今日からしばらく、世界的テューバ奏者であるアーノルド・ジェイコブスの言葉を集めた『アーノルド・ジェイコブスはかく語りき』の読書日記を書いていこうと思います。
今回は「1-1 チャレンジなくして進歩なし」についてです。
チャレンジなくして進歩はない。忍耐なくして進歩はない。
新しい課題がすぐにこなせないからといって諦めてはいけない。
ひたすら進歩を目指せ。
何であれ、こなせないうちは難しく感じるものだ。
だがいったん会得してしまえば難しさは消える。
とても耳に痛い言葉です。
歳を重ねれば重ねるほど、それまでの人生経験における失敗経験が元となってか、新しいことにチャレンジする勇気がなかなか出しづらくなってくる気がします。
でも、たとえ上手くいかなかったとしても、チャレンジしてみなければ、「もしかしたらできるかもしれない」ことさえも、できないままの人生を送ってしまうことになります。
音楽においても同じことが言えると思います。
どうしてもやりたいと思った曲があったとして、でもその曲が難しくて、譜面を見た瞬間に諦めてしまったとします。そうしたら、一生その曲はできないままです。
「チャレンジなくして進歩なし」
この言葉にアレクサンダー・テクニークの考え方を取り入れてみます。
とにかく「やりたい」「やってみたい」と思った曲を思い切り演奏してみます。
うまくいかなかったら「難しいのだから当たり前」と考えてみます。
自分のやりたい音楽を表現するために、よりよくするために一部分を取り出して確認してみます。
もう一度やってみます。
少しでもできるようになっている自分を褒めてあげます。
これを繰り返していく中で、知らず知らずのうちに自分自身は進歩していると思うのです。
頭を使ってチャレンジしても訓練なくしては新しい習性は身につかない。
チャレンジは順序立てて適切に。
新しい学習を始めても、すぐに上達するなどと期待してはいけない。
主たる目的は正しいコンセプトを得ることである。
上達するには時間がかかる。
問題解決のためには原因を突き止めよう。
ある一つの方法が万人に妥当するわけではない。
ルールに縛られずに結果に到達することだけに専念する。
素晴らしい音で演奏せよ。
教則本やハウツーものに頼らないこと。
人はそれぞれ、さまざまであると悟ること。
他人と比べるのではなく、自分がどんな音楽をやりたくて、そのためにどんなアプローチが有効なのか。
自分に適した方法を、一緒に探してくれるような師に出会えたら、それはとてもラッキーなことだと思います。
できなくても当たり前。
悩むことも当たり前。
自分がやりたいと思ってやっている限り、目には見えないほどわずかかもしれないけれど、進歩し続けているのだと思います。
そう思って、私も大好きなラッパと向き合っていきたいものです。
金管奏法のカリスマ アーノルドジェイコブスはかく語りき
杉原書店
ブルース ネルソン