「音程があっていません」
「タテがあっていません」
つい練習ををしているとき、“できないこと”を互いに指摘するだけで終わってしまうことも多いように思います。
しかし、 “できるようにするためには具体的にどうすればいいか”をあげることは実際にやってみると難しいことだったりするかと思います。
でも、“具体的にどうすればいいか”が分からなければ、ただやみくもに練習をするだけになってしまい、改善するまでにものすごい遠回りをして、時にはモチベーションが下がってしまうこともあるでしょう。
その時にヒントになることは“できた”と思った時の経験です。
何となくできた、という時もあるかもしれませんが、いつもより調子がよい時、思うように吹けるようになった時、よくよく考えてみると、ブレスを深く取れていたり、息のスピードが速かったり、声に出して正しい音程で歌えるようになっていたりと、何らかしら上手くいった原因がそこにはあるはずです。
どんなときに自分は上手くいくのか、どんな練習をしたら自分はできるようになるのか、自分の成功体験を貯金しておくと、うまくいかない時、自分自身にも他の仲間にもアドバイスしてあげられることが増えるでしょう。
コーチや先生方も、自分自身だったり、今まで出会ってきたプレーヤーの成功体験を基に「こういうときはこうするといい」というアドバイスをしていることが多いかと思います。「あー上手くいかないなぁ」と思った時、一回立ち止まってみて、今までの経験を引き出してきて、あれこれ試してみると道が拓けるかもしれません。ぜひ、そうした積み重ねを大切にしていって下さい。
例）「音の立ち上がりが悪いなー」と思ったとき
□ ブレスは深く取れているか。スピードのある息を吐けているか。
□ 唇（リード）ははじめから振動しているか。力を入れて無理に振動させていないか。
□ これから出す音のイメージはできているか。声に出してはずれずに歌えるか。
□ 体の準備（腹や口のまわりの支え）はできているか。 など。
また、元小平六中で指導をされていた緒方まゆみ先生が書かれた『まゆみ先生の吹奏楽お悩み相談室』という本に、「仲間にかけてもらいたい言葉」「仲間に言って欲しくない言葉」を生徒たちに書いてもらって全員で共有するという取り組みがあったので真似をしたことがあります。
すると、次のような言葉かあがってきました。
仲間にかけてもらいたい言葉
・ありがとう
・頑張ろう！
・頑張れ（頑張って）
・大丈夫だよ
・○○ならできるよ！
・応援してるよ
・ドンマイ！
・上手いね（上手くなったね）
・おもしろいね
・やった!!
・楽しいね
・いい音だね
・(自分の楽器が)似合ってるね
・楽しもう
・一緒に練習しよう
・～したらもっと上手くなるよ
仲間に言って欲しくない言葉
・うざい
・頑張れ（頑張って）
・きもい（気持ち悪い）
・下手
・しっかりして（しっかりしろ）
・人と比べられる
・自分の楽器を侮辱する言葉
・○○とかできなさそう
・やっぱできないんだ
・えらそうに言われること
・だめじゃん
・ドンマイ
・練習してる？？
・あの子の音嫌い
・変
ここで難しいなと思ったのは「頑張って」という言葉が、人によっては励ましに聞こえたり、言われたくない言葉であったりすることです。言い方や普段の関係の取り方にもよるのでしょうが、気を付けて使いたい言葉の一つだと思います。
うっかり口に出してしまった言葉が相手にとっては傷つく言葉であることも少なからずあるかもしれません。完璧に守ることは難しいことだけれど、「仲間に書けてもらいたい言葉」をできるだけ使えるように、「仲間に言って欲しくない言葉」はできるだけ使わないように心がけたり、同じことを言いたい時でも「頑張ろう」とか「～だね」というように、相手の気持ちに寄り添う言い方をすることで、部活の雰囲気を良くすることもできるだろうし、小さなことかもしれないけれど、こうしたちょっと言葉のやりとり次第で互いの信頼関係を深めていくこともできるのではないかと思います。
ちなみに私がここでいいなぁと思ったのは、みんなが「ありがとう」という言葉をかけてほしいと感じているところです。「ありがとう」と言われるということは、相手が「～してもらって嬉しいな（助かったな）」という感情をもっているということです。
そのためには、まず自分が相手のためになることをしなければいけません。それは、自分のことだけ考えるのではなく、まわりにいる仲間のことを思って、集団の中で自分の役割を果たすということにつながります。恩着せがましくならず、自然な流れで「ありがとう」という言葉が出てきたらとても気持ちの良いものですよね。
日常の中で自然に「ありがとう」という言葉が笑顔で交わし合えるような部活であるといいなと、そういう中で互いにいろんなものを高め合える部活にしたいなと思いました。
