先日、Yahoo!ニュースに次のような記事が載っていました。
『音楽離れは「有料の音楽」離れに限らず「音楽そのものから距離を置く」と共に』
http://bylines.news.yahoo.co.jp/fuwaraizo/20160407-00056129/
この記事を読んでみると、ネット配信の増加などによるCDの売れ行き低下にとどまらず、「音楽に無関心で曲を聴かない」と答えた割合がここ数年で倍近くの34.6%に上ったというデータが示されていました。特に学生は5%程度で推移していたのが14.0%と3倍近くに増加しています。
実際、最近は電車の中でも音楽を聴いている人よりもスマホをいじっている人の割合が多いですし、生徒と話していても以前より音楽を聴かなくなっているなと感じることも多くなってきました。自分が中学生の頃は銀座のヤマハにしか吹奏楽のCDなんてなくて、当然インターネットなんてありませんから自分たちが演奏する曲でさえ手に入れるのが難しかったものですが、今ではYouTubeなどの普及によって、手軽に音楽を聴くことができるようになりました。それが逆に音楽を聴かない人口が増えているなんて、本当なのだろうかと思って、Twitterの投票機能を使ってアンケートをとってみました。
その結果が次の通りです。
このアンケートの有効回答数は599名、対象は吹奏楽部員もしくは元吹奏楽部員ですので、一般的なデータよりも音楽を聴くと答える割合が高くなるのは当然のことかもしれません。しかし、正直なところ「割といつも聴く」が75%だったことにはほっと一安心するとともに、「部活でやる曲くらいは聴くようにしている」が11%(66人)、「普段あまり聴くことはない」が6%(36人)と合わせて100人近くに上ることは少し残念なようにも思いました。
確かに、部活を目一杯やって家に帰ってきて、勉強もしなければいけない、スマホもいじりたいなどと考えると、ゆっくり音楽を聴いている余裕はあまりないのかもしれません。でも、音楽を奏でようとする者にとって、いろいろな音楽を聴いたり、いい演奏を知っていたりすることは、自分の表現の幅を広げることにもなりますし、何より「こんな風に演奏してみたい」というイメージをより具体化することにつながっていきます。もちろん聴いた音楽のモノマネで終わってしまったらいけませんが、芸事はまずモノマネをするところから始まるとも言えるような気がします。
「どんな演奏がしたいか」
「どのように表現したいか」
「どんな音色で奏でたいか」
こうした音楽に対する欲求というものは、いいなと思う音楽、好きな音楽に出会って初めて芽生えるもののようにも思います。どんなに自分一人で練習したとしても、イメージがなければ、それを具体化していくことはできません。
最近の中高生は本当に忙しい生活を送っていると思います。でも、中高生という感性豊かな時代にこそ、いろんな音楽を聴いて、感じる心を磨いていって欲しいところです。
音楽を聴くこと。
そこから離れてしまっては、いい音楽を奏でることはできません。
自分も含めて、音楽を聴くゆとりを生活の中につくっていきたいものです。