休校→活動停止 ~今ここでできることを探そう!~

新型コロナウイルスの影響で、全国の学校が休校になります。

ここまで集団感染が表になると、従来通りに演奏会を行うことはしばらく難しいし、万が一感染者が出た場合の主催者と参加者が受ける不利益、特に部活の本番であれば子どもたちの精神的なダメージを考えると、今は収束を待ちながら、延期やネット配信、様々な知恵を出し合い、活性化を探りたいものです。

先日のブログにも書きましたが、私が顧問をしている部活でも、定期演奏会を中止にするという苦渋の決断をしました。

自分の在り方は自分で選ぶことができる!

それに加えて、今日から春休みにかけての本格的な休校。

たまたま昨年からGoogle Classroomで部活のクラスをつくって運用しているのですが、こんな中でも高2の生徒たちが毎日交代で部員に向けてメッセージを送り続けてくれています。いろんな思いがある中、今できることを考えて動いている生徒たちの姿を思うと、私たち顧問も何かできないかと考えさせられます。

「せっかく休校なのだから、部活のことはお休みにすればよいのに」という声も聞こえてきそうですが、「やりたい」と思っている生徒たちに対して何かできないかと自分なりに考え、部内のWeb Siteで共有することにしました。

まだ不十分なところも多いと思いますが、今日はとりあえず部内WebSiteで紹介したことを共有したいと思います(ほぼ原文のまま)。

 

定期演奏会の音源・練習の手引き

ここには、中止になった定期演奏会でやる予定だった曲のYouTubeにあるおすすめの音源などへのリンクを貼りました。

また練習の手引きは、作曲者について、作品についてまとめたものや、どのように譜面を読んで欲しいか、練習を進めていけばよいかのヒントを掲載しています(まだ一部の曲だけですが)。生徒が作ってくれた資料もここで共有しています。

当初予定した日程・会場での定期演奏会はキャンセルになってしまいましたが、いつか必ずこのメンバーで、この曲をやるのだ!という意思を表明するためにも、この部分は大切にしようと思いました。

 

楽器がなくてもできる練習方法

1.音源を聴きながら、自分のパートを歌えるようにする

自分のパート譜を見ながら、音源を聴き、歌ってみます。
・他のパートに引きずられることなく、自分のパートを歌いきれるか。
・慣れてきたら、自分のパートを歌いながらも他のパートを聴くことができるか。

階名で歌ったり、アーティキュレーションも意識して歌ったり、指(ポジション)を動かしながら歌ったり、「自分のパートを歌う」でもいろいろ試せると思います。

これをやっておくだけでも、次に合奏に乗る時のクオリティが高くなります。

2.スコアを見て、各パートの動きがどうなっているかを確認する

スコアが配られている曲については、同じ動きをしているパートを同じ色のマーカーでぬってみましょう。その上で、それぞれのパートがどのような役割になっているのかを考えて見と良いでしょう。

スコアを見ながら音源を聴いて、それぞれのパートを歌えるようにしておくのも得策です。

3.譜面作成アプリを使って、写譜をしてみる

ちょっと大変かもしれませんが、自分の楽譜を改めて書き直してみると、リズムや音程感を確認したりするよい機会になるかと思います。手書きで五線紙に写していくのもありですし、最近は無料で性能のいいアプリも出ているので、パソコンが使える環境の人は試してみてもいいかと思います。実際に打ち込んだ譜面を再生することもできます。

譜面作成無料アプリ→ Muse Score

4.いろいろな音源を聴いて、イメージを高めておく

同じ曲でも、指揮者や演奏者によってだいぶ表現が異なっていたりします。YouTubeでいろんな音源をあさって、自分の好きな表現を見つけておくことも勉強になると思います。

また、定演でやる曲でなくても、自分の楽器のソロ曲や、オーケストラ、ビッグバンドジャズの演奏などを聴いてみると、自分が理想とする音色や表現、音楽に出会えるかもしれません。普段時間がない時はなかなか聴く機会もないと思うので、ぜひ積極的に聴いてみて下さい。

私の高校時代のObの友人で、体調を崩してしばらく休部していた子がいたのですが、その間好きなプレイヤー(宮本文昭さん)のCDを聴きまくっていたそうです。その子が3か月ぶりに復帰した時、音色も表現も抜群に変わっていてびっくりした記憶があります。それだけイメージって大切なのです。

下に示すのは、個人的におすすめの動画です(かなり主観が入っていますので、あくまでご参考までに)。自分の楽器以外も聴いてみると、イメージが広がるかもしれません。

 Flute  エマニュエル・パユ
 Oboe  宮本文昭
 Clarinet  カール・ライスター
 Saxophone 須川展也上野耕平
 Trumpet モーリス・アンドレセルゲイ・ナカリャコフアリソン・バルサム
 Trombone クリスチャン・リンドバーク中川英二郎
 Horn  ラデク・バボラーク
 Euphonium スティーブン・ミード外囿祥一郎
 Tuba ハンス・ニッケル次田心平
 Contrabass  池松宏
 Percussion ナイジェル・トーマス(Timpani)

※注:本校はファゴットがいないので飛ばしています。すみません。

5.音楽の勉強をしてみる

普段はできない楽典の勉強や、吹奏楽の理論などを勉強してみるのもありかと思います。洗足学園音楽大学が、そういう人のために学ぶことのできるサイトを公開しています。

洗足オンラインスクール

他にも、とても勉強になるサイトがいくつもあるのでご紹介します。

吹奏楽お役立ちTips
頭の中の基礎合奏
尚美ミュージックカレッジ専門学校(基礎力アップ講座、アンサンブル講座など)
ラッパの吹き方
バジル先生のココロとカラダの相談室

また、今回の休校対策として、プロの演奏家がYoTubeなどでオンラインレッスンの無料配信をしている方が増えました。「自分の楽器名+レッスン」で検索してみると、いろいろ見つかると思います。人によっていろいろな解釈があると思うので、すべて「正しい」というわけではないかもしれませんが、プロの演奏家は自分でいろいろ試行錯誤を繰り返してプロになったわけですから、上達のためのヒントはたくさん持っています。また部活が再開して楽器が吹けるようになったとき、その中から自分で試してみて、自分にしっくりくるものがあったら儲けもの、くらいの気持ちで色々見てみても良いかと思います。(※3/11追記)
自宅でもできる吹奏楽(甘粕宏和さん)➡3/31までの限定
家でもできる練習(Tp 高垣智さん)

また、吹奏楽や音楽にまつわる本を読んでみるのもいいでしょう。
例えば、
など。

今のうちにいろいろインプットしてみることで、活動が再開した時のヒントになるかもしれません。

6.楽器をメンテナンスに出してみる

「家では楽器が吹けない」という人は、この長期間の休みを利用して、楽器をメンテナンスに出すこともできるかと思います。もちろん、同じように考えている人も多いと思うので、楽器屋さんが混んでいるかもしれませんが、相談してみても良いかもしれません。

また、金管楽器の人は、ぜひ楽器をお風呂に入れてあげましょう。おうちでゆっくり洗ってあげて、油をさして、ていねいに磨いてあげたら、楽器も喜ぶと思います。

 

一人でできる楽器の練習

楽器を持って帰ることができている人は、個人練習できたらベストですよね。いつもの部活の中ではなかなか個人練習の時間を確保することも難しいと思いますから、これを機にじっくり練習してみるのもありかと思います。

また、配られている曲の練習に限らず、各楽器の教則本を用意して、基礎練習に磨きをかけておくと、復帰した時にできるようになっていることも多いかと思います。例えば長音階と短音階のスケールをマスターしておくと、和声感も身に付いて音程も良くなると思いますし、指の練習にもなります。みなさんの合奏を見ていると、こうした基礎練習を日頃から積み上げておくことで、もっと練習時間を効率よく使えるなと思うことが多々あります。ぜひこの機会にチャレンジしてみると良いかと思います。

教本については様々ありますし、各楽器のコーチからも教えて頂いているかと思いますが、もし手元にない、何をやっていいかわからないという人は、以下のものは各楽器について詳しく書かれており、その先に進みたい場合の教本なども紹介してあるのでお勧めします。

「パワーアップ吹奏楽」シリーズ(ヤマハミュージックメディア)
「うまくなろう」シリーズ(音楽の友社)
「朝練」シリーズ(全音楽譜出版社)

あとは、スマホの録音アプリをつかって客観的に自分の演奏を聴いてみたり、多重録音のアプリを使って一人アンサンブルをしてみたりするのも面白いと思います。

・録音アプリ「PCM録音」→ iPhone Android

・多重録音アプリ「Acapella Maker」→ iPhone Android

下の動画は、以前試しに使ってみたときのものです。慣れてなくてバラバラですが、そこはご愛嬌ということで…。

 


この他、生徒からの質問に応えられるようなフォームをつくって、分からないことや、このサイトに付け加えて欲しいもののアイディアを送ってもらえるようなしくみにしてみました。

 

もし環境が許すならば、部内Web Siteには書きませんでしたが、Zoomを使って指揮者と演奏者が集まって大合奏などもやれたら面白いなと思ったりもします。また、LINEやSkypeなどを利用したオンラインレッスンの需要も増えるのではないかなと思います。また、YouTubeにあがっているプロの演奏会の動画や、ベルリンフィルの「デジタルコンサートホール」をここぞとばかり聴きまくるのもいい時間の過ごし方だと思います。

もちろん生で直に合わせることに越したことはないと思いますが、何もしないよりは楽しんでいろいろ実験してみることもありのように思います。

困難は、次のステップが編み出され、普及する絶好のチャンス!と信じて、目の前のつらさ、かなしさ、苦しさをいったん受け止めつつも、そこから自分自身を解放し、成長につなげていく方法を探していけたらと思うのです。理想論かもしれませんが、理想がなければそこに近づこうともできない。そう思って頑張っていけたらなと思います。

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