳を重ねるごとにだんだんとみんなで意見を出し合いながら練習を進めていけるようになってきたような気がします。すぐに結果は出ないかもしれませんが、これからもそういったチームづくりをするためにはどう自分は関わっていけるかを考えていきたいと思います。

生徒を預かって教育現場に立つとき、何よりも大切なことは、
「社会に出ても恥ずかしくない人として成長させること」
にあると思います。

目先の目標に惑わされやすい今日この頃ですが、最近、社会人になった卒業生に講演してもらったり、近況報告を聞いたりする機会が多いのですが、社会で揉まれながら頑張っている卒業生の話を聞くととても頼もしく思います。

コンクール金賞や、難関大学合格が決してゴールではない。

もう一度初心に戻って、教員として自分も成長していきたいものです。

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